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2009年10月

2009年10月31日 (土)

ちあきなおみ・Ⅱ

8jmsoopf1  注:先の記事とあわせて、この記事も以前の私のブログに”2008年1月26日付”で書かせていただいた記事です。記事の中身は完全に当時のままにしてあります。今読むと変な感じを受けるところもありますが、ご了承ください。それでは・・・

 ・・・昨夜、TV東京系「誰でもピカソ ちあきなおみ特集」観ました。う〜ん、やっぱり素晴らしいただ、番組の出来としては、昨年NHK−BSで放送された「ちあきなおみの世界」のほうが上だとは思いますが。
 以前このブログでちあきなおみについて取り上げたとき(昨年の10月25日分を参照してください。)にも少しふれたのですが、やっぱりこの人の歌はすごい。ただの歌じゃ、ない。もちろん歌にもいろんな歌があっていいと思いますが、この人の歌には本当にがある。この人の歌には、「お芝居」というか「ミュージカル」というか一つ一つの歌に物語があって、しっかり感動を与えてくれます。「ねぇ あんた」っていう歌なんかは、本当にすごいです。聞いているうちに、いろんな世界が目の前に見えてきます。ただ、私は引退寸前の頃の、ちょっと抑えた歌い方の方が好きですけど
 今の歌手のなかに、彼女のような歌手はいませんが、強いて近いタイプをあげれば(まったくの私見なのでいろいろ反論もおありでしょうが)中島みゆきでしょうか。

 彼女を知っている人は、誰しも「早く復活してほしい」とおっしゃいます。私もそう思います。私、彼女の熱烈なファンというわけではありませんが、彼女の歌は芸術です、これを埋もれさせてしまうのは本当に惜しい。失礼な言い方になるかもわかりませんが、生きていらっしゃるうちに、歌うことが出来るうちに、みんなの前にもう一度出てきてほしいと思います。このまま出てこない方が「伝説」になって、いいとおっしゃる方もいらっしゃると思いますが、今でも十分伝説になっていると思います。今度は復活して、あたらしい伝説を創って行ってほしいと思います。そして新たな感動を、私を含め多くの人に与えてほしいと思います祈・ちあきなおみ復活

 写真は、私が唯一持っているちあきなおみのシングルレコード(ドーナツ盤です)「夜間飛行」のジャケットです。確か、「喝采」の次のシングルだったんじゃなかったかなあ。違ってたらすみません

2009年10月30日 (金)

「ちあきなおみ」を知っていますか?

41wwddewtql_sl500_aa240_1  この記事は、以前の私のブログにちょうど2年前の”2007年10月25日付”で書いたものです。今回のブログの移転に関し、記事を失ってしまうのがもったいなかったので、改めてこちらに移させていただきました。以前読んでいただいた方は「またか・・・」という感じですが、悪しからずご了承ください。それでは、内容です・・・。

 ・・・今から30年ほど前に大活躍した歌手です。1972年に「喝采」でレコード大賞を受賞し、その地位を不動のものにしますが、1992年に夫である郷�治さんが亡くなってからは一切の芸能活動を停止し、現在に至っています。今、もっとも復帰を待たれている歌手といえるかもしれません。
 この方が活動されていたころ、私はまだ小さかったので、当時それほどファンだったというわけではありませんが、それでもここ何年かのうちに、この方の歌声(映像も含めて)に接することが多々あり、そこでもった感想は、とにかくこの方、本当に歌がうまい・・・というかものすごい表現力で、その存在感に圧倒されます。そういえば本当にまだ幼いころ、大晦日に行われるNHK紅白歌合戦に出場され、「夜へ急ぐ人」という曲をうたっているのを観たときに、その圧倒的な存在感に子どもながらに恐怖を感じたことを覚えています
 引退?されてからもTVのCM等で「黄昏のビギン(ネスカフェ)」や「星影の小径(AUDI)」を聴くたびに、本当に素晴らしいなあ、と思いを新たにしていました(本当にこの二曲聴いてみてください。本当に素晴らしいですから)。そしていまからちょうど2年前、NHK−BSで「歌伝説、ちあきなおみの世界」という番組を観てからは、本当にこの方に対して畏敬の念すら持つようになりました
 この人、本当のアーティストです。歌っている姿も、引退間際のころにはもう、演歌だ歌謡曲だという枠を超えてしまってます。独り芝居のようでもあり、ミュージカルのようでもあります。ご存じでない方は、一度歌を聴き、歌っている姿を見られることをお勧めします。本当に本当に素晴らしいですから。(ここ何年のうちに、DVD−BOXが何種類か発売されているのですが、そのほとんどが完売だそうです。その人気も、わかるような気がします。ちなみに私は何年か前に、CDをレンタルし録音して、それを聴いて楽しんでいます。)

 写真は、「ちあきなおみ大全集」のジャケットです。
 
 

透き通る、切ない歌声・・・柴田淳 

41g3pnak2hl_sl500_aa240_11  今日、仕事帰りの車の中でたまたまTVをつけていましたら、柴田淳さんの特集をやっておりました。みなさん、柴田淳さんご存じですか?シンガーソングライターさんです。メジャーデビューされてもう8年になるのですが、私、実は、デビューしたころから彼女のファンなのです。ひそかに応援し続けておりました

 彼女の最大の魅力は、何と言ってもその声でしょう。透き通るような切ないその声が、切ない歌の世界とぴったり合って、聴いているこちらまで切なくなってしまいます。そしてもう一つの魅力は、そのまじめな人柄じゃないかと思っています。

 もちろん私、柴田淳さんと知り合いではありませんし、お会いしたこともありません。ただ、そのブログhttp://www.shibatajun.com/index.php)はほぼ毎日チェックしております。そこでは日記がほぼ毎日更新されており、そのことひとつとってもその誠実さがうかがえるのですが、その内容も「芸能人・有名人」だという驕ったところがまったくなく、日々いろんなことに悩みいろんな事に喜ぶ、ひとりの「人間・柴田淳」が表現されております。このブログの日記を読むと、本当にこの人の人柄の良さ、素直さ、誠実さが伝わってきます。そういう点においても、彼女のことを知れば知るほど、応援したくなるのです。

 その人柄は、当然彼女の作る曲にも反映しているわけですが、そのあたりのことは、実は良くもあり悪くもあり・・・だと私は思っています。デビュー当時からのファンであり、応援するが故に書くのですが、彼女の曲はまじめで一生懸命なものが多い・・・というかほとんどがそういう曲です。それはそれでいいのですが、どうしても同じような曲調が多くなってしまい、また歌詞の方も切ない・暗いものが多くなってしまっているのも事実なのです。正直、今ひとつ垢ぬけきれない・・・。まあ、そこが魅力でもあるのですけどね。デビュー当時から比べれば、ずいぶんメディアへの露出も多くなり、有名にもなってきたと思います。今度は映画「おろち」の主題歌も担当されたことですし、ますます有名になってくるでしょう。でも、もう一歩その上に行くためには、なんとかもう一枚、壁を越えていかなければならないのでは、と思っています。

 ・・・でもね、こんなことを書いている私ですが、彼女のアルバムで一番好きなのは、デビューアルバムである「オールトの雲」なのです。その「垢ぬけなさ」がいい(笑)。その中でも特に気に入っている曲は「星の余韻」「変身」などです。今から7年ほど前、何か新しい曲が聴きたくてレンタルCD屋さんに行き、そこで聴いたこともないのにジャケットにひかれて借りたのが、実はこのアルバムなのです。いわゆる「ジャケ借り」です(笑)。それが私と柴田淳さんの出会いで、それ以来ファンになったのです

 以前に比べて、どんどん人気を拡大している柴田淳さん。ファンとしてそれはもちろん嬉しいことではありますが、デビュー当時から応援し続けている私としては、人気が出れば出るほど、ちょっとさみしい気持ちになっているのも事実です。でもね、やっぱりファンとしては、人気が出てきたことは素直に喜ぶべきでしょうね。柴田淳さま、どんなに人気が出ても、応援し続けますよ

 みなさなももしよろしければ、一度ブログもチェックしていただき、曲も聴いてみてください。写真はメジャーデビューアルバム、「オールトの雲」のジャケットです。

2009年10月29日 (木)

映画の話・165 「ブレード・ランナー」

4_579671  1982年のアメリカ映画です。

 噂には聞いていたこの作品、ようやく観ることができました。賛否両論あるようですが(特に原作を読まれた方の中に、強烈な支持者と強烈に嫌悪される方がいらっしゃるようですが)、私は映画として純粋に楽しめましたよ

 近未来の、一見華やかなようでいて実はすさんだ世界の様子が、その映像美によってよく表現されていました。東洋の下町(以前の九龍城のような)の雑多な街並みに心を惹かれました。ビルのCM映像の「強力わかもと」の芸者ガールにも(笑)。個人的にはこのような人間の「熱」が伝わってくるような猥雑な街、好きです

