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2019年12月 7日 (土)

『 蜜蜂と遠雷 』(恩田陸・著)読みました

Img_4734  第156回直木賞、そして2017年の本屋大賞受賞作です。ダブル受賞というのは”まれ”で、それだけ期待が高まります。ただ、分厚い(苦笑)。ですので、読みたいなあとは思いながらも、あまり時間がなさそうな時には手を出しにくく、ここにきてようやく読むことができました。読みだしたら、一気読みでしたよ!

 音楽を愛した、音楽に愛された若者たちの群像劇。それぞれの方に、それぞれのドラマがあります。一人ひとりの心の機微、そして彼ら彼女らが紡ぎだすリズム・旋律、そして世界観をこんなにまで見事に描き出す恩田陸さんに感服しました。本当にページから曲が聴こえてきたようでした。風間塵くん、栄伝亜夜さんも素敵でしたが、私は高島明石さんに感情移入しました。

 読み終わってから「蜜蜂と遠雷」というタイトルを味わうと、なおさら感慨も深くなります。本の表紙の絵も、いいですよね。

 本当にもう、すべてが圧巻でした。

 私の評価:☆☆☆☆☆(5つが満点、つまり満点です)

『 ライフ 』(小野寺史宜・著)読みました

Img_4731  今年度(2019年度)の本屋大賞で2位だった「ひと」の作者、小野寺史宜さんの作品です。今回も小野寺さんらしい作品でした。

 「自分には何もない」と感じ、さえない日々を送っている主人公・井川幹太。その彼の日常を、淡々と描く物語。どちらかといえば他人とコミュ二ケーションを取るのが苦手で、自分から積極的に動こうとはしない幹太。けれど「特に何もない」日常のなかで、少しずつ周囲の人とかかわりを持つようになり、そこから人生が広がっていく。特に刺激的なことは起こらないんですが、それでも「人生っていいな」と思わせてくれる物語です。私もどちらかというと、他人とコミュニケーションをとるのは苦手な方なのですが、少しだけ積極的になってみようかなと思わされました。

 読後感は極めて爽やか。人生を肯定したくなる物語です。この作品でいくつか名言に出会ったのですが、それはまた、次の機会に。

 私の評価:☆☆☆☆(5つが満点です)

2019年12月 4日 (水)

『太陽はひとりぼっち』(鈴木るりか・著)読みました・・・の巻

Img_4700  「さよなら、田中さん」で衝撃的なデビューを飾った鈴木るりかさん。今作はその続編です。あの花実母娘、そして三上君にまた会えるということで、とっても楽しみでした。

 今回は3編の作品が収められています。本の半分以上を占める、花実のお母さんの生い立ちが語られる表題作、そして高校に進学した三上君を描いた「神様ヘルプ」、そして中学時代の担任・木戸先生の家族のことを描いた「オーマイブラザー」です。個人的には表題作よりもあとの2編の方がよかったです。どちらもなかなか深かったですし、特に「オーマイブラザー」は現在よく取り上げられる人権問題(ここではネタバレを避けるために、この表現にしておきますね)をテーマに、心を打つ作品に仕上がっていると思います。

 ただ、ここからはちょっと辛口なことを書きますが、正直、やっぱり「さよなら、田中さん」の方がよかったかな。鈴木るりかさんは「さよなら、田中さん」「14歳、明日の時間割」そして本作と3冊の本を出されていますが、ちょっとずつグレードが下がってきている感は否めません。この感じは、あくまでも個人的な感想なのですが、吉本ばななさんを読み続けた時にも感じたことです(吉本ばななさんの本も、個人的にはデビュー作「キッチン」が一番好きです)。鈴木るりかさんは現在まだ高校1年生、その成長とともに、なくさないものはなくさないで、いい作品を書き続けていただきたいと思います。花実のその後、そして個人的には三上くんのその後を見守っていきたいです。

 でもね、面白かったことは間違いないのです。悪くはなかったのですよ。おすすめの一冊であることは、間違いありません。

 私の評価:☆☆☆☆(5つが満点です)

2019年11月28日 (木)

『 きのうの影踏み 』(辻村深月・著)読みました・・・の巻

Img_4689  普段はそれなりに長い小説を書く辻村深月さんの、言ってみればホラー短編集です。一つひとつのお話が本当に短い。けれどそれゆえ、無駄な表記がなく、余韻を残してそれはまた怖い。そして単にお化けが出てくる・・・などではなく、日常に潜む恐怖を描いているので、本当に怖い。辻村さん、こういうお話も書けるんだなあと、これまた感心しました。
 どのお話もおもしろかった(怖かった)ですが、私は特に「手紙の主」「ナマハゲと私」「七つのカップ」がよかったです。

 私の評価:☆☆☆☆(5つが満点です)

2019年11月21日 (木)

『 くちびる遊び 』(花房観音・著)読みました

Img_4587  ”性をとおして生を描く”作家、花房観音さん。彼女が描く、文豪シリーズ第2弾です。今回は「舞姫」(森鴎外)、「高野聖」(泉鏡花)、「駆け込み訴え」(太宰治)、「人間椅子」(江戸川乱歩)、「みだれ髪」(与謝野晶子)、の五作品を元に、花房観音さん独特の味付けでその世界を再構築しています。どの作品も、それなりに面白かったですが、私はもともとの作品が大好きな「悦楽椅子」がよかったかな。
 でも、その第1弾「花びらめくり」の方が正直、面白かったです。実はすでに第3弾も発売されているとのこと。そちらの方にまた期待しましょう。

