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2014年11月

2014年11月25日 (火)

映画の話・906 「 アーティスト 」

157984_11 2011年のフランス映画です。

 白黒映画でありサイレント映画であると聞いていた私は、「今時そんな手法で映画を撮るなんて、気をてらっただけの作品じゃなのいの?」と、少々斜めから本作品を見始めました。でもね、見終わって、その疑念は完全に晴れました。この作品、小手先の子供だましの作品ではなく、本当に素晴らしい作品でした


 お話の方は、よくあると言えばよくあるテーマなんですけど、それでも主演のお二人の演技・表情が素晴らしい(お二人とも、昔のハリウッド映画にいそうな顔・お姿なんですよね・笑)ためか、あまり古くささを感じさせません。いえ、白黒・サイレントというのはわざと「古くさい感じ」を出そうとしてそうされているのですけれど、それがかえって「斬新さ」を感じさせるのです。先ほどから「白黒」「サイレント」と何度か書いておりますが、その「秘密」もラスト近くには解き明かされますし。「その」シーンがきたときには本当に「えっ?」となり、「やられた~」と心地よいだまされ感が心の中に溢れました(笑)


 今「主演のお二人の演技が」と書きましたが、忘れてはいけません。多くの方がおっしゃってますが、あの「犬」。誰かが中に入ってるんじゃないの?とか、実はロボットで、誰かが操ってるんじゃないの?とすら思えるぐらいに、見事な演技でした。今まで、犬をはじめ動物が映画に登場することはたびたびありましたが、こんな風に完璧に「演技」する犬を初めてみたような気がします。本当に素晴らしかったです

 第84回(2012年2月発表)アカデミー賞で作品賞も含め5部門を受賞した本作品、その経歴は伊達じゃない・・・と感じました(米アカデミー賞の作品賞って、アメリカの作品でなくても受賞できるんですね。初めて知りました)。とにかく観て損はない、充実の100分間でした

 私の評価:☆☆☆☆(5つが満点です)

映画の話・905 「 中学生円山 」

160377_11 2013年の日本映画です。

 今回も宮藤官九郎色満載でしたね~。ただ、残念ながら私、宮藤官九郎さんの作品、あまり合わないのですよね~。そういうわけで今回も、期待しながらも警戒もしながら見せていただきました。結果は・・・まあ想像通りでした(笑)。
 細かいネタに笑ってしまうところも確かにあるのです。でもね~、基本的には「笑い」よりも「笑わそうとするあざとさ」みたいなものが先に感じられて、素直に笑えなくなってしまうんですよね。いえ、決して悪口を言ってるわけではないのです。要は「合う」か「合わないか」だと思うのです。だから、高評価のみなさんのお気持ちもよくわかります。みなさんには「合った」のですよね。

 後半にかけて、くさなぎくんの「正体」がばらされるところも、もっとシリアスな方向に話が行くのかと思ったら、なにか中途半端な印象で結末を迎えてしまって・・・。お話全体も中途半端な印象に感じられてしまいました

 けっこう期待させてくれたところもあったので、個人的にはちょっと残念だったかな~。「中学生円山」の決めポーズは、見終わってからちょっとマネしたくなりましたけど。

 私の評価:☆☆(5つが満点です)

映画の話・904 「 花宵道中 」

Img_2995 2014年の日本映画です。といいますか、現在公開中です

 吉原を舞台にした恋物語ですから、どうしても悲しいお話になってしまいます。その思いが純粋であればあるほど(いえ、実際にはほとんど「純粋な恋」などはなかっただろうと思いますが)悲しい結末が待っているのはある意味「必然」です。このお話も当然のように、悲しい結末が待っています



 まずはなんと言っても津田寛治さん、達者でしたね~。安達祐実さん演じる「朝霧」の首筋に舌を這わせるシーンなんて・・・本当にもう憎たらしい。安達祐実さんはうまい役者さんだと思いますし、この作品でも熱演されていたと思うのですが、いかんせんその「童顔」ゆえちょっと役に合わなかったかな。もう少し妖艶なイメージの女優さんの方がよかったように思います。半次郎を演じた淵上泰史さん、初めてお見かけしましたが、なかなか役にはまっていて良かったです。小篠恵奈さんは清楚さを併せ持った、まだまだ慣れない遊女というところでいい雰囲気を出してました



