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2019年8月 6日 (火)

『 平場の月 』(朝倉かすみ・著)読みました・・・の巻

Img_4287  第161回(2019年上半期)直木賞にノミネートされていた本作、以前からかなり気になっていましたので、読んでみました。

 主人公はいわゆるアラフィフの”青砥(男性)”と”須藤(女性)”。人間50歳近くまで生きてきましたら、いろんなことがありますよね。そして、良くも悪くも物分かりがよくなってしまい、我慢強くもなってしまう。若い時だったらちょっとぐらいの障害にぶつかっても「何とかなるだろう、何とかしてやる」と思ったりもするのですが、このぐらいの歳になると、どうにかできるものかどうか、すでに分かってしまう・・・。

 

 その「分別盛り」の二人の「恋愛」を滋味にあふれた目線で描く本作、お若い方が読んだらどのような感想を持たれるのかは想像つきませんが、ちょうど主人公たちと同世代の私が読むと、もう本当に切なくて何とも言えませんでした。特に、読んだ直後よりも、数日たってからの方が心に”ず~ん”とくる。もうね~、やっぱり悲しいですわ。いろんなことを飲み込んで生きていくのが人生だとは思いますが、”須藤”にはもう少しわがままになって、甘えてほしかったな~(ちょっとしたネタバレです)。

 結果、直木賞は逃しましたが、滋味にあふれたいい作品でした。

 私の評価:☆☆☆☆(5つが満点です)

 

2019年7月26日 (金)

『 吉祥寺の朝日奈くん 』(中田永一・著)読みました・・・の巻

Img_4218  私、個人的には短編集はあまり好きではありません。一つひとつのお話が短いがゆえに、あまり深く感動できないことが多いからです。けれどこの作品集、短編が5作品収録されているのですが、どのお話もなかなか良かったです。「短編集」ということになると、面白くない作品も当然あったりするのですが、この本の作品は表題作をはじめ、どれもよかったです。

 「交換日記はじめました!」は、途中からどんどんちがう人が出てきて、どこに決着するのか、とっても興味深く読めました。「吉祥寺の朝日奈くん」は吉祥寺愛にあふれていて、私もその街で住んでみたかったなあと思いました。お話の肝であるどんでん返しも面白かったです。それ以外の散策も、それぞれに先が気になり、結果としてこの本自体、一気に読んでしまいました。

 「ダンデライオン」は個人的にはあまりはまらなかったのですが、この作品集は、さすが中田永一!と思わされました。

 私の評価:☆☆☆☆(5つが満点です)

2019年7月25日 (木)

「 壇蜜日記 」(壇蜜・著)読みました

Img_4196  グラビアアイドルとして、そしてタレントとして一世を風靡し、現在も多方面で活躍されているあの壇蜜さんの、2013年秋から2014年夏にかけての、日記です。短文あり、それなりに長文あり、です。

 この方、私、かなり前から興味があったんですよね。いえ、そのルックスもですが、そうではなくて、内面といいますか、ものの考え方、出来事のとらえ方、などに対してです。で、今回この本を読んでみまして、この方のものの考え方の一端がわかったような気がしました。TV画面などからは、ポジティブな面が強調されていたように思いましたが、実際には、自分にそれほど自信がなく、様々な出来事に対して斜めから見てしまう。様々なことにこっそり悪態をつきながら、明日への活力を養う・・・。そういうところに私も共感でき、私もなぜか「活力」をいただきました。

 人間、楽しいことばかりではないですよね。むしろ苦しいこと、面白くないことの方が多いのかもしれません。でもね、こんな風にちょっと斜めから物事を斬りながら、また明日も頑張っていこうと思います。

 ちょっとイメージと違う壇蜜さんに触れることができて、新鮮でした。

 私の評価:☆☆☆☆(5つが満点です)

2019年7月17日 (水)

「 そして、バトンは渡された 」(瀬尾まいこ・著)読みました

Img_4195  2019年の本屋大賞受賞作。個人的にはほかのどの賞よりも、本屋大賞は合うんですよね~。毎年、ハズレなし!です。

 「私には父親が三人、母親が二人いる。家族の形態は、17年間で7回変わった。でも、全然不幸ではないのだ。」(帯の解説より)ですって。確かにそれだけ複雑な家庭事情だと、嫌な人も出てきて、不幸な出来事もありそうなものですが、このお話にはそういうものは全く出てきません。出てくる人は、みんないい人!

