映画の話・1039 「 母べえ 」
日本がだんだんと戦争に向かっていくその時代。その時代に生きたひとつの家族のお話が誠実に描かれています。あの時代に「戦争反対」などということを口にすると大変なことになると、他の作品や歴史の授業などで何度も見聞きしてきましたが、この映画の中でもその「大変さ」がしっかりと描かれています。今の時代からは考えにくいことですが、自分の考えを普通に口にできることのありがたさを、この映画を観てかみしめました
。
お話自体は「この時代に自分の気持ちに正直に生きた父親、そしてその家族」の生きざまを、淡々と描いています。その淡々とした描き方がよりリアリティを増しているように思います。以前、劇団四季ミュージカル「李香蘭」を観た時に驚いたのですが、1941年に太平洋戦争が始まっても、しばらくは日本国内では明るい、楽しい生活をみなさんされていたようです。私なんかは戦争中はずっと暗く・貧しいものだと思っていましたから、そのことをしってびっくりしました。この映画でもそのあたりのことがリアルに描かれていました。そしてだんだんと貧しく質素になって行く姿も・・・。
他の吉永さん主演の作品に時折観られるような、「吉永さんを美しくえがいたらそれでOK」という感じがこの映画では見られず、その姿勢に好感を持ちました。すべてが淡々としていて、それゆえ見どころの多い作品だったと思います。静かな反戦映画、その王道を行くような作品でした。
私の評価:☆☆☆☆(5つが満点です)
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