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2010年2月10日 (水)

ジョーが人生を教えてくれた・・・『あしたのジョー』(ちばてつや・高森朝雄)

214wq9z7a1l_sl500_aa140_1 以前のブログ記事より、再録です。以前のこの記事にコメントを下さった方々、せっかくコメントをくださったのに消えてしまうことになりまして本当にすみません

 私、実は少年漫画より少女漫画(80・90年代の漫画です)の方が詳しいのですが、数少ない、影響を受けた少年漫画のひとつがこの「あしたのジョー」なのです。いや~、本当に素晴らしい。私はこの漫画によって、人生のなんたるか・・・の何分の一かを教えてもらったといっても過言ではありません。

 「あしたのジョー」と言えば、いちばん有名なのは力石徹との死闘ですよね。そして、力石が死んだときには実際に(現実に)お葬式まで行われた・・・有名な逸話です。

 でも、私がこの漫画の中で一番好きなのは、力石を死なせてしまったジョーがものすごく苦悩し、一時はどさ周りの見世物としてリングに立つ、そのあたりのエピソードなのです。昔の講談社コミックスぜん20巻の巻数で言うと、力石が死んでしまうのが第8巻のラスト。そして9巻から11巻までがその苦悩が描かれている巻だということになります

 そのあたりのエピソードをもう少し詳しく言うと、力石を死なせてしまったあともジョーはリングに立ちます。しかし実は力石に致命傷を与えたテンプル(こめかみ)は打てなくなってしまうのです。そしてそのことは他のボクサーにも知られるところとなり、ジョーは試合に勝てなくなってしまいます。(むりしてテンプルを打ったジョーは、気分が悪くなり、リング上で嘔吐してしまったというエピソードもありましたっけ。)

 もう中央のリングには上がれなくなってしまったジョーですが、自分の生きるところはリングの上だけと悟ったジョーは、地方のどさ周りの、八百長などなんでもありのいわば「見世物」としてのボクシングに出場し、生きていきます。「力石殺しのジョー」は、地方ではまだまだ小金が稼げるからです。このあたり、本当に泣かせます

 しかし、地方のどさ周りの仲間とみたTVのボクシング中継の中で、ベネズエラ出身の”カーロス・リベラ”というボクサーの試合を見たとき、力石が死んでからジョーの中で眠ったままになってしまっていた本当の闘志よみがえってきます。「ぜひ、こいつと闘ってみたい」その思いを胸に、ジョーは再び中央のボクシング界に帰っていくこととなります。そしてそのあと、カーロス、金龍飛、ハリマオ等々、そしてホセ・メンドーサと死闘を繰り広げていくこととなります

 たぶん先に紹介させていただいたこのあたりのエピソードは、全体の中では最も面白くない・人気のない部分だと思います。でも、私は、「あしたのジョー」が名作であるためには、この部分がなくてはならなかった、もしくは、この部分があるからこそ「あしたのジョー」は名作なんだと考えています

 人生、いい時ばかりではありません。どんな人にも、いい時があれば悪い時もあります。ジョーのこの部分、第9巻から11巻はそういうことを教えてくれているように思います。いい時ばかりの人生なんて、かっこいい時ばかりのヒーローなんて、嘘っぱちです。ジョーにはこの部分があるからこそ、リアリティーがあるのです

 そのほかにも、リアリティーのあるエピソードが満載です。全20巻の中には、超人的なかっこいいジョーばかりが登場するのではありません。好きな人にうまく告白できなくて、そして親友にとられてしまう切ない「ジョー」もいます。孤独に耐えきれない「ジョー」もいます。そして、私は確かに、このような等身大のジョーに、人生のいくつかの部分を教えてもらったのです。

 今ではもう、漫画としては「古典」の部分に入ると思います。でも、もしよろしければ、一度読んでみてくださいね。本当に、へたな文学作品より、人生を教えてくれますから。あ、そうそう、原作者の「高森朝雄」さんは昭和を代表する原作者「梶原一騎」さんと同一人物です。

 私の評価:☆☆☆☆☆(もちろん満点です。私が評価するのもおこがましいくらいです。)

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コメント

はあ〜・・・なんか全巻読んだような・・・そんな日記でした。
私「あしたのジョー」は読む切っ掛けも縁もなく、でもちば先生の絵柄だけは見とれるほど好きで、言ってみれば、あの「線」のファンなんですが・・・。
げばらくんの日記だけで泣きそうになりましたよ・・・ほんとにげばらくんは上手いなぁ・・・。とてもよく解りました・・・。
もう「ジョー」読まなくてもいいや(爆)。

「ガラスの仮面」はジョーのパクリですかね(^^;?

ケルビムさんへ

 お褒めいただき、ありがとうございます。でも私、話の筋等を語るのは苦手なんですよね。ですから最近は、「映画の話」でも「読みました」も、あらすじは書いてない(笑)。
 でも、ジョーは本当に素晴らしいです。私の人生に大きな影響を与えた作品を二つ・・・といわれれば、この「ジョー」と「ど根性ガエル」です。ど根性ガエルは影響が大きすぎて、いまだに書けません

 でも、機会がありましたら、一度読んでみてくださいね。
 ガラスの仮面、私も途中までは読んだのですけど、途中で読むのやめちゃいました。だって、次の本がなかなか出ないんですもん

ちば先生,梶原さんの支離滅裂な原作に悩まされて,描くのを非常に苦労されたとか。
でも本来なら同じ大きさで描かなくちゃいけなかったジョーと力石なのに,力石を大きく描きすぎて,戦うために減量させる原因を作ったのはちば先生とか。

梶原さん,当時マガジンに「巨人の星」を連載しており,同じ名前じゃまずいということで,本名の高森朝樹に似せて高森朝雄の名を使ったとか。
他にも高森名義はありますが...

熊本の出身と自称しておられますが,東京の方です。

波乱万丈に生きられた方で,それは感嘆すべきでしょうけど,私は友達にはなりたくないです。

さっかんさんへ

 高森さん=梶原一騎さんは、本当に波乱万丈の人生でしたね。最期の時も、壮絶でした。ただ、その、描かれる世界は、やっぱりすごかった。感動的でしたね。私も知り合いにはなりたくないですが(汗)。

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