 ストーリーにもその映像にも強烈な個性があって、熱烈なファンがいらっしゃるのがよくわかります。1982年の作品ですか。以外と古いんですね。で、そのあとのSF映画に多大な影響を与えたということがよくわかります。だって、今までに観たその後に作られた作品の中に、似たような映像をたくさん観ましたからねえ。何かしらSF映画の教科書を観たような思いでした。とにかく、映画好きなら、この映画は必見でしょう。

 私の評価:☆☆☆☆(5つが満点です。)

2009年10月26日 (月)

映画の話・164 「WHITE MEXICO  ホワイトメキシコ」

20070712005fl00005viewrsz150x1  2007年の日本映画です。

 ストーリーはもちろん、行く先々の風景もこの映画の「雰囲気」を支えていますが、なんといっても出演されている方々の持つ雰囲気、それが何よりこの映画を支えているように思いました。若くしてなくなられる娘さんを演じたはねゆりさん、一緒に旅をする「パステル」を演じたティアラさん、お二人ともお綺麗でいい感じでした。そして何より主演「佐藤」を演じた大江千里さん、実は昔からファンでした(笑)。最近はあまり歌は聴かなくなりましたけれど(すみません)。でも、挿入歌(この映画の中で、挿入歌そしてそのバックで流れる映像はかなり効いてました。)を聴いて、そして何よりその演技を見て、まだまだ頑張っておられるんだなあとうれしくなりましたよ。かつての「あたたかいオーラ」を、スクリーンから感じることができました。これからも音楽の枠にとらわれず、活動・成長を続けていてほしいと思いました。

 以前ここでも書かせていただいた『風花』と近い感じを受けました。こういう感じ、嫌いではありません。
 
 ストーリーどうこうではなく、雰囲気を楽しむ映画でしたね。だから賛否両論はあると思います。あまり理屈を考えすぎる人には「ダメ」かな。私にとっては、どちらかというと「マル」でした(笑)。

 私の評価:☆☆☆(5つが満点です。)

2009年10月21日 (水)

映画の話・163 「 間宮兄弟 」

20060331002fl00002viewrsz150x11  2006年の日本映画です。

 う~ん、観ながらまず思ったことは「兄離れできない弟、弟離れできない兄・・・兄弟仲がいいのはいいことだけど、本当にこれでいいのか~??」といったものでした。でもね、この兄弟、本当に「善人」なんですよね。善人が一生懸命、日々生きている・・・。観ているうちに「ま、いいか。世界が二人の中で完結しているわけでもないし、ほんの少しの幸せを求めて、助け合って生きていくのもありか」と思うようになりました。
 一見おタクっぽい弟と、実は弟よりも変わっている兄。二人の周りで起こる出来事は本当にふつうのことばかり。本当にありそうなことですよね。その出来事の中でのちょっと恵まれない兄弟の様子が可愛らしくて、「次はがんばれっ!」って応援したくなります

 ラスト近くに兄が言った「これからも二人で静かに暮らしていこう」という言葉が、いろんな意味でこの映画のすべてを象徴しているかな?塚地武雅さんと佐々木蔵之介さんというキャストが、この映画の雰囲気にぴったり合っていました。それと、(失礼ながら期待していなかっただけに)北川景子さん、なかなかいい味を出してました。きっと賛否両論ある映画だと思います。まあ、難しい事は抜きにしてみれば、それなりに楽しめるのではないでしょうか。

 私の評価:☆☆☆(5つが満点です。)

映画の話・162 「 トイ・ストーリー 」

4_4505311  1995年のアメリカ映画です。ディズニー・ピクサーですわ

 最後に観たのはいつのことでしょうか。もう10年くらいたったのかなあ。でも、今でも鮮明に覚えています。それほど印象的な映画でした

 この映画、はじめはまったく観る気がしなかったのです。元来保守的なアナログな性分の私は、全編CGというこの映画に嫌悪感すら持っていたのです。でも、家族に薦められて観て、その評価は一変(いや、それまでに持っていたのは「評価」と言えるものではなく、本当に単なる「食わず嫌い」でしたが。)。本当にすばらしかったです

 CGによる絵(画面)もきれいでしたが、やはりお話が素晴らしかった。人間の知らないところで”おもちゃ”は生きているという着想(これ自体は新しいものではありませんが)・そしてそのおもちゃひとつひとつのキャラ設定(おもちゃだけではなく「シド」のキャラもキョーレツでよかったです・笑)等々、どれも心惹かれましたが、なんといってもバズ・ライトイヤー、彼の演技(?)はとてもよかったです。たぶんどの方も名シーンに挙げられるでしょうが、「自分は単なるおもちゃである」と気づくシーンは本当に切なくてよかったです。そして全体の話も最後はさわやかにハッピーエンドになり、観終わって「こころほんわか・いいものを観せていただきました」といった感じでした

 特に日本語版は唐沢寿明さん・所ジョージさんが声を担当されていて(名古屋章さんもよかったです・笑)、これがまたいいのですよ。特に所さん、バズにぴったりです。

 これから秋本番を迎えて、まさに寒くなる季節にぴったりの、心が温まる映画でした

 私の評価:☆☆☆☆(5つが満点です。)

映画の話・161 「 ぜんぶ、フィデルのせい 」

20071031029fl00029viewrsz150x11  2006年のイタリア・フランス合作映画です。

 ゲバラに心酔してる私としましては、以前から観たいと思っていた映画だったのですが、う~ん、難しかったですねえ。予想していた感じとかなり違っておりました。60年代末から70年代にかけてのフランス・スペイン・チリそしてキューバ革命について、多少なりとも知識がないとこの映画はあまり楽しめないのではないかとも思いました。私はキューバ革命以外はあまり知識もなかったので、ついていくのがやっとでした(汗)
 それでも、主人公アンナが様々な疑問を抱き、ひとに聞いたり自分で考えたりしながら理解を深めていく、そして成長していくその姿は、なかなかうまく表現されておりましたし感動的ですらありました。

 この映画の成功の要因の大きなひとつは、この「アンナ」を演じたニナ・ケルヴェルの存在でしょう。その存在感たるや、素晴らしかったです。笑顔、そしてふくれっ面、どんな顔をしても魅力的でした
 気軽に観ることができるタイプの映画ではないでしょう。正直私も気軽に観て、少々痛い目をみています(笑)。でも、いろいろなことが起こる日々の中で、苦悩しながらも成長していくアンナの姿、その表情は「一見の価値有り」という気がします。

 私の評価:☆☆☆(5つが満点です。)

2009年10月20日 (火)

映画の話・160 「 かげろう 」

60223viewrsz90x1_31  2003年のフランス映画です。

 「映画を観るなら フランス映画さ」と、かつて私が大好きだった「ポップコーンをほおばって」の中で甲斐バンドの甲斐よしひろさんが歌ってましたね~♪(ほとんどの方はご存じないかも・汗)。私、フランス映画はあまり観たことはないのですが、この曲を聴いて以来、フランス映画には非常に雰囲気のある・おしゃれな印象を持っておりました

 この映画も、そういう意味では本当にフランス映画らしいフランス映画でしたね。(ただ、本当の意味での「フランス映画らしさ」とはどんなものかは知りませんが。勝手な解釈ですみません。)

 お話自体は、悪く言えばありきたり、特に評価すべきものでもなかったように思いますが、それでもこの映画を魅力的なものにしているものは、何をおいても主演のエマニュエル・ベアールに他ならないのではないかと思います。いや~、素敵です。清潔感と色気が一人の人の中に同時に存在しています。

 調べてみればこの方、現在はフランスを代表する女優となられているとのこと(勉強不足ですみませんでした)。この映画云々というより、この方にとっても惹かれましたので、この方が出演されている他の作品もまた観てみたいという気になりました。

 私の評価:☆☆(5つが満点です。)

映画の話・159 「 20世紀少年 最終章 ぼくらの旗 」

20090612015fl00015viewrsz150x11  2009年の日本映画です・・・って言うか、8月29日(土)公開でした。私は8月31日に観てきました

 ネタばれは書きません。安心してください(笑)。これから見に行かれる方も、映画版「トモダチ」の正体をまだ知りたくない方も、安心して読んでください
 
 この最終章、観にいく前にさまざまな不安がありました。特に大きな不安は二つ。まずひとつめは「トモダチは誰か」ということ。映画の公開を前にして嘘も含めて様々な情報が流れましたよね。原作とは違う終わり方であり「トモダチ」であると。納得のいかない「トモダチ」なら嫌だなあと、かなり心配しておりました。
 二つめの不安は、その終わり方。映画公開の直前、主演の唐沢寿明さんが様々なTVや雑誌等でこの映画のキャンペーンをされてましたよね。そのお話の中で唐沢さんは、「エンドロールが終わってからのラスト10分に期待してください。本当にいい終わり方ですから。」と盛んにおっしゃっておられました。本当にそうなの?期待しすぎて逆にがっくりするんじゃないの?と、とっても不安だったんです