 王道のようなラブストーリー・・・けれど、吉原に生まれ生きた女の恋は、もしかしたら始まってはいけないものだったのかもしれません。最初から最後まで悲しい悲しいお話でした・・・。けれど、悲しさいっぱいでお話が終わろうとした時、その最後の最後で一筋の光が射したようには感じました。ネタばれになりますので詳しくは書きませんが。悲しい物語ですが、鑑賞後はそれなりに爽やかな感覚も残りました

 私の評価:☆☆☆☆(5つが満点です)

映画「花宵道中」観てきました

Img_0800 本日、私実はお休みでございます。いや~、本当に久しぶりのゆっくりできた一日。ということで私、朝から映画を観に出かけました。雨でちょっと出掛けにくい感じだったのですけどね、でも、他に日がありませんでしたので出かけました。

 観たかった作品は安達祐実さんの体当たりの演技(って、こう言ういい方、よくしますよね。つまり脱いでいらっしゃいます)で話題になりました、「花宵道中」です。いえ、それが目的だったのではありませんよ。自分の姿を探しに行ったというわけです。ちょうど去年のいまごろだったな~(遠い目)。以前からここを訪れてくださっている方には、何のことだかわかりますよね

 自分の中では最初の方で「出てくる」と思っていたのですが出て来ず、ちょっとがっかりしていたらラストで出てきました。出てきたのはうれしかったのですが、映し出された姿に「がっかり」しました。まあでも実際「いい歳」ですから、客観的には「こんな感じ」なんだろうな~

 作品の感想はまた「映画の話」で。でも、今日は久しぶりにゆっくりできました。たまにはこういう日がないとね。写真は本日行った「テアトル梅田」のそばの通路です。この界隈なかなかいい感じで、私は好きなのです。

2014年11月21日 (金)

映画の話・903 「 華麗なる激情 」

51yyi9z6rjl_sl160_1 1965年のアメリカ映画です。

 ミケランジェロについては、高校の時に世界史や美術の時間に習ったりして、歴史上の人物として知識として知っておりました。ただ、「歴史上の人物として」ということは、私達と同じようにこの世に生きていた「生身の人間」という実感はなかったのです。しかし本作を観て、人間ミケランジェロの「熱」「思い」みたいなものをしっかりと感じることができました

 本当に重厚な、そして丁寧に作られた映画だと思います。美術・芸術の方面にはあまり関心のない私ではありますが、最後まで興味を持って観ることができました。これからはミケランジェロの作品を、今までとはまた違った目で観ることができそうです。まあ、自分から好んで観に行くことはなさそうですが・・・

 私の評価:☆☆☆☆(5つが満点です)

映画の話・902 「 野ばら 」

512dax3akdl_sl160_1 1957年の西ドイツ映画です。「西ドイツ」ってところが、いいでしょ

 お話の方は特にどうということはありません。言ってみれば、たとえば「童話」のような感じで、あまり「悪意」というようなものは存在せず、基本的には「よかったねえ」という感じでお話が進んでいきます

 この映画は言ってみれば「ウィーン少年合唱団」を中心に据えた、ひとつの「アイドル映画」みたいなものですよね。主役がその方(方々)ならお話とかは特にどうでもいい。主役の素敵なところが観られれば、それで「よし」といった感じでしょうか。いえ、批判しているのではありませんよ。ウィーン少年合唱団の歌声はやっぱり素晴らしかったですから

 素晴らしい歌声、それから山々の美しい自然。それらが見られるだけで「よし」という作品です。

 私の評価:☆☆☆(5つが満点です)

映画の話・901 「 アメイジング・グレイス 」

155940_11 映画の話、900回を超えての第一回はこの作品から。2006年のイギリス映画です。

 讃美歌という枠を越えて、あまりにも有名なこの曲。けれど、この曲に込められた思い、そして本作に描かれたようなイギリスにおける奴隷解放のための戦いについては、まったく知りませんでした。

 ウィリアム・ウィルバーフォース。18世紀のイギリスで奴隷解放のために信念を貫いた政治家。けれど本作ではこの人物をことさらに超人的・英雄的に描いたりはしていません。その苦悩、時には挫折しそうになったりするところもそのまま描き、それがかえってリアリティを生み、共感を呼びます。「リアリティを生み・・・」と書きましたが、基本的には事実。事実はやっぱり心を打ちます

