映画の話・596 「 おにいちゃんのハナビ 」
2010年の日本映画です。
白血病の妹を中心とした、よくある難病もの・お涙ちょうだい的ストーリーかと思って観はじめましたら、これは違いましたね。実際の主人公は引きこもりの「おにいちゃん」でありました。もちろん白血病の「妹」もお話の「芯」の部分にかなり絡んでくるのですが、実際のお話の中心は、引きこもりになったお兄ちゃんが、家族に支えられ、周りの人に支えられ、そしていかにして「部屋から出てくるか」といったところです
。
私は単なる「お涙ちょうだいもの」があまり好きではありません(といいますか、はっきり言ってキライです)ので観はじめたときは「どうなんだろ~」と思っておりましたが、実際の主人公が「おにいちゃん」だとわかってからは、俄然お話に興味が出てきて、お兄ちゃんが一つひとつ壁を乗り越えていく姿に、かなり「グッ」と来ました
。
あ。頑張ろうとしているお兄ちゃんが嫌がらせされたり、頑張りかけていても妹の死によって挫折しかかったり、実際にありそうな展開が、かえってリアリティを生んでおりました。こういうお話の場合、なんでもかんでもうまくいきすぎて「実際にはそううまくはいかないだろ~
」
。
そして、幾度かの挫折を乗り越えた「おにいちゃん」と地元の人々が見つめる「花火」のシーンは、本当にクライマックス。わかっていてもかなりグッときてしまいました。
妹を演じた谷村美月さんもよかったですが、この映画の中ではなんといってもやっぱり高良健吾さん、よかったですわ~。様々な映画で本当に様々な、雰囲気の違う役をされておられますが、本当にうまい。技量だけではなくて、そのムードからしてその役になりきられてる。同年代の役者さん方の中で、ひとつ抜き出た存在になってきているような気がします。この方の安定感のある演技も、この作品を成功させた大きな要素の一つだと思います。
あ。
私の評価:☆☆☆☆(5つが満点です)
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