 ところが昨朝観てきて納得!!どちらの不安もまったくの杞憂に終わりました。トモダチの正体についても、物語の終わり方についても、本当に納得させられ、非常に満足のいくものでした。こんなに期待通りいっていいものかと思うくらい(笑)

 特に試写会では上映されなかったというラスト10分は、本当にお見事でした。私、かなりグッときました。もし周りに誰もいなかったら、もしくは自宅で観ていたなら、絶対に泣いてしまっていたと思います
 本当に、誰の人生にでも「取り返しのつかないこと」ってありますよね。「あの時こうしておけばよかった・なぜこうできなかったのか」と心の片隅にいつまでも残り、いくつになっても時々心の表面に出てきて自分を責めるような出来事・・・。本当にあの頃に戻ってやり直せるならやり直したい、そんなことを考えたことが誰にでも一度や二度はあると思います。この映画の特にラスト10分を観て、ケンジの行動に本当にグッときました。遣り残したことを取り戻すことが出来てよかったなあと素直に喜べましたし、非常にさわやかな気持ちになりました
 ただ、私たちはその頃に戻ってその後悔を取り返すことはできませんから、その心の痛みを教訓にしてその後の人生をよりよく生きていくしか方法がありません。「あの時それをしなければよかった。あの時あれを言っておけばよかった。」などと後で思わずにすむように、そのときそのときにしっかりとした判断をもって生きていけるようにしていかなくてはなりませんね。

 全三作を通して、原作を読んでいない方にとって「映画として」どうであったかということは、私にはわかりません。その立場に立って考えてみようともしてみましたが、無理でした。原作が大好きな、原作を何度も読み返した私にとっては、原作に惚れ込んだ者としての感想しか書くことが出来ません。ただ、その立場でこの映画の、そして三部作通しての感想を書かせていただくと、やはりまず「とってもおもしろかった」という一言になります
 そしてもう一言言わせていただけるならば、原作ファンの方の多くが持っておられたであろう(もちろん私もです)原作に対する疑問・すっきりしない感、それもこの映画ではしっかりと解決されています。私が原作を読んだのは実は昨年の夏、ちょうど第一章が公開される直前でした。その頃から持ち続けていた「すっきりしない気持ち」をも、この映画は解決してくれました。これは映画を見るときには期待すらしていなかったことなので、何かしら得したような気持ちになりました。

 細かい点をあげつらうなら、様々な突っ込みどころはあるでしょう。揚げ足を取るところも多々あると思います。でもね、私にとってはやっぱりとっても面白かったです。昨年第一章が公開されてから今日第三章を観るまで、本当にわくわくさせてもらいました。この映画の製作にかかわられた方々にお礼を言いたいくらいです。まあ、ここまで書くとちょっと大げさですが(笑)。
 世間では賛否両論あるのでしょう。そして私も、別にこの映画に人生のなんたるかを教えてもらったわけではありません。でも、本当にこの一年間、とっても楽しかったです。私にとってはまさに「娯楽映画の王道」でした

 私の評価:三部作まとめて☆☆☆☆(5つが満点です。)

映画の話・158 「 チーム・バチスタの栄光 」

20071211013fl00013viewrsz150x11  2008年の日本映画です。続編も作られましたよね

 ネタばれありです

 この映画、公開当時かなり話題になりましたよね。それ以前に原作本がかなり話題になったと言ったほうが良かったでしょうか。当時、私はその流れに乗ることができずに、どんなお話なんだろうと気にはなっておりました
 観るまで内容は全く知らずに、事件の犯人を捜す「サスペンスドラマかな?」と思いながら観ておりましたら、どうやら術死の原因は桐生医師の体調にありそう・・・。「な~~んだ、結局人間ドラマなんだ。」と妙に納得して続きを観ますと、「なに~、やっぱりほかに犯人がいるの~???」・・・結局サスペンスドラマでした。いろいろな批評が世間にはあるようですが、このストーリー、私はなかなか楽しめましたよ

 この映画、やはり出演されているみなさんがそれぞれにいい味を出されてました。主演の竹内結子さん、阿部寛さん、野際陽子さんはもちろんですが、今まで「俳優」という認識のなかった吉川晃司さん、そして何よりココリコ田中さん、お見事でした。出演されてる方々の演技をじっくりと観るというのも、この映画の楽しみ方ではないでしょうか。

 「深み」という点においては、いまひとつと言えるかもしれませんが、それでも思ったより気軽に観ることができて(と言っても、作品のなかで何人かの人が亡くなられているので、そのような言い方は不謹慎なのかもしれませんが。)、最後にはそれなりにスッキリすることができました(ラスト近く、落ち込む竹内結子さんを励ます患者さんたち・・・のシーンには、温かいものを感じました)。映画としては「及第点」なんじゃないかと思います。それなりに面白かったな、うん

 私の評価:☆☆☆(5つが満点です。)

映画の話・157 「 麦の穂をゆらす風 」

20061026001fl00001viewrsz150x11  2006年のアイルランド・イギリス・フランス合作映画だそうです。

 う~~ん、少々難しい映画でした。世間の評価はかなり高い映画なのですが

 正直私は、アイルランド独立戦争のことについてはほとんどなんの知識もありませんので、この映画が本当に伝えたいことについては理解できていないのかもしれません。でも、このような「一生懸命さがもたらす悲劇」については、やはり悲しく思ってしまいます
 
 はじめはみんな「思いは同じ」なのです。そしてみんな本気なのです。ところが状況が進んでいくにつれて次第に考えも違ってくる。そしていわゆる仲間割れのような状態が起こってくる。みんな本気・みんな一生懸命・・・だからこそ悲劇が起こるんですよね。突き詰めれば少しずつ求めるところは違っているわけですから。どこかで理解し合い、合わせられるところは合わせて、協力しあえればいいんですけどね。辛いです
 冷たい言い方に聞こえるかもしれませんが、実際によくありますよね、こういうこと。たとえば日本でいえば「新撰組」などもこのような悲劇のひとつと言ってよいかもしれません。

 そして、このような映画を観るといつも思うことなのですが、本当に争いのない世の中にならないものかと、胸を痛めます。お互いに少しずつ我慢して、理解し合って、楽しく生きていけないものか。
 この映画の話で言えば、英国とアイルランド共和国軍、そして世界に目を向ければ各地で紛争をしている国と国(地域)。なんとか理解し合えないものでしょうか。でもそのためにはまず、相手に対してリスペクトの気持ちを持たなくてはなりませんね。この映画の中の英国軍は本当にひどかったですから(怒)。まず、相手に対する尊敬の念を持つところからはじめて、個人と個人、そして国と国へとその範囲を拡げていければと思います。理想論かもしれませんが、理想を持たなければなにも始まらないので・・・

 私の評価:☆☆☆(5つが満点です。かなりの大作なので満点をつけたいところなのですが、私の理解力のなさから、私の評価ということで三つにさせていただきました。)

映画の話・156 「 純愛中毒 」

20040224002fl00002viewrsz150x11  2002年の韓国映画です。イ・ビョンホンさん主演。映画には関係ありませんが、私、このイ・ビョンホンさんに対しては、人間的に結構好感を持ってるんですよね。いや、もちろん個人的にはまったく知りませんが。でも、その言動を見ていると男気を感じる。誠実でいい人なんだろうなあと思わされます。

 で、映画ですが・・・(以下、ネタばれありです)。私、韓国映画は基本的に好きなのですが、韓国映画には時々とんでもないものがありますから(いや、他の国のものにもあるのでしょうが)、途中まではちょっと冷や冷やしながら観ていました(笑)。「純愛中毒」という何となく軽いタイトル(このタイトル、ダメですよね。)、そして同じ時間に事故を起こした兄弟の、弟の身体に兄の魂が宿るという設定、これはもしやとんでもない事になるのでは(汗)・・・と、心配していたのです

 でも、見終わった今の感想としては、なかなかおもしろかったです。ストーリーもきちんと筋が通っておりましたし、特に最後のどんでん返しは、「なるほど、そういうことか」と唸らされました。・・・とんでもないことにはなりませんでした(笑)

 ただ、テジン、これでよかったのかな~?兄に化けてしまうことによってウンスと愛を育むことはできるようになりましたが、これってテジンとウンスの愛ではないですよね。ウンスはあくまでホジンを愛してる訳ですよね。ということはテジンは結局自分を愛してはもらえない訳ですよね。それでもいいんだというテジンの気持ちについては、前半、ホジンが生きているときからざまざまな伏線が張られているので、一応理解はできるのですが、本当にそれでよかったのかな~?目を覚ましてからテジンとしてウンスの前に現れれば、時間はかかったかもしれませんが、きちんと自分自身を愛してもらえる日が来たかもしれないのに、そのあたりにとっても空しさを感じてしまいました。

 ただ、テジンはやはりテジンだったと知ってからも、ウンスは変わらずにテジンと生活をともにする様子。このあたりウンスはどう思っているのでしょう?解釈の難しいところですね