 アメイジング・グレイスという曲が好きな方は、本作を観られることを強くお勧めします。曲に対する「思い」がより深くなることは間違いありません。ウィリアム・ウィルバーフォース、そしてこの曲を作詩したジョン・ニュートンの思いが、心の中に沁み入ってきます。

 私は「信念を持って頑張れば、どんなことでも成し遂げられる」とは思っていません。人生、そんなに甘いものだとは思っておりません。けれど、それでもやっぱり、「最後まで信念を貫く生き方」には頭が下がります。「信念を貫き、何かを成し遂げる」ことが難しいからこそ、それをやりきった人・事実には無条件に心を揺さぶられます。いい作品でした。

 私の評価:☆☆☆☆(5つが満点です)

2014年11月19日 (水)

映画の話・900 「 ラストエンペラー 」

137184_11 900回記念はこの作品を。

 1987年のイタリア・イギリス・中国合作映画です。

 愛新覚羅溥儀(あいしんかくら・ふぎ)という一人の人物の人生を、淡々と描いた作品です。ただ、「淡々と」とは言いましても、この方の人生はまさに「激動」。これほど運命の荒波に翻弄された人生も、他に無いのではないかと思うくらいです。その「激動の人生」をことさらに大げさに描くことなく、むしろ抑えたトーンで描いているところが、よりいっそう私たちの胸を打ちます
 わずか3歳にもならないうちに清国最後の皇帝ととして即位し、後に日本の傀儡国家であった満州国の初代皇帝となる・・・。20世紀初頭、大きなうねりとなった東アジアの歴史の激流のそのど真ん中で生きた一人の人物の人生を描ききった本作品、おもしろくないわけがありません



 主演のジョン・ローンさんの演技もさることながら、日本が誇る坂本龍一さんのテーマ曲も本当に素晴らしい。私が観たオリジナル全長版は上映時間が219分(3時間39分)ですが、正直長いとは思いませんでした。むしろ、激動の人生を「たった」それだけの時間で堪能できたというべきでしょうか。



 栄枯盛衰、盛者必衰、人の世の真理である「無常観」がしっかりと感じられる作品でした。これもまた映画史に残る作品。観ることができてよかったです

 私の評価:☆☆☆☆☆(5つが満点、つまり満点です。)

 追伸:今回の「映画の話」で900回を迎えました。いつも楽しみにしてくださっているみなさま、ありがとうございます。これからもよろしくお願いいたします

映画の話・899 「 ウォーターボーイズ 」

137280_31 2001年の日本映画です。

 公開当時一斉を風靡した、青春映画の王道ですよね。ただ「青春映画の王道」とは言いましても、昔ながらのそれではなく、いわば「青春映画の新しい方向性」を示した作品といっても過言ではないのではないかと思います。本当に「男子のシンクロ」は当時大反響を巻き起こしましたし(現在どんな感じで残っているのかは知りませんが・・・)、まさに社会現象と言っていいくらいでした

 お話の方も、夏という季節にとっても似合うさわやかな青春ものでしたし、妻夫木くんはじめ出演しておられる方々ももう本当にさわやか(玉木宏さんは、今とちょっとイメージが違いましたが)。夏の日差しに照らされる水面の水しぶきのように、本当にさわやかな映画でした。この作品も、ある意味、日本の映画史上に残る作品ですよね。まだ観ておられない方はぜひ・・・。

 私の評価:☆☆☆☆(5つが満点です)

 追伸:私のブログの代表的なシリーズ、「映画の話」も次回でとうとう900回となります。900回記念にはさて何の作品が出てきますやら。よろしければまたご覧ください。・・・実はもう考えてますけどね

映画の話・898 「 スウィングガールズ 」

142270_11 2004年の日本映画です。

 “ウォーターボーイズ”の矢口史靖監督による、これもまた王道青春ものです。前作は男子高校生たちの「青春」でありましたが、今作は女子高校生たちの「青春」です。まあ中には男子も混じっておりましたが(笑)。

 基本的には“ウォーターボーイズ”の路線を踏襲しております。ただ、前作より「苦労」「苦難」も増え、その分感動もより深まったかなあという気はします。毎日の生活に「目的」が見つけられなかった高校生たちが「音楽」に出会って、やがて楽しみを見つけてゆく。そして「仲間」、「友情」の大切さを学んでゆく