 そういう意味ではちょっとリアリティがないかなあとも思いますし、そのあたりが「大感動」までいかなかった要因かなあとも思うのですが、それでもいいお話であることは間違いありません。血のつながりを超えて、お互いがお互いを思いあうその温かさに、心を動かされましたよ。そして、ラストはなかなか感動的でした。とても後味のよいラストでした。

 正直、例年の「本屋大賞受賞作」ほどには感動できませんでしたが、ほどほどによいお話でした。

 私の評価:☆☆☆(5つが満点です)

2019年6月13日 (木)

『 よもつひらさか 』(今邑彩・著)読みました・・・の巻

Img_4170  以前から気になっていた本作、ようやく読むことができました。先日、BOOK・〇FFで見つけたものですから😃。

 日常に潜む恐怖を描いた短編集です。昔好きでよく読んだ、阿刀田高さんの作品に似た印象でした。途中で「オチ」がわかる作品も何作かありましたが、それでもどの作品にも楽しませていただきました。どぎつい描写もなく、少し昔(いわゆる「昭和」)の感じで、安心して読むことができました。ミステリーなのに「安心して」というのはほめ言葉にはならないかもしれませんが(笑)。

 特に私は表題作「よもつひらさか」、そして「ささやく鏡」「茉莉花」「遠い窓」あたりがよかったです。「時を重ねて」はまた違った趣で、高橋治さん(「風の盆恋歌」)や宮本輝さん(「錦秋」)を思い出しました。

 短編集ですのですぐに読めますし、後味もそれなりによし。おすすめです。

 追伸:今邑彩さん、私今まで読んだことなかったのですが、この方、すでに亡くなられているのですよね。57歳で亡くなられたのですね。今更ですが、ご冥福をお祈りいたします。

 私の評価:☆☆☆☆(5つが満点です)

2019年6月 3日 (月)

『殺戮にいたる病』(我孫子武丸・著)読みました

Img_4130  本格ミステリーの金字塔といわれる(と、帯に書いてありました・笑)本作、読んでみました。ラストのどんでん返しがすごいと、いろいろな書評で書かれていましたので、どんな結末が待っているのだろうと期待しながら読んだのですが、正直個人的には今一つでした💦。

 お話はかなりグロ。そしてエロ。そのあたりのことも、ラストにある程度回収してくれるんだろうなあと期待していたのですが、なんとなくそのまま・・・。そしてお話の方、ラストのどんでん返しは理解できるのですが、個人的には「ふ~~ん、そういうことでしたか~」というくらいの感想でした。終わり方もとってもグロでしたしね~💧。

 読む人を選ぶ、といいますか、賛否両論ある作品のように感じました。読みたいとおっしゃる方には、まず「グロいけど、大丈夫?」と聞かなくてはなりませんね。

 追伸:実はこの本、うちの次男に薦められて読んだのです。でも、父親にこんなエロ・グロな本を薦めるなんて、恥ずかしくないのかなあ・・・と思いました。でもさすがに母親(私の奥さん)には薦められなかったみたいです(笑)。

 私の評価:☆☆☆(5つが満点です)

2019年5月28日 (火)

『 生きてさえいれば 』(小坂流加・著)読みました

Img_4109  少し前に「余命10年」で文学好きの若者のみなさんの心に衝撃をもたらした、小坂流加さんの新作です。新作とは言いましても、小坂流加さん、もうすでにお亡くなりになられているんですけどね。この本の最後に添えられていたエピソードによりますと、前作を発売した後、出版社の方がご遺族に「もし新たな原稿が見つかったらご連絡ください」と言っておいたら、最近になって「見つかりました」との連絡があり、読んでみるとなかなか良かったので出版することにしました・・・とのことでした。前作とどちらを先に書かれたのかは、定かではありませんが・・・。

 で、この作品を読んで、まず、「粗削り」だと感じました。それはお話自体に対してもそうですし、表現についても、です。ただ、作者の境遇を考えると、推敲等をする時間がなかったのでしょうねえ。そう考えると、その「粗さ」も含めてすべてがこの作品の「味」ということになるのでしょうねえ。