 この映画、イ・ビョンホン主演という事で知られていますが、本当の主演はウンスを演じたイ・ミヨンでしょう。彼女の苦悩に満ちた演技はよかったです。もちろんイ・ビョンホンもよかったですが。

 純愛・・・とタイトルについていますが、私にとってはテジンが強烈なストーカーのように感じられて仕方がありませんでした。映画としては、ひねりありどんでん返しありでなかなかおもしろかったですが、実際にこんな事があったら・・・やっぱりストーカーですよ。純愛とストーカーは紙一重といったところでしょうか。 

 私の評価:☆☆☆(5つが満点です。)

2009年10月19日 (月)

映画の話・155 「 Love Letter 」

4_5557611  1995年の日本映画です。

 昨年秋、北海道は小樽に出張で行くことになり、せっかくなのでたとえば小樽運河なんかが出てくる小樽を舞台にした映画を観たいと思い、この映画を観ました。評判も良かったですし
 ただ、観る前に非常に心配していたことがありました。それは岩井俊二さんが監督をしてらっしゃるということです。ファンの皆様には大変申し訳ないのですが、私、岩井さんの映画があまり得意ではないのです。どうしてもストーリーを重視してしまう私としましては、「リリィ・シュシュ・・・」「スワロウテイル」等々、映像は綺麗なのですが映画としてはどうしても疑問符がついてしまうのです
 
 で、この映画を観た感想を先に書かせていただきます。面白かったです。満足。小樽運河はじめ小樽の町並みはほとんど出てきませんでしたが(笑)。

 中盤までは、きれいな映像と主演の中山美穂さんの魅力だけで成り立っていく映画なのか?結局いつもの岩井映画か?と思いながら観ていたのですが、途中からさまざまなストーリーが矛盾なくつながっていき(でも突っ込みどころはいろいろありましたけどね)、ラストの「図書の貸し出し記録裏の似顔絵」には「やられた(笑)」と一人でニヤニヤしてしまいました
 綺麗な、雰囲気のある映像と、それなりにしっかりとしたストーリー。うん。これなら岩井映画が苦手な私も納得です。
 
 余談ですが、この映画、韓国で大ヒットを記録したとのこと。着くはずのない手紙が相手に届き、その返事が返ってくるところからお話が始まっていく・・・。このあたりは、まるで「イルマーレ」のようでした。いや、お話としては似ていないのですよ。雰囲気が・・・です。「イルマーレ」は水辺の透明感、「ラブレター」は雪の透明感・・・といったところでしょうか。

 私の評価:☆☆☆☆(5つが満点です。)

映画の話・154 「舞妓Haaaan!!!」

20070412002fl00002viewrsz150x11  2007年の日本映画です。

 なんと言っても阿部サダヲさんにつきます。そのはじけっぷりときたら、本当に見事です。結構有名な方・実力派の俳優さんが出演されています(その中でも伊東四郎さんはさすがでした)が、負けていません・・・というか、完全に勝ってます。その存在感たるや、見事です。
 
 お話自体は本当にナンセンス。こんなこと絶対にない(食品会社の社員がトントン拍子に出世して、野球選手になって、俳優になって・・・という展開ですから当たり前ですが)というお話ですが、そのばかばかしさ加減が徹底しているので、観ている方も気楽に観ることができました。

 ただ、その「底抜けの明るさ」がこの映画の楽しさ・面白いところなのに、特に後半の「堤真一さんのエピソード」や「柴崎コオさんとのエピソード」が妙にシリアスで、却って中途半端な印象を受けました。このあたりのエピソード、むしろなかった方が良かったかもしれません。もしくはもっとしっかりしたお話にして、きちんと決着させるか。どちらにしても、シリアスなエピソードの中途半端さがこの映画の魅力を少し損なってしまった感は否めません。

 少し厳しいことも書きましたが、映画としては面白かったです。観終わって「人生を学んだ」ということは一切ありませんが、「それもまたよし!」です

 私の評価:☆☆☆(5つが満点です。)

映画の話・153 「天国と地獄」・・・2007年版

4_4628511  2007年の、本当はTVドラマです。黒澤作品をまさにそのままリメイクしようとしたシリーズの中のひとつです。

実は私、このリメイク版の方を先に観ました。ですから原版と比較することなしに観ることができたのですが、そういう目で見ると、このリメイク版もドラマとしてはよくできていたと思います。実際、それなりには楽しめましたし。

 権藤役の佐藤浩市さん・戸倉警部役の阿部寛さんもよかったですし、奥さん役の鈴木京香さんはなかなか色っぽくてこれまたよかったです(照)。犯人役の妻夫木さんは、少し軽いような気がしましたけれども。でも、共犯者の吹石一恵さんはよかったかな。

 たくさんの方がおっしゃっているように、原版が素晴らしすぎるので、それと比較するのは酷というものです。このドラマはこのドラマで楽しめばよいのではないでしょうか。まあ、原版を観てしまった人にとっては、それもなかなか難しいことかもしれませんが。

 私の評価:☆☆☆(5つが満点です。)重厚感は、やはり黒澤作品の比ではありません。そのあたりを差し引かせていただきました。

映画の話・152 「天国と地獄」・・・1963年版

4_7130311  1963年の日本映画、ご存知黒澤明監督の名作です。

 評判に違わず、すごい映画でした

 この映画についてはかなり語り尽くされていて、私などがどうこう言わせていただくようなことはもう無いようにも思いますが、私なりに感じたことを少しだけ述べさせてくださいね。

 まず、これはいろいろな方がおっしゃられていることなのですが、登場人物一人ひとりの人間性やその時々の思いなどが丁寧に描かれており、それがこの作品に「深み」を与えているように思いました。権藤役の三船さん、戸倉警部役の仲代さん、(もう言うまでもありませんが)さすがです。そしてそれ以外の方々も、素晴らしかったです。個人的には田口部長刑事(ボースンさんです)が好きでした(笑)

 誘拐された少年が解放されたシーンで、戸倉警部が「絶対に犯人を捕まえるぞ。まさに犬になっても!」のようなことを言いますよね。あのシーン・あのセリフ、考えさせられました。いまの時代、これほどまでにプロ意識を持って仕事をしている人がどれだけいるだろうかと。「その仕事をしているのは単にお金を稼ぐためだけではない。悪は許さないのだ。自分のプライド・生きる意味をかけてその仕事をするのだ。」そのような気概を戸倉警部から感じました。何も警察に限りません。いまの時代に大切なもの・足りないものは、このような「気概」なのだろうなあと思いました。(まず、自分自身を見直さなければなりませんが・苦笑)

 それからやはり、あの「煙」です。ず~っと白黒画面だったのが、あの煙だけ「ピンク色」。ドキッとしました。「さあ、犯人を追いつめるぞ。ここからがクライマックスだぞ。」という、観客に対する合図のようでもありました。映画の感じは違いますが「シンドラーのリスト」はこの手法の影響を受けているんだろうなあと思いました。真偽のほどは知りませんが。
 
 そしてこれは余談ですが、「黄金街」ですか?麻薬中毒者の巣窟のようなあの場所。あんな街が日本にも本当にあったんですか?観ていて恐ろしかったです。映画の感想とは少し違いますが、あんな場所があったなんて、かなり衝撃を受けました。本当に余談なんですが、「妖怪人間ベム」の最終回を思い出しました

 次第に犯人を追いつめていくあたりは、本当に手に汗握りました。捜査本部で各担当者が報告をしていくシーン、下手に撮れば退屈なシーンになりそうですが、あそこはかなり気に入りました。それ以外のシーンでも台詞・話の展開など、すべてにおいて無駄がありませんでした。サスペンスのお手本と言われ、日本のみならず世界中の映画関係者がその影響を受けたと言われる黒澤監督の「天国と地獄」。まさにお見事でした。これを観なきゃ、人生における「損」ですよ

 私の評価:もちろん☆☆☆☆☆(5つが満点、つまり満点です。)

映画の話・151 「 スモーク 」

4_1723611  1995年のアメリカ映画です。

 たとえば、日々の厳しい仕事の中で、たまにちょっとお酒を飲みにいく。そして終電に乗って家に帰る途中、高架の線路を走る電車の中から沿線の家々の窓から漏れる灯りを眺める。「ああ、この町にもいろんな人が、がんばって生活をしているんだなあ、自分も頑張らなくちゃいけないなあ。」と、自分を励ましたくなる・・・
 この映画を観て、そんな気分になりました

 この映画には、刺激的な場面も劇的な展開も出てきません。ニューヨークにある煙草店に集まる人々の日常が描かれています。でもそれが、結構後から沁みてくるんですよね。まさに「煙が目にしみる」といった感じです。

 思えば、人間の毎日の生活なんて、それほど変わったことは起こらない。けれど、その毎日が、結構きらめきに満ちている。矛盾しているようで、真理だと思います。生きるということ、それはそれだけでいろいろな物語に満ちているのかもしれませんね。