 公開から数年経った今でも、上記二作は青春映画の王道だと思います。映画好きを自認するなら「必見!」の作品だと思いますよ。

 私の評価:☆☆☆☆(5つが満点です)

2014年11月14日 (金)

”MOZU シーズン2”観とどけました

Img_2415 TBS系ドラマ「MOZU シーズン2」終わりましたね~。この秋私が見ているドラマはNHK火曜10時の「さよなら私」とこの「MOZU シーズン2」の2本でした。他にも観ようかと思った作品はあるのですが(たとえば「Nのために」とか)、これ(3本)以上になるとなかなか見る時間が取れないのです

 で、特に「MOZU」、前回のシリーズがとってもよかったので、このシーズン2も早く地上波でやってくれないかなあと、ずっと心待ちにしていました。で、観始めましたら、「あれもう終わり」って感じで、昨日最終回を迎えました。まあ、おもしろかったことはおもしろかったのですけどね、でも、やっぱりシーズン1の方が上だったかな。あの緊張感はやっぱり凄かったですから

 でも、最終回を見た後、衝撃の事実が(笑)。来年、映画になるんですかなるほど、それならこの”シーズン2”が中途半端な感じで「すぐに」終わったのも理解できます。つまり映画版への「つなぎ」だったのですね

 映画版、楽しみです。TVではなく映画なのですから、映像的にももっと「どぎつく」やってほしいものです。シーズン1を上回るくらいに。いえ、私、グロいものとかは基本的に苦手ですが、シーズン1はおもしろかった。あれを上回る感じで印象的な映像を、そしてお話を見せていただきたいです。今から期待値が上がっています

 写真は昨年の、京都嵐山の紅葉です。ちょうどいま時分だったと思うのですけど・・・。

2014年11月11日 (火)

映画の話・897 「 ソルト 」

153271_11 2010年のアメリカ映画です。

 基本的に私はあまりスパイものが好みではありません。ですので本数もそれほど観ていませんし、造詣もまったく深くない。ですのでそんな「スパイ映画素人」の戯れ言(ざれごと)ですので、その方面がお好きな方はあまり気にしないでください(苦笑)

 う~~ん、正直お話はなかなか複雑で、わかりにくかったですね~。いえ、「ソルトは何者か?」「真の犯人は?」というあたりの疑問は最後まで興味を引っ張ってくれましたが、最後お話がわかったあとも、何となく「それでいいの~?」という気持ちになりました。何となく釈然としないものが心の中に残ってしまいました

 やぱり見所はアンジーのアクションなんでしょうね。これについては、興味深く見せてもらいました。かっこよかったです。それと、アクション以外の演技、たとえばその時々の表情なども、いろいろと語っておりました。趣がありましたよ

 アンジーがみたいとおっしゃる方には、なかなか見所のある作品だったのではないかと思います。お話としては、まあ及第点なのかなあとは思いましたが、もう一つ改善の余地ありなのかなあとも思いました。・・・いえいえ、素人の戯れ言ですけどね。失礼いたしました

 私の評価:☆☆☆(5つが満点です)

映画の話・896 「 オーケストラ! 」

153283_11 2009年のフランス映画です。以前、「しゃべくり007」で徳井さんが推薦されてた作品です。

 なかなか爽快な作品でした。ふとしたことで人生を狂わされた男が、これまたふとしたことから人生を取り返すお話。数十年前にやり残したことを取り返すために奔走する姿に、観ているこちらは何度も「もうだめか!」と思わされますが、最後は大団円。見終わって爽快な気持ちになりました。それに、ラストの演奏シーン。いや~、お見事!お話の展開とは別に、このシーンだけ見ても見応えのあるシーンでした



 アンヌ・マリー・ジャケを演じたメラニー・ロランさん。私、この方を存じ上げなかったのですが、う・美しい芯の強そうな目元に整った顔立ち。その立ち姿、演奏する姿が“凜”としていて、本当に魅力的でした。これから様々な作品でもっともっと見たい女優さんです。この方の存在を知ることができただけでも、本作を観た甲斐があったというものです(笑)
 それから、お名前がわからないのですが、主人公の友人を演じ、ずっとサポートをしていられた、長髪・ひげ面の、チェロを弾いておられたあの方。いい味出してましたね~。このコンサートの成功は、ある意味この方のおかげといっても過言ではないかもしれません