 私の評価:☆☆☆(5つが満点です)

2019年11月11日 (月)

『 百瀬、こっちを向いて。 』(中田永一・著)読みました

Img_4482  以前から気になっていました中田永一さんの短編集を、ついに読むことができました。タイトルもいい感じですし、映画にもなっていますしね。

 実際に読んでみますと、青春時代の一シーンを切り取ったような、きらきらとした作品が4編。でもね、よくある作品とはちょっと違い、中田さんならではの一筋縄ではいかない感じがとっても心地よかったです。

 特に個人的には表題作と「小梅が通る」がよかったです。『吉祥寺の朝日奈くん』もよかったですが、こちらも甲乙つけがたいほどよかったです。

 私の評価:☆☆☆☆(5つが満点です)

2019年10月22日 (火)

『 花びらめくり 』(花房観音・著)読みました

Img_4425  「性によって生を描く」花房観音さんの著書であります。今作は近現代の有名な小説作品にインスパイアされて書かれた、言ってみればスピンオフ作品のような短編小説集です。元になった作品を列挙しておきますと、「藪の中(芥川龍之介)」「片腕(川端康成)」「卍(谷崎潤一郎)」「それから(夏目漱石)」「仮面の告白(三島由紀夫)」です。どの作品もおもしろかったですが、個人的には「藪の中の情事」「片腕の恋人」そして「それからのこと」が面白かったです。どれも真理だなあと感じさせられました。「卍の女」も「仮面の記憶」もそれぞれに谷崎・三島らしくて、原作を読んでみたくなりました。

 同じような趣旨の、有名作品を花房観音さんが味付けした作品がほかにもあるようですので、また読んでみたいと思います。あまり大きな声では言えませんが、花房観音さん、やっぱりおもしろいです。

 私の評価:☆☆☆☆(5つが満点です)

2019年10月17日 (木)

『 アイネクライネナハトムジーク 』(伊坂幸太郎・著)読みました

Img_4527  先日映画を観に行きましたら、この作品が映画化されていると知り、それならまずは原作を読んでみようと思いまして、図書館で借りてきました。

 う~~ん、ちょっとハードルを上げすぎましたかね~。基本的には短編集。でも、登場人物がつながっており、それぞれがそれぞれの物語で主人公になっているのは好みの構成です。でもね、最後まで読んでもちょっと悶々としたものが残りました。すべてのお話がつながって「すっきり~」という感じではなかったんですよね。私が知りたいことの結末が書いてなかったり・・・。

 面白くないことはなかったのですが、個人的にはちょっと消化不良かな。映画はもう少しすっきりしてそうですし、時間があれば観に行きたいです。主役はお気に入りの多部ちゃんですし。

 追伸:実は、映画よりも先に本を読んだのですが、ここにアップする順番が逆になってしまいました。なにか、すみません。

 私の評価:☆☆☆(5つが満点です)

2019年10月 9日 (水)

『 あきない世傳 金と銀 第七巻 』(高田郁・著)読みました・・・の巻

Img_4448  前巻の第六巻から一年待ちました(笑)。でも、待った甲斐はありました。今回はほとんどひやひやするお話はなく、努力が報われ、読後感さわやかといった巻になりました。

 本当にこのお話、いや、このお話だけではなく高田郁さんのお話は、登場人物、特に主人公がほかの人の気持ちを大切にしようと常に考えています。それを世間では「誠意」「誠実」と呼ぶのですが、この巻ではそれが際立っています。このお話で、人間としての生き方を再確認させられました。

 五十鈴屋江戸店、ますますの発展を期待したいと思います。そして、妹・結ちゃんの淡い恋も応援したいですね。次の第八巻はいつ出るのでしょうか。またまた待ちきれません。


 私の評価:☆☆☆☆(5つが満点です)

2019年10月 2日 (水)

『 まつりのあと 』(花房観音・著)読みました・・・の巻

Img_4308  花房観音さんといえば、まずは強烈な性描写が特徴的な作家さんです。そのあたりにアレルギーがおありの方も、いらっしゃるんでしょうね。でもねその作品は単なる「エロ小説」ではなくて、しっかりと人間を、人生を描いてらっしゃる。ですので、私にとっては大好きな作家さんなのです。「大好きだ」と声を大にして言うのははばかられますが(笑)。

 ただし今作「まつりのあと」は今までの作品とはちょっと違った印象です。「性」を中心に描いてはいますが、その描写が他作品に比べて極端に少ない。そしてその代わりといっては何ですが、「人生の機微」みたいなものを多めに書いてらっしゃるように感じました。

 平安神宮で行われた結婚式に出席した方々の、それぞれの人生をそれぞれに描いています。みんな、その場では「にこにこ」と笑っていますが、それぞれにいろいろな人生を抱えているんですねえ。そしてこの作品集では、やはり盛りをちょっと過ぎた、人生の寂寥感・寂寞間みたいなものが描かれています。やっぱり人生はさみしいものだなあと、知らない間にそこそこの年齢になった私も共感したりしました。

 追伸ですが、この作品集なら、ほかの人に勧めることができます(笑)。

 私の評価:☆☆☆☆(5つが満点です)

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