 一言でいうと「渋い」映画でした。「人間のあるところ、物語はある」といった感じです。

 私の評価:☆☆☆(満点は5点です。)

映画の話・150 「 サイドカーに犬 」

20070406001fl00001viewrsz150x11  2007年の日本映画です。

 この映画、かなり評判がいいんですよね。特に女性のみなさんに評判がいいような。正直なところ、申し訳ありませんが、私には今ひとつでした。それは私が男性だからでしょうか・・・

 この映画の最大の見所というか魅力は、竹内結子さん演ずるところの「洋子さん」の生き方・生きざまに共感できるかどうかというところだと思います。女性の方々はその生き方に憧れを抱いたりされるのでしょうね、きっと。先ほども書きましたが、残念ながら(笑)私は男性なので、そこまで「共感」も「あこがれ」も抱きませんでした。でも、決して「洋子」さんが素敵ではないと言ってるのではないのですよ。「女性は同性として憧れるだろうなあ」ということはよくわかります。ただ、頭で理解するのと感覚でとらえるのとは、やはり違いますのでね・・・
 ストーリーを楽しむというよりは、その雰囲気(特に竹内結子さんの持っている雰囲気)を楽しむ映画といったところでしょうか。

 「薫」が小3の頃に出会った「洋子さん」。その生き方が「薫」の人生に大きな影響を与え、その後いつまでたっても忘れられない存在として心の中にいる・・・。誰にでも、そのような「忘れられない人」ってのはいるものなのでしょうね。私も、久しぶりに子供のころを、そしてその頃に出会った「大人の人」を思い出してしまいました。

 竹内結子さんの、さばさばとした女性を演ずる姿を観てみたい方にはお勧めです。

 私の評価:☆☆(5つが満点です。)

映画の話・149 「 コースト・ガード 」

106588viewrsz90x11  2001年の韓国映画です。今をときめくチャン・ドンゴン主演。でも、印象はかなり違いますよ

 

 キム・ギドク監督。以前から噂は聞いておりました。人によると、世界三大変態監督のひとりにも数えられるとか。で、一体どんな映画を撮るんだろうと気になっていたギドク作品を、ついに観てしまいました(笑)。う~ん、こんな感じなのね。
 一言で言うと、「毒」に溢れている。「毒」だらけ。年末恒例(でも、今年はどうなるか分からないですけど)ふうに漢字一文字でこの作品を著すとしたら、やはり「毒」です。

 とにかく救いがない。

 私の評価:☆☆☆(5つが満点です。)

 チャン・ドンゴン演ずるカン上等兵はスパイと間違えて民間人を殺害し、その後次第に精神に異常をきたしてどんどんとんでもない方向へ行ってしまう。人を殺した報いだとおっしゃる向きもあると思いますが、でも、クールな言い方をすればそれはもともと規則というかルールですからねえ。カン上等兵に落ち度はないのですよ。落ち度があるといえば、むしろいたずらにしても軍事的立ち入り禁止区域に入ってきた近所の若者達(アベック)の方でしょう。もちろん男は殺され女は発狂してしまうということで、十分すぎるほどその報いは受けていますが。

 この作品の二人の主人公、カン上等兵とミヨン(発狂してしまう女の子です)は二人ともそれほどの(あんな風になってしまうほどの)悪いことはしていない(と、私は思います)のに、どんどん深みにはまっていきます。その様は、観ていて本当に辛い・・・辛いを通り越して痛い、もしくは苦しかったです。でも、人生にはこんなこと、ありますよね。最初はほんの少しのボタンの掛け違いがどんどん悪い方へ転がって、最後にはとんでもないことになってしまう・・・。軍隊を除隊されても、皆に嫌がられても、軍隊に戻って来るカン上等兵の姿は、観ていて本当に苦しかったです。

 この映画を観ていて、私は内田裕也さんの「十階のモスキート」を思い出しました。うまくいかない人生、その「救いのなさ」に同じ空気を感じました。この「うまくいかなさ」が、その人の「まじめさ」からきているというのが辛いんですよね。ちょっとくらい不真面目なほうが生きていきやすい、真面目すぎるからひとつうまくいかなくなるとどんどん深みにはまっていってしまう・・・他人ごととは思えない・・・悲しいですねえ

 あと、これは余談ですが、主演のチャン・ドンゴン、男臭いですね~。後の「韓流四天皇」と言われた彼とは雰囲気が違います。でも、これはこれでなかなかいい味を出していますが。
 
 キム・ギドク。この映画はかなり後味が悪かったですが、確かに気になる作品を撮られる方です。他の作品も観てみたいという気にさせられました。気になる、というかクセになる作品であり、監督でした。

映画の話・148 「 河童のクゥと夏休み 」

20070315006fl00006viewrsz150x11  2007年の日本映画です。あの名作「クレヨンしんちゃん あっぱれ戦国大合戦」「モーレツ、大人帝国の逆襲」の監督もされた、原恵一さんの作品です。138分と、結構長いですよ

 上記二作の大ファンである私は、以前からこの作品も観たいと思っておりました。世間でも高評価のようですし。
 で、ようやく観ることができた今は、本当に思うことがたくさん!うまくまとめて表現する事ができませんので、思いつくままに書かせていただきます。少々読みにくいかもしれませんが、よろしくおつきあいください

 いや~、内容が濃かったですねえ。138分という長さは感じませんでしたが、その中に環境問題・いじめ問題・マスコミ問題を含めたプライバシーの問題などなど、様々なテーマが盛り込まれておりました。その中でも私は「人間とはどう生きるべきか」「よりよく生きるとはどういうことか」などについて、考えさせられましたよ。いつも礼儀正しいクゥの姿に、それを教えられた気がしました。「河童は嘘をつかねえ。嘘をつくのは人間だけだ。」・・・う~ん、痛かったですねぇ

 このお話、また違う視点から観てみると、映像がきれいでしたね。出てくる景色がどこもとても美しい。特に河童の仲間を探し求めて訪れた遠野、クゥが泳いだ河も自転車で走った田んぼの中の道も、本当に素晴らしかったです。言い古された言い方ですが、まさに失われつつある日本の原風景を観るようで、切なくなりました。この景色を見るだけでも、この映画を観る価値はあるように思いました。
 また、「絵」という視点から言うと、クゥが一見あまり可愛らしくなかったのがよかったです。こう書くと、かなり語弊がありますが(笑)。マスコットのようなアイドルのような、悪い言い方をすると観ている人に媚びるような可愛らしさがない分、よりいっそう「クゥ」という存在にリアリティが出たように思います。・・・でもそのクゥ、観ているうちにその動きも含めて可愛らしく見えてくるから不思議です(笑)。

 あと、これは話の本筋からそれますが、私がグッときたシーンをひとつ語らせてください。犬の「おっさん」が死ぬシーンです。「おっさん」が最期に言った一言「あのまま、あいつ(前の飼い主)に殴られてりゃよかったかな。そうすりゃあいつも救われたかもな。」という内容の一言を聞いて、悲しくて切なくて涙が出ました。前の飼い主に虐待を受けて逃げ出してきた「おっさん」ですが、前の飼い主を恨んでいなかった。それどころか、そうするしかなかった(それでもどうぶつ虐待はいけませんが)前の飼い主を思いやる一言を残して亡くなっていく「おっさん」。実際にもよくありそうな話で、悲しくなりました。
 
 とにかく、かなり期待して観ましたが、まったく期待はずれにならず、納得の138分でした。すべて観終わってから、お父さんと一緒に蛍を観る最初のシーンを思い出すと、本当に切なくなりました。いい映画には必ず忘れられないシーンがあります。私にとってはあの冒頭のシーン、あのシーンにすべてが集約されているように思います。あのシーンとともに、この映画も私の心の中にいつまでもありつづけるでしょう。父親とともに夕べに蛍を観る・・・というような場面が特別ではなく、いつまでも「そこにある」日本でありますように

 私の評価:☆☆☆☆(5つが満点です。)

2009年10月18日 (日)

映画の話・147 「 ノッキン・オン・ヘブンズ・ドア 」

4_9401711  1997年のドイツが世界に誇る名作です

 ムダなものがない!これが私の第一の感想です。ドイツ映画だからでしょうか?これがハリウッド映画ならイメージカットやら説明やらで、あと40分くらいは長くなっていたと思うのですが。上映時間90分、まったくムダのない展開でラストまで一気に突っ走った感じです

 死期が間近に迫った二人、「死ぬ前に海が観たい」と願い、それに向かって突っ走ります。こういう言い方は乱暴かもしれませんが、まさにもうすぐ死ぬのだから、もう怖いものなしです。・・・でも、たったひとつ怖い事があるとすれば、「死ぬ前に海が観られないこと」かな。途中、警察に包囲されたりギャングに捕まったりして、何度か「ここで終わりか」という状況に陥るのですが、何とか切り抜けます。その中でも最大のキーマンはギャングの親分でしょうねえ。人間が大きい!ここでのギャングの親分のセリフ、グッときます(涙)。そしてついに念願の海へ。このラスト、ほとんど説明のないのがいい。海を見つめる二人の背中がすべてを物語っているように思います(もちろん、受け取り方は観る人それぞれだと思いますが)