 それぞれの思惑や、過去の心残り、政治的なこと、・・・さまざまなことが混ざり合って、それが最後に「音楽」という形で昇華されていく。音楽のもつ力のすばらしさを再認識させられるとともに、人生、捨てたもんじゃないなと思わせてくれる作品でした。日本風の「勧善懲悪」ではありませんが、人生、いろいろなことがあっても最後は報われる・・・ということを信じたくなるような、気持ちのいい作品でした

 私の評価:☆☆☆☆(5つが満点です)

映画の話・895 「 あんにょん由美香 」

151804_11 2009年の日本映画です。

 林由美香さん(一時人気のあったAV女優さんです)のことは以前から知っておりましたが、私自身は特にファンというわけでもありませんでしたので、亡くなられてからのいろいろなメディア等での取り上げられぶりにちょっと驚いたりもしておりました。この人って、こんなにいろんな人に影響を与えていたのか~・・・って感じで

 で、今回本作を観まして、容姿や演技(艶技?)以前にその人柄が愛されていたんだなあと、妙に納得してしまいました。正直、本作ではその「愛される人柄」を描ききるところまではいっておりませんが、画面に登場する方々が由美香さんを語るその「語り口」に愛情があふれておりました

 ドキュメンタリー作品としては取り立ててどうと言うこともないのですけれど、やっぱり人間は「人柄」が大切なんだなあと妙に感慨深い気持ちになりました

 私の評価:☆☆☆(5つが満点です)

映画の話・894 「 M:I:Ⅲ 」

144975_11 2006年のアメリカ映画です。

 

 

 なかなかおもしろかったです。お話も二転三転し、どんでん返しの連続で興味をひかれましたし、アクションは(ちょっと見慣れてきてしまったところもあるのですが)相変わらずかっこよかったですし

 ただ、結局ラビットフットとは何だったのか?とか、それ以外にもいろいろと「?」な点があったのがちょっと残念でした。そのあたりが整理されていると、もっともっといい作品になったのだろうと思います。

 まあ、最終的には☆3つかなあ。結局は今までの流れを踏襲した(もしくはそれを発展させた)印象しかありませんでしたので。でも、おもしろかったですけどね。

 私の評価:☆☆☆(5つが満点です)

映画の話・893 「 奇妙なサーカス 」

144387_11 2005年の日本映画です。R18指定。園子温監督の、園子温らしい作品です。一般には、あまりお勧めしません

 園子温監督作品ですのでね、ある程度は予想(注意、警戒?)しながら見始めたのですけどね、予想をはるかに上回るエロさとグロさに、かなり辟易はいたしました(苦笑)。でもね、特に親子の情事のシーンはかなり嫌悪をおぼえましたが、サーカスのシーンに代表されるような、いわば退廃的なグロについては個人的には嫌いではないので、興味深く観ることができました

 お話の方も、初めはかなり難解。見終わって何度も反芻して、「やっぱりそういうことだったんだよな~」とようやく納得。なかなか深いそして一筋縄ではいかない(二筋縄でもいかないかな・・・)作品でした

 夢野久作氏の「ドグラ・マグラ」のような、現実と幻想とが入り混じった世界観。「好き」か「嫌い」かに大きく分かれる作品だと思います。私は嫌悪感を感じながらも、「好き」ですかねえ。心の奥底に隠しておいた、「秘密の自分」をさらけ出されたような、そんな作品でした。違和感は感じながらも、よくできた作品だったと思います。でも、一般にはお勧めしませんよ。嫌悪を感じる方は、徹底的に嫌悪を感じられるだろうと思いますので

 私の評価:☆☆☆☆(5つが満点です)

2014年11月 7日 (金)

『 告白 』(町田康・著)読みました

Img_0772 町田康さんの本を読んだのは初めてでした。いえ、以前からそのお名前はよく知っていたのですけどね。でも、以前から音楽の方面でもマニアックだった私、町田康さんがまだ町田町蔵の名でパンクバンド(INUでしたっけ?)をやっていた時から知っておりましたので、作家・小説家というよりもパンクロッカーという印象が強く、それがかえって町田さんの小説を読もうという気にさせなかったのです

 けれど今回町田さんの小説を読もうと思ったのは、お友だちに勧められたから。私たちが住んでいる地域でかつて本当に起こった出来事を元にして書かれた小説があるよ~ということで、私も興味が湧き、読んでみることにしました。総ページ数約850ページ、かなり分厚かったですけどね。でも、わりとサクサク読めました