 ということだとすると、もうこの表現を評価する、ここをもう少しこうした方が・・・などというのは野暮というものです。ありのままの、前作、そしてこの作品自体が彼女の「生きざま」「生きた証」ということになるのでしょうね。

 彼女の作品を、もっともっと読んでみたかったなあ・・・。今更ですが、ご冥福をお祈りいたします。

 余談ですが、表紙イラストが、これまたいいのですよ。作品に合ってます💡。
 
 私の評価:☆☆☆☆(5つが満点です)

2019年5月23日 (木)

『彼女が好きなものはホモであって僕ではない』(浅原ナオト・著)読みました

Img_4157  現在見ているドラマの中で、フジTV系「パーフェクトワールド」の次に気に入ってみているドラマが、NHKの「腐女子うっかりゲイに告る」なんですよね。で、ドラマがとっても面白いので、原作も読んでみたくなり、手を出しました。

 う~~ん、おもしろい。いや、おもしろいと言っては語弊がありますが、非常に興味深い。そして考えさせられる。現代に生きる私たちにとっては、ゲイやレズビアンなどのLGBTのことはもうどこか遠い世界のことではありませんよね。周囲にもふつうにそういう方はいらっしゃいます。その方々の気持ちを理解し、ともに幸せに生きていくためには・・・という感じで、ドラマも観、原作も読ませていただきました。

 「普通」を追い求めて苦悩する、主人公「ジュン」。彼が「普通」でありたいと思えば思うほど、「普通」から遠ざかっていき、そのことがさらに彼を苦しめる。その彼の気持ちを考えると、本当に切なくて切なくて涙が出そうでした。
 周囲の人々は、本当にいい人たちなんですよね~。いえ、もちろんそうでない人もいますが。いい人の代表は亮平君。そして三浦さん。三浦さんは本当にいい人ですよね。

 ネタバレになってはいけませんので、詳しくは書きませんが、ラストもとってつけたようなものではなく、なかなかリアル。でも、希望を感じさせられるものでした。

 続編、読みたいなあ。ジュン君が、そして周りの人が幸せになる姿がみたいです。「男」だとか「女」だとかにとらわれず、「人間」として理解し合える、そんなふうになっていきたいです。

 私の評価:☆☆☆☆(5つが満点です)

2019年5月16日 (木)

『 青空チェリー 』(豊島ミホ・著)読みました

Img_4079  久しぶりの豊島ミホさん。なにか、いつもの感じとちょっと違うなあと思っておりましたら、デビュー作及びその頃の作品らしいです。どうりでちょっと粗削りなのね💡。でも、心の機微や、ひだの部分をうまく描くところは、いかにも豊島さんです✨


 3篇の作品が収められていますが、私は特に最後の「誓いじゃないけど僕は思った」が特に好きです。共感が持てました。こういう情けなさ、男子はたくさんの人が経験してるんだろうなあ。新海誠監督の「秒速5センチメートル」に通じるものを感じました✨。

 私の評価:☆☆☆(5つが満点です)

2019年5月 5日 (日)

『 続 横道世之介 』(吉田修一・著)読みました

Img_4126  数年前に大いなる感動をくれた「横道世之介」、その続編が出たということで、私もさっそく読んでみました。はじめは図書館に予約していたのですが、順番が回ってくるのが待ちきれなくて、買ってしまいました😃。ちなみに前作は、本も映画も、その年の「極私的ベスト10」の1位でした。

 今作も、世之介らしいですね~。自分はダメダメな人生を送っているのですが、その「ダメダメ」な中にも他人に対する優しさにあふれていて、周囲の人を幸せにしていくんですよね~。自分に関わった人を幸せにしていくって、本当に理想の生き方です✨。

Img_4127  今はもうこの世にいない世之介(これは前作の段階で、そうなっていましたよね)。世之介を思い出すとき、切なさとともに温かい気持ちがあふれてくる。自分も本当にそんな生き方ができたらいいなあと思いました。

 後の写真は、初版本についていた、作者のメッセージカードです。

 私の評価:☆☆☆☆(5つが満点です)

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