 この映画、主人公二人が変に「恋人同士」などでないのがいいですねえ。もし「恋人同士」の設定なら、へたをすれば単なるお涙ちょうだい映画にもなりかねませんから(汗)。
 日本でも最近リメイクされましたよね。私、まだ観ていないのですがどうなのでしょう?ちなみに評判はそれなりにいいようですね。設定は男女に置き換えられてはいるものの、「恋人同士」ではないようです(笑)。また近々、変に期待をせずに観てみたいと思います

 シンプルで、それでいて切ない、いい映画です。自分の人生の最期を考えさせられました。

 私の評価:☆☆☆(5つが満点です。)

映画の話・146 「ぼくたちと駐在さんの700日戦争」

20071203006fl00006viewrsz150x11  2008年の日本映画です。

 いや~、笑った笑った。こんなに声を出して笑った映画は久しぶりです。そして後半にはほろりとさせられるエピソードもあって、なかなかよかったです。異論がおありの方もいらっしゃると思いますが、青春映画のスタンダード「スタンド・バイ・ミー」を思い出しました。「いたずら」と「冒険」で、ちょっと違うかもしれませんが。(でも、後半の「花火」のエピソードなんかは、一種の「冒険」ですよね。)
 市原君率いる少年たちの数々の「いたずら」は、観ていて本当に心地よかったです。本当にバカバカしい(もちろんほめ言葉です・笑)。SM雑誌作戦や臭いぞうきん作戦・・・「なんだそりゃ~」です(大笑)。私も過ぎ去りし青春の日々を思い出しましたよ

 最近はこのような「いたずら」、あまり目に(耳に)しませんよね。その代わり、妙な「犯罪」ばかりが増えたような気がします。「いたずら」と「犯罪」、似ているようで決定的に違う点があります。「いたずら」は必要以上に相手を(特に「心」を)傷つける事を良しとしません。越えてはいけない「一線」というものをわきまえて、その範囲の中で作戦を練ります。でも、時にはその「線」を越えてしまうこともありますから、そのときは素直に謝ります。「線」を越えてしまった時は、やってる方も後味が悪いですしね。相手の気持ちも考えながら「悪いこと」をするのが「いたずら」なんですよね。
 このように考えると、「いたずら」が減って「犯罪」が増えてきたというのは、相手の心を思いやる事が出来る子どもが減ってきたということなんでしょうか・・・。でも、どなたかが書かれていたように、これは結局、相手の心を思いやることが出来る「大人」が減ってきたという事なのでしょうねえ・・・

 話が少しずれましたので映画の話に戻します。後半の「花火」のエピソードは少々ベタですが、わかりやすくてOK。そのなかで様々に組み込まれている「小ネタ」には笑わされました。交番に貼られているポスターは若き日の「大場久美子」と、なんと「ずうとるび」(←知ってる人少ないでしょう?)だし、もっとマニアックだったのは、麻生久美子さんが初めて登場するシーンの喫茶店、壁に貼ってあったのは「能瀬慶子」ですよね。これこそ知ってる人いるんですか~?(ご本人様、ファンのみなさま、すみません。)私、びっくりして目を見張ってしまいました。
 シーンとしてもなかなか「ツボ」なシーンが多くて、楽しませてもらいました。私の一番「ツボ」だったのは、佐々木蔵之介さん演ずる駐在さんが学校の交通安全教室でおこなった「腹話術」。ぶっ飛びました(爆)。市原君がSM雑誌を駐在所に置こうとして麻生久美子さんに見つかるシーンも、大笑いしましたけれど。他にも、栃木の人々にはもっともっと「ツボ」なシーン・場面がたくさんあったのでしょうね。栃木の人が少しうらやましかったですよ。劇中よくでてきた「カラ十郎」も栃木の人にはわかったのかな?


 とにかく、(後から・大人目線で思えば)たいした理由もなく・友達同士でばかばかしいことに一生懸命になれるのが「青春」です。この映画には「青春」がいっぱい詰まっておりました。私も大人社会で生きていて、しばらくこのような気持ちを忘れておりました。観終わった今は、本当にさわやかな気持ちでいっぱいです。いわば夏の、夏休みの夕暮れのようなさわやかさです。本当に楽しい、いい映画でした

 私の評価:☆☆☆☆(5つが満点です。)

映画の話・145 「 ホワイト・バレンタイン 」

20040531005fl00005viewrsz150x11  1999年の韓国映画です。今や韓国を代表するスターとなったチョン・ジヒョンの幻のデビュー作だそうです。

 実は先日、同じお2人(チョン・ジヒョンとパク・シニャン)が主演されている「4人の食卓」を観ました。そして今日は「ホワイト・バレンタイン」・・・。ジャンルはまったく違うこの二作品なのですが、実は同じような感想を持ちました。もしかしたらこれは、ちょっと前までの韓国映画の特徴かもしれませんが。

 それは、やはり「よくわからない」ということ。いろんなエピソードを絡めてはいるのですが、結局それらが結末までに「落ちるところに落ちていない」・・・というか、結局どうなったのかというのがよくわからないので、観終わって少し(大いに?)すっきりしないものが残ります
 「4人の食卓」の方でも書かせていただきますが、もちろんこれは私の理解力が不足しているためかもしれません。あまり語らない・説明しすぎない方がよいと考えられる方にとっては、いい作品なのかもしれません。ただ、私にはよくわかりませんでした

 雰囲気は決してわるくなかったのですよ。主演のお二人、それからチョン・ジヒョンに憧れる青年もなかなか良かったと思います。題材も悪くはなかったと思うのです。もう少し上手く「調理」すれば、もっといい作品に上がったのかもしれませんね。
 私、基本的には韓国(韓流)映画は好きです。名作もたくさんあると思っていますし、出演者側のレベルも制作者側のレベルも、決して低いとは思っていません。けれどもこの作品は正直、私にとっては今ひとつでした。もしかしたら韓国映画が発展・成長していく過渡期の作品といえるのかもしれませんね。

 私の評価:☆☆(5つが満点です。)

映画の話・144 「 チョコレート 」

10003159viewrsz90x11  2001年のアメリカ映画です。確か主演のハル・ベリーは、この映画でアカデミー賞をとったんでしたっけ

 とても悲しい映画でした。静寂が映画全編を包み、「淡々と」時間が過ぎていきます。ただ、「淡々と」と書きましたが、実は様々な辛い・悲しい出来事が起こります。それらを包み込んでただ「淡々と」時間は過ぎていくといった印象なのです。それでいて、観終わってから、かなりの余韻が残ります

 思えば「人生とはこんなもの」なのかもしれませんね。生きていれば本当に様々なことが起こる。時には納得できないこと・理不尽なことも起こり、それに対する怒りで胸を掻きむしられる。でも、どうすることもできない。そして、結局はそれらに対する怒り・無念さ・悲しさ・空しさを胸に秘めたまま、そのあとも生きていかなければならない・・・

 人生の空しさを、ハル・ベリーがよく表現していました。

 「とても悲しい映画でした」と最初に書きましたが、ラストシーンが「明るい未来」を予感させるもので、ホッとしました。人生、いろんなことがある。言いようもなく悲しいこと、納得できない辛いことも時には起こる。それでも私たちは、希望を捨てずに生きていかなくてはならないのでしょうね

 私の評価:☆☆☆(5つが満点です。)

映画の話・143 「二十四の瞳・・・田中裕子版」

35942791_31 1987年の日本映画です。1954年に高峰秀子さん主演で映画化された日本映画史に残る名作を、今度は田中裕子さん主演でリメイクしたものです

 

 瀬戸内海に浮かぶ小豆島を舞台にした、温かくも悲しい物語。新しく島の小学校の分教場に赴任した「おなご先生」と分教場に通う12人の生徒との心の交流を横糸に、そしてその子どもたち一人ひとりの人生を縦糸に、戦争がいかに人の幸せを奪うかを描いています
 子どもたち一人ひとりのエピソードには本当にこころが痛みますが、特に母の死により学校を中退(?)し琴平の食堂に奉公に出された松江のエピソード、そして病死するコトエのエピソードは、本当に悲しくて涙なくしては観られません

 子どもたちのまっすぐな願いは、ほとんどかなえられることはありません。それもこれも、戦争のせいです。なんの罪もない子どもたちの夢を打ち砕き、その人生を不幸にする・・・。戦争とはそんなものなのでしょう
 