 ただ、特に会話の部分が完全に河内弁で、ここで住んでいる私でこそ意味はわかりますが、「これ、他の地域の方が読んで意味わかるのかなあ」という疑念は浮かびましたけどね。たとえば「しゃあけどおかしやんけ。わいが言うてんのがほんまで向こが言うてんのが嘘や。」とまあこんな感じです。私も普段から「しゃあけど(訳・そうだけど)」とか言ってます(笑)。でも、谷崎潤一郎賞も受賞しているほどですから、まあ、わかるんでしょうねえ

 で、感想。いや~、本当におもしろかったですわ~。いや、おもしろかったというのは語弊があるかもしれません。基本となる感想は、「悲しかった」「切なかった」ということになると思います。ただ、その「悲しい」お話を非常にユーモラスに、ユーモアにあふれた表現で描いている。途中、読みながら心の中では笑い泣きしてしまいました。そういう意味では不思議な作品でした。

 主人公は今で言う「千早赤阪村」に住む城戸熊太郎。この男、大変な放蕩者・乱暴者で最後には十数人の人を殺してしまうとんでもない人間・・・と、一見こんなふうな書かれかたなのですが、実はこの熊太郎、本当は繊細な人なのです。繊細すぎて、そして真面目すぎて上手く世の中を渡れない。人づきあいもうまく出来ない。それゆえ、やることなすこと結局うまくいかず、最後には悲しい結末になってしまう・・・。

 この作品を読んでまず感じたのは、雰囲気が太宰治さんの「人間失格」に似ているなあということ。それから映画でいえば「十階のモスキート」を思い出しました。

  実は私自身、いろいろと考え過ぎて悩みこみ、うまく前へ進めないことが多々あります。まじめに考え過ぎて世渡りがうまくできず、人間関係もうまくいかず悩むことはしょっちゅう。まあ、さすがにこの歳ですので、今はそれなりにやれてはいますがね。ですので、真面目すぎて上手く生きていけない人に対して共感を覚え、応援したくなるのです。この小説の主人公・城戸熊太郎、人間失格の葉蔵、十階のモスキートの警官(名前、忘れました)、すべて同じタイプです。

 このお話を読んで、熊太郎の最期にかなり悲しい・切ない思いを抱いたのですが、ひとつ救われるエピソードが。このお話、明治の初めに本当に起こった出来事をモチーフにしているのですが、この事件があってすぐ後、この事件が河内音頭の題材として取り上げられ、いろいろなところで披露されるたびに人気を博したそうです。特に熊太郎が人を切りまくるところ、特に松永熊次郎(これが本当に悪いやつですねん)を斬る場面では拍手喝采。犯罪者の熊太郎がまるでヒーローのように扱われており、そのエピソードを聴いて、ちょっと胸がすく思いでした

 「告白」と言えば湊かなえさん・・・と思っていらっしゃる方も多いと思いますが、こちらの「告白」もかなりおもしろいです。私の中では人生の中の一作になりました。(他には「人間失格」「こころ」「模倣犯」「龍馬がゆく」など)勧めてくださったONさん、ありがとう。これからもまたいい本、紹介してくださいね。それから余談ですが、せっかく近所に住んでいるので、近いうちに舞台めぐりに行ってきたいと思います。なかなか時間は取れませんが

 私の評価:☆☆☆☆☆(5つが満点、つまり満点です)

2014年11月 4日 (火)

映画の話・892 「 ロボジ― 」

157160_11 2012年の日本映画です。ウォーターボーイズ、スイングガールズの矢口史靖監督作品。

 お話の目の付け所はとっても良かったと思いますし、出演されている俳優さん方もミッキー・カーチス・・・じゃなかった五十嵐信次郎さんはじめ、吉高さん・濱田くん・チャン川合さん、それ以外の方々もとっても良かったと思います

 ただね~、元来理屈っぽい私、一番最初にロボットがつぶれてしまって代わりに中に人間が入るといったところから、もうそれが気になって気になって、作品にのめり込めなかったのです。つまり、コンプライアンスの問題として、そんなことして一度はごまかせてもそのうち絶対にばれるのだから、早いうちに正直に言った方がいい・・・というのが気になって気になって、お話に素直にのめり込めなかったのです

