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2014年7月20日 (日)

映画の話・832 「 薄れゆく記憶のなかで 」

18_15284581 1992年の日本映画です。

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 「知る人ぞ知る名作」と噂の本作、私もどうしても観たいと思い様々なレンタルDVD屋さんを探したのですが、結局見つかりませんでした。で、オークションでVHSビデオを落札し、それをDVDに焼いて、ようやく観ることができました。苦労しました



 本作を観て、まずは「粗い」という印象を受けました。お話の展開も映像も出演者の演技も、とにかく洗練されていない・・・。でもね、実はこれは悪口ではなくて、その「粗さ」「洗練されて無さ」がこの作品の大きなテーマである「初恋」の「洗練されて無さ」にとってもマッチしているのです。まさに絶妙のバランスです



本当に「初恋」って、いろんなことがうまくいかないものですよね。好きなのに無愛想にしてしまう・話がしたいのに無口になってしまう・・・。そういう「もっとうまくやりたいのに、うまく出来ない」というやるせなさみたいなものが、本作には溢れております

 本作品には、大人なら誰しもがかつて経験した「あの頃の気持ち」が詰まっております。もうかなり年齢を重ねていろんなことに「鈍感」になってきた私ではありますが、今から数十年前、若かりし頃、「あの人」の事を考えて、そして二人の「これから」を考えて、切なくなって眠れなくなったことが何度もありました。この作品を観て、本当に久しぶりに「そんな気持ち」を思い出してしまいました


 ひとつ、本作の中のエピソードに触れさせてください。確かお祭りの夜のエピソードだったと思いますが、香織(菊池麻衣子さん)が和彦に自分の秘密を明かそうとしたあのシーン・・・。ネタばれになってはいけませんので詳しい内容は書けませんが、「あの時こうやっていたら、結果は変わっていたかも・・・。」ということが人生には何度かありますよね。この時の二人も、友だちが現れずあのまま会話ができていたなら、その後の人生も変わっていたかもしれないと思うと、観ているこちらも切なくて仕方ありませんでした。そういう意味で、人生は残酷ですよね。いえ、そういうところで「縁」があるかないかが分かれるのかもしれませんが。


 映画としての完成度を言うのなら、この作品はそれほど高くないのかもしれません。けれど、これほどまでに心の奥底に沁み入ってくる作品も、なかなかないと思います。本作品を観ているうちに、観ている自分自身が「佳織」になり「和彦」になって、忘れかけていたあの頃を思い出す・・・。本当に、隠れた名作と呼ぶにふさわしい作品でした。私の人生の中でも、大切な何本かのひとつになりそうな気がします

 私の評価:☆☆☆☆☆(あえて満点にさせていただきます)

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