 この映画には派手な戦闘シーンや殺戮シーン・多くの人が死んでいくようなシーンは全くありません。それでも、戦争の悲惨さは痛いほど観ているこちら側に伝わってきます。ふつうの人々がふつうの生活を送ることができない、それが戦争です。まっすぐな目をした子どもたちから夢や希望を奪ってしまう、それが戦争なのです。そのことをこの映画は本当によく表現しています。先生と子どもたちの気持ちが温かく、まっすぐで、そうだからこそ、なおかつ悲しい・・・。本当に心に沁みる、これこそが本当の反戦映画だと思いました

 余談ですが、島の景色は美しく、ナレーションのように海も空もそれはそれは美しかったです。ただ、その美しさにより、この映画はよりいっそう悲しいものとなっていました。三枝成章さんの手による音楽も映画にぴったりでしたし、田中裕子さんをはじめとする(もちろん子役のみなさんも含めての)出演者のみなさんも好演されていました。この映画の田中裕子さんはまだお若い(失礼!)のですが、それでもやっぱりその演技はすごいです(落とし穴に落ちるシーンなんかは秀逸です)。1954年・高峰秀子さん版もあわせて、本当に日本映画史に残る名画だと思います

 私の評価:☆☆☆☆☆(5つが満点、つまり満点です。)

映画の話・142 「 ボンボン 」

20070326002fl00002viewrsz150x11  2004年のアルゼンチン映画です。私、アルゼンチンの映画を観たのは初めてです。以下、ネタバレ有りです。

 

 ボンボンとは犬の名前。タイトルが示すとおり犬が主役なのですが、その”ボンボン”より、私にとってはその飼い主でもあるビジェガスおじさんが印象に残りました。なんといってもあの表情。本当に人の良さそうなビジェガスさんを観ていると、「ひどい目に遭わないで。」「悪い人にだまされないで。」と心配で心配で、画面から目を離すことができませんでしたよ。まあ、結局、悪い人は出てこなかったので、そのあたりはほっとしましたが(笑)。
 
 ドッグショーで成功を収め、「種付けをしてこれからがっぽり稼ぐぞ~」という矢先、思いも寄らぬ不都合が判明・・・そのときのビジェガスさん、寂しそうでした(涙)。でも、結局は思いも寄らない展開で、最後は”ハッピーエンド”、というか”ハッピーを予感させるエンド”で、めでたしめでたし。ビジェガスさんのあの顔が曇らないで本当によかったです。

 日本、それからハリウッド映画に慣れている私たちにとっては少し変わった印象の映画でしたね。話の展開、特になんといってもラスト、ハッピーエンドではありましたが「そうくるか(照)」という終わり方でした。日本の作品なら、ボンボンが見つかって「よかったね~。種付けはできなくてもこれからは一緒に幸せに暮らそうね~」っていう終わり方になったかな~と思うのですが。でも、この作品の終わり方で「正解!」だと思いますけどね

 ほんわか・ほのぼの。ビジェガスおじさんの笑顔がすべてを象徴している、そんな映画でした。

 私の評価:☆☆☆(5つが満点です。)

映画の話141 「 奈 緒 子 」

20080105001fl00001viewrsz150x11  2008年の日本映画です。今をときめく三浦春馬くん主演です。

 私、学生時代に陸上競技部に所属しており、高校時代も大学時代も駅伝を走っておりましたので、ここに登場する人々の気持ち、よくわかります。様々なエピソードも「こんな事、あったなあ」といった感じです。奈緒子と雄介のエピソード、鶴瓶さん演ずる西浦先生のエピソードは、さすがに私にも経験はありませんが(笑)。

 陸上競技は基本的に走っているときは一人ですから、個人競技だと思われがちなんですよね。でも、実際にやっていた人にはわかると思うのですが、走るときは「一人」だからこそ、みんなとのつながり(いわば「絆」)がなければやってられないのです。本当に「ひとりきり」なら、一人で走る事なんてできないのです。お話の中で雄介は様々な状況の中、「ひとり」になっていきます。それでも雄介を「ひとりきり」にさせなかったのは奈緒子であり、西浦先生だったのでしょうね。だからこそ雄介も走り続けることができたのでしょう
 
 雄介の走りを見て、一時はバラバラだった部員たちにも一体感が生まれてきます。部員たちのかたくなな心がほぐれていったのは、もちろん「雄介の頑張り」のおかげでもありますが、それ以上に「走る」ということ自体の性質にもよるのではないかと思います。様々な心の中のわだかまりが、走ることによって浄化されていく・・・私にも経験があります。腹の立つこと・落ち込むこと・根に持つこと、それらを心の中に持っていても、走れば走っているうちに「まあ、いいか。ちっちゃな事にこだわるのはやめておこう」という気持ちになってくるのです。奈緒子と雄介の間のわだかまり、雄介と他の部員たちとのわだかまり・・・それら様々なことが、「走る」という行為によって「浄化」されていったのではないかと思うのです。

 この映画、「走っ」た経験のない方にはあまりよくわからない映画かもしれません。その意味では「完成度の高い映画」とは言えないのかもしれません。ただ、かつて「走っ」ていた私にとっては、いろんな部分が「よくわかる・共感できる」映画でした。
 風を切って走るのは気持ちがいいです。心の中のよどんだ部分・わだかまりやこだわり・そのようなマイナス要素が、走ることによって溶けて流れていきます。「最近面白くないことが多いけど、また走らなきゃ。」そんな気持ちにさせてくれる映画でした。

 私の評価:☆☆☆(5つが満点です。)

忘れ物・・・スポーツとはなにか?

Pa110212_3  久しぶりに気分の悪い試合だった。

 

 先日、ラグビーT大学とOS大学のBチームの公式戦のレフリーを担当した。私としてはいつものように笛を吹いたつもりであったが、新ルールの解釈でT大の選手と考えが合わなかったようだ。私からいわせればそれはT大側の勉強不足ということになるのだが、選手は次第にフラストレーションを溜めていき、少しずつプレーが荒れ出した。

 正直私も気分が悪い。ただ、レフリーとしてはそれでもゲームをコントロールしなければならない。できる限りコミュニケーションをとるように心がけたが、それがなかなか難しかった。途中からは非常に許し難い態度・言動で、レフリーに対するリスペクトのかけらも感じられなくなっていた。結局、それでも何とかコミュニケーションをとりながら、それなりに試合を収めたが、何とも後味の悪い試合であった。

 もちろん、何よりもレフリーである私が悪い。それはわかっている。ゲームをうまくコントロールすることができなかった。これだけでレフリー失格である。

 しかし、このT大の態度はどうか?

 実は私、T大とは長いつきあいである。もう7・8年前になるだろうか。まだBリーグにいた頃から、練習試合を中心によく笛を吹かせてもらった。そのころのT大は謙虚であった。レフリーに対するリスペクトもしっかりあった。私はT大の笛を吹くのが楽しみであった。T大が強くなっていき、私もうまくなっている手応えを感じられるのが本当にうれしかった。

 ところが近年、実はT大の笛を吹くたびに違和感を感じるようになっていた。相手チームに対する、そしてレフリーに対する態度に対してである。強くなるのはいいが、傲慢になってはしないか?強くなるのと反比例して、大切なものを忘れてきてはいないか?

 私、以前から何度も言っているが、ラグビーに限らず「強ければ、ほかのことはどうでもいいのだ」と考えるチームが多すぎるように思う。はっきり言ってそれは指導者の責任である。情けない話である。プロであれば生活と直結するので「勝たなければならない」というのはわかる。だが、それにしても、だ。

 私自身は、いくらラグビーがうまくても、いくら足が速くても、いくら重いものを持ち上げられても、人間として大切なこと(たとえば人に対する思いやりの気持ち、とか)を忘れてしまっていれば、そんなこと(スポーツができるということ)は何の意味もないと考えている。スポーツは最終目的地ではないはずだ。幸せになるための「過程」もしくは「手段」でなくてはならないはずだ。たとえばオリンピックで優勝することが最終の目的なのではなく、それに対して努力する中でいろいろなことに気づき・人間関係を作り・成長し、幸せになっていくという風に(もちろんその過程で何かを見つけるためには、本気でそのスポーツに取り組まなければならないが)。

 私の考えは古いのだろうか?