 そんなこと言い出したら、本作品を全く楽しめなくなってしまうとおっしゃる方がいると思いますが、だからまさにその通りなのです。物語の最初に引っかかってしまったので、この作品のおもしろさは十分に理解できながらも、心の底から楽しむことができませんでした。ラストも「ああいう終わり方」でしたので、「そうか~」とまさに悶々。結局、「このお話は、ノンフィクションだから・・・」と、現実と切り離して考えることができなかった私の「負け」、そんな気がした作品でした

 私の評価:☆☆☆(5つが満点です)

映画の話・891 「 心 」

11020659901 1973年の日本映画です。

 近現代文学史上最も読まれた作品であるかもしれない夏目漱石の「こころ」を、設定を現代(といっても、昭和40年代くらい)に置き換えて、また「大胆な脚色」を加えて映画化した作品。だいたいお話が始まって「この人が主人公である『私』=『先生』だな」と思って観てましたら、その人は「K」と呼ばれてるし、本来の「K」は「S」と呼ばれてるしで(ついでに「お嬢さん」は「I子」でした・笑)、ちょっと混乱させられました
 でもね、先ほど「大胆な脚色」と書きましたが、見終わってみると結局のところのテーマは原作とさほど変わらない感じもしましたけどね。

 ただ、原作ではそれほど存在感を持っていなかった「奥さん」(とは言っても、Kに「私」と「お嬢さん」の婚約のことを話しちゃったのは、この「奥さん」ですけどね・汗)が、この映画ではかなりの存在感を持って描かれてます。そりゃもう、怖いぐらいです(笑)

 誰の心の中にも存在するであろう“エゴイズム”、それはまさに明治時代でも現代でも同じ。その虜になってしまった人間のその後の人生を描く・・・という感じで、ATG作品らしく非常に暗~いタッチで描かれております。「こころ」という作品のテーマとATGらしいこの感じ、非常にマッチしております。この平成の世の中にはあまり受け入れられないかなあという感じもしますが、「むかし人間」の私には、この「暗さ」が結構心地よかったりもします

 私の評価:☆☆☆(5つが満点です)

映画の話・890 「 ツレがうつになりまして 」

156084_11 2011年の日本映画です。

 まず、宮﨑あおいさん・堺雅人さんのお二人が非常に力の抜けた演技をされていて、本当にお見事だなあと思いました。このお二人の達者な演技のおかげで、違和感なく本作の世界を堪能することができたように思います。本作の中のエピソードにも登場しますが、うつ病の方には「励まし」たり頑張ろうと「力を入れ」たりすることが良くないと聞きます。本作のそんな世界観がお二人によって体現されているように感じました

 お話の方は、もう「納得」の連続。私自身はうつ病にもなったことはありませんし(でも、仕事がイヤだな~と思うことはしょっちゅう・笑)、周囲にもうつ病の人は今のところいませんので、「そうなのか~」の連続でした。でも、誤解されることの多い病気ですよね。単に「サボってる」だけにみられたりして。そういう世間の誤解を解き、うつ病に対する理解を広めることに、本作品は一役も二役も買っているように思いました。うつ病のことをわかりやすく取っつきやすく描いておりました

 完全なるハッピーエンドではありませんが、それもまたリアリティーがあって好感が持てました。最後の講演の「恐縮だが」のおじさんのエピソードも良かったですね。うつ病の方、またはその関係者の方がみられたらどのような感想を持たれるのかはわかりませんが、しっとりとしていてほのぼのしていて、しみじみと心が温まる、そんな作品でした

 私の評価:☆☆☆☆(5つが満点です)

映画の話・889 「 俺はまだ本気出してないだけ 」

161252_112013年の日本映画です。

 昔からよく言いますよね。「やればできる」とか「本気出してないだけ」とか。私、昔からそういう言葉が大っきらいでね、「しない」「できない」ことの単なるいいわけにしか聞こえないのです。実際、そうだと思いますし

 で、本作品、その「言い訳」の部分を逆手にとって、中年男の情けなさをうまく描いております

 でもね、人生いつまでもそんなふうに言い訳ばかりしていたらだめですよね。どこかでまさに「本気」にならないと。本作の中の堤さんの生き方は最後まで納得できなかったのですけれど、意識してか知らずか、実はその堤さんを反面教師にしたような生瀬勝久さんの生き方こそが、本作のテーマだったのかもしれません。

 私の評価:☆☆☆(5つが満点です)

  

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