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2009年12月 1日 (火)

『対岸の彼女(角田光代さん著)』読みました。

2009120119090000_2  以前に読んだ『八日目の蝉』(http://ichi-papa.blog.eonet.jp/default/2009/10/post-39ed.html)がとっても良かったので、同じく角田光代さんのお話が読みたくなって、まずは有名な『対岸の彼女』を読みましたよ

 読んだ後まず最初に思ったことは、よくもここまで人の心の中をうまく描ききることが出来るなあということでした。心の奥のひだの部分、隠しておきたい部分まで突っ込んで描けるなんて・・・。この感じ、誰かに似ているなあと思ってふとひらめいたのが、「そうだ、太宰治に似た感じなんだ」ということでした。

 いや、もちろん太宰は男で角田さんは女、そのあたりからして違うのですけれど、それでも「隠しておきたいところまで暴かれてしまう事に対する、ひとつの快感(?)」は、太宰のそれに似ているような気がしました。みなさんの賛同は得られないかもしれませんが(笑)。

 主人公は独身者の「葵」と既婚者の「小夜子」(そして「葵」の高校時代の友人である「ナナコ」)。二人はまったく違うタイプの人間のようですが、その共通点は、人付き合いが苦手なことけれど、今の社会で生活していくためには、それでもなんとかいろいろな集団の中でいろいろな人とつきあっていかなければならない・・・。その中での様々な苦労やそれにまつわるお話が、痛いほど分かって本当に切ないです。なにを隠そう私も人付き合いが苦手な方ですから

 そして辛い思いをしながらも、やはり生きていかなければならない・・・。そのためには、時には思い切って、一歩踏み出さなければならない・・・。そんなことを教えてくれているようでした

 いえ、私は男ですから、本当の意味では主人公達の気持ちは分からないのかもしれません。その意味では「対岸」にいる、まさに対岸から彼女たちを観ている存在なのかもしれませんが、それでも女性のお友達は多い方なので、その方々から耳にする話、そして実際に目の当たりにする状況が、本作には本当にリアルに丁寧に書かれています。正直、このようなお話を実際に見聞きすると「ああ、男でよかったなあ」とよく思います。たとえば気の合う人がその集団の中にいなくても、男ならば一人でいても平気ですからね

 男の私が読んでも、本作は名作だと思いますが、やっぱりこの作品は女性に読んでもらいたいと思います。特に、人付き合いに疲れた方に。きっとなにかしらのアドバイスを与えてくれると思います。

 私の評価:☆☆☆☆☆(5つが満点です。)

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コメント

読んでみたいと思います。
いつも貴重な情報ありがとうございます。

とっても胸が苦しくなるようなお話ですよね。
私も器用な方ではないので(そんな風に見えないでしょうが…)、居場所の無さってよくわかります。
傷つきたくないから自分でバリアを張ってしまうくせに、ありのままの自分をさらけ出せる「誰か」を求めているという矛盾も。
繊細な心理描写が素晴らしかったです。
それにしても、男性がこの小説に反応されるのってやっぱり珍しいんじゃないかなぁ。
ich-papaさんって女心がわかる人だなぁと改めて感心いたしました。

agapeさんへ

 そうですね。agapeさんなら、この感じ、わかってもらえると思います。また読まれたら、感想を聞かせてくださいね。

生ハムメロンさんへ

 生ハムメロンさんが人間関係に傷つきやすい方だということは、よく承知しておりますよ
 実はこの本を買ってきたとき、うちの奥さんに「それは女性向けの本だと思うから、男の人が読んでもおもしろくないと思うよ」といわれました。でも、私にとっては、おもしろかったですけどね。

 女心がわかっても、モテることとは無関係だなと思う、今日このごろなのでした(笑)。

はじめまして。
私も、角田光代さんの、八日目の蝉を読んでから、角田ワールドにはまりました。
この方はとても心理描写が鋭いですね。
時々、ドキッとするほど日常をえぐってかいてます。
私はこの対岸の彼女はさわやかに読めました。
トリップ,や、空中庭園は、ちょっとシリアスすぎるなぁと思います。
なので今のところはやさしさに包まれた八日目の蝉がベストです。

ばくうさぎさんへ

 はじめまして。コメントをいただき、ありがとうございます。おっしゃること、その通りだと思います。でも、実は私、まだ「八日目の蝉」と「対岸の彼女」しか読んだことはないのですけど。次は「空中庭園」を読もうかと思っていたのですが、シリアスなのですね。心して読みます(笑)。
 「八日目の蝉」は、本当に今でも思い出すと切ない気持ちになります。角田作品の中でというより、今まで読んだ本の中でも、私にとって特別な本になりつつあります。

 よろしければ今後も時々はお立ち寄りください。本の事ばかりではなく、映画や日常の事なども書いておりますが。それでは、ありがとうございました。

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