 私は、スポーツが大好きである。野球が、サッカーが、そしてラグビーが大好きである。・・・ただ、こんなことがあるたびに、スポーツが嫌いになっていく。ラグビーが嫌いになっていく。

 うんざりである。

 写真は先日のセカチューロケ地巡りの中の一枚です。

2009年10月17日 (土)

う~~ん、ショック(涙)・・・加藤和彦さん死去

51nvzfi3k4l_sl500_aa240_1  先ほど帰宅してパソコンを開いたら、なんとショックな記事がミュージシャンの加藤和彦さんが亡くなられたそうです。加藤和彦さんといえば古くはザ・フォーク・クルセダーズ、そしてサディスティック・ミカ・バンド、最近でもいろいろとプロデューサー業でがんばっておられましたよね。

 一年ほど前、木村カエラさんを加えてサディスティック・ミカ・バンドを再結成されたときは、私もうれしかったです。かつてバンドで「タイムマシンにおねがい」をコピーして演奏していたこともありましたから。最近ランニングするときはMDウォークマンで再結成したときに発売した”ナルキッソス”をずっと聴いてましたし・・・。

 先ほどTVのニュースで「知人の方々に手紙が送られていて、その中に”音楽でやることがなくなった”と書かれていた・・・」と報道されていました。そういえばミカバンド再結成時、タモリさんの「ミュージック・ステーション」に出演されたときに、現在の音楽シーンに対して苦言を呈する場面があったことを覚えています・・・。

 なにか、こういうニュースに接すると、本当に悲しいですね。才能のある方でしたから、まだまだなすべきことはあったでしょうに・・・。加藤和彦さんが死を選んだそのときの気持ちを考えると、本当に悲しいです。

 加藤和彦さんのご冥福をお祈り申し上げます。

 写真は、サディスティック・ミカ・バンド再結成版「ナルキッソス」です。

映画の話・140 「ONCE  ダブリンの街角で」

20070918004fl00004viewrsz150x11  2006年のアイルランド映画です。日本公開は2007年11月。アメリカではたった2館からの公開でしたが、その後口コミで話題になり、140館まで劇場数を増やすことになりました。そしてついに2007年度第80回アカデミー賞で歌曲賞を受賞することになります

 このあと、少しネタバレ有りです。観ようと思っておられる方は、観てから読んでくださいね。

 いや~、さわやかな、そして切ないいい映画でした。最近観た映画の中でもかなり上位にランクされる、本当に爽やかないい映画でしたよ。洋画をあまり観ない私としては、最近観た洋画の中ではベスト1かも

 音楽が好きな私としては、全編のほぼ半分が歌で構成されているというのも、かなりツボでした。それもいい歌ばかりでしたし(特に初めて楽器屋でセッションしたあの曲、よかったですね~。字幕として訳詞が出ていたのもありがたかったです。歌の力を十分感じさせてくれました♪ 。それに歌もうまかったですね~。まあ、本職は歌手ということですので当たり前かもしれませんが。それに相手役の彼女も良かったです。調べてみると、この方も本職は歌手。チェコのシンガー・ソング・ライターなんですね。この映画が作られた時はなんと17歳なんですか!でも、違和感はまったくなかったです。歌はもちろん演技も良かったですし、私としてはその表情、いやその雰囲気自体がとってもよかったです。清潔感があって、この映画の相手役として、「好きだという思いを持ちながらも、その気持ちに流されず、理性的に生きる」女性をうまく演じていました。まず、このお二人が演じられていたということが、この映画の成功のひとつの鍵になっているように思います

 ダブリンの街中で出会った二人が音楽を通じて互いに惹かれ合う。お互いのことを知れば知るほど相手に対する気持ちは深まるが、それでもなかなか先へは進めない・・・。好きな相手にまっすぐに突き進んでいくことができる青春時代の恋愛とは違って、お互いに「事情」をかかえているので、なかなか盲目的に突き進むことができないんですね。その中で「部屋へおいでよ」「一緒にロンドンへ行こう」「間違いが起こるかも・・・それも面白いかも・・・」等々、お互いが時折見せる正直な気持ち・訴えが本当に切なかったです。本当にあとひとつ何かタイミングがずれれば二人の未来は違っていたのかもしれません。でも、人生ってそんなものですよね。本当に・・・

 女性の方はご主人と再び暮らしはじめるようですし、主人公の方もロンドンでの成功を予感させる・・・。この映画、基本的にはハッピー・エンドなのでしょうね。ただその中にほんの少しの「憂い」「切なさ」のようなものが感じられて、それがこの映画の「余韻」となっています。とにかく「爽やか」で「切なく」て、本当にいい映画でした。

 私の評価:☆☆☆☆☆(5つが満点。つまり満点です。)本当にお勧めです

映画の話・139 「 ふ く ろ う 」

20040120001fl00001viewrsz150x11  2003年の日本映画です。

 はじめから終りまで、ほぼ場面一つで展開していきますので、「映画」というよりまさに「お芝居」といった感じです。ですから「映画」という目で観ると、ちょっと違和感を感じるかもしれません。とにかくちょっと変わった感じの映画であることは間違いありません。

 そのストーリーも、やはり暗いです。なにせ「連続殺人」をテーマにしているので、明るい訳がありませんが(汗)。でも、話の暗さだけではなくて、なにかしら「閉塞感」というか「希望のなさ」というか、観ている途中も観終わってもすっきりした気分にはなれません。監督が伝えたかったことはなんとなくわかるんですが、「でもなあ・・・」といった感じです

 出演者はびっくりするぐらいに豪華です。これも新藤兼人監督が長年にわたって築き上げてきた人脈によるものかと、この点においては感服しました。なにせ、母子の家にやってきて殺されてしまう男優陣が次から次から大物(個性派)で、次は誰がやってくるのかと、話の筋とは違う点で興味が湧いてきます

 ただ、そのようにたくさんの名優(怪優?)が出てきますが、それらをすべて抑えてひときわ存在感を見せつけているのが、主演の大竹しのぶさんです。いまさらですが、やはりすごい女優さんだと再確認させられます。

 合わせて伊藤歩さん。若手の中ではその実力・存在感がひときわ光る女優さんで、私も以前から注目しています。彼女はこの映画の中でオール・ヌードになっています。根性の据わったその演技、これを見るだけでも「この映画を見る価値あり」かもしれません。ただ、話の展開から考えて、あそこで脱ぐ必要性はまったくないように感じました。こう書くと失礼ですが、もしかすると新藤監督が見たかっただけなのかも(汗・笑)。行水よりはベッドシーンの方が必要性があった、というかその方が流れとして自然だったと思うのですが・・・

 とにかく、一般的な映画に比べれば、少し違った雰囲気の映画だといった感じは否めません。映画を観てすっきりしたいとおっしゃる方にはお勧めできません。時には変わったものを・・・とおっしゃる方にはいいかもしれませんが(笑)。

 私の評価:☆☆☆(5つが満点です。)

映画の話・138 「 野 良 犬 」

4_595801_21 1949年の日本映画です。黒澤明監督作品です。

 

 終戦後4年たった日本の様子を知ることができる、非常に興味深い映画です。敗戦の行き場のない怒りとまだ戦後の復興に至る前の、行き場のない「妙な」エネルギーに満ち溢れています。映画の中でも「夏の暑さ」が強調されていますが、観ている私たちにも「蒸し暑さ」が伝わってきます
 ただ、始まりから終わりまでとっても「蒸し暑」く、観終わってもすっきりはしません。爽快さや感動を求めると、「・・・」といった感じになってしまうように思います
 
 当時は警察官であろうと、あんなに簡単にピストルが持ち出せるの?それもバスに乗る時にポケットに入れたまま?などと「つっこみ」を入れたくなるところもありますが、野球場のシーンなどは、なかなか迫力がありました。それから、並木ハルミが遊佐からもらった洋服を着てくるくる回りながら「楽しいわ・・・」を連呼するシーンは、ある意味怖ろしかったです。
 志村喬さんが「生きる」「七人の侍」とはまた違った演技を見せているのは「さすが」といったところです。本当に作品ごとに演技がちがって、観れば観るほど「俳優としての技量」に恐れ入ってしまいます

 非常に雰囲気のある作品ではありましたが、黒澤作品としては、なんとか及第点といったところでしょうか。

 私の評価:☆☆☆(5つが満点です。)

映画の話・137 「 亡国のイージス 」

20050602005fl00005viewrsz150x11  2005年の日本映画です。

 

 映画としてはある意味突っ込みどころ満載の、不十分な映画なのかもしれません。巨額の費用を投じ、豪華な役者さんを使った映画にしては物足りないのかもしれません
 ただ私は、一人の防衛大生の国を憂える気持ち、そして誰にも共感されない虚しさ、非常によくわかる気がします。私も状況によれば、宮津氏のような行動をとっていたかもしれません

 映画自体はそれほど出来のいいものではないのでしょう。ただ、テーマは私にとっては”ツボ”でした。私はまだ読んではいませんが、きっと原作はいいのでしょう。読んでいないので何とも言えませんが、原作を生かし切れていないといった、よくある状況に陥ってしまっているのでしょうね。

 国を憂える・・・今のこの国の様子を見たら、もしかしたら誰にでもそのような気持ちはあるのかもしれません。ただ、それでもかつての赤軍派や、とある宗教のような暴挙に出てはいけません。なんとかこの国をもっとまともな国にする方法はないものか?自信を持って「いい国だ。」と言える国にする方法はないものか?
 ただ嘆いているよりも、私たち市民レベルでできることを考え、一つ一つ実行していきたいものです。

 余談ですが、これも阪本順治監督なんですね。ストーリー展開は「反骨」って感じで確かに阪本色ですが、全体的にはちょっと阪本色が出ていないかな・・・

 私の評価:☆☆☆(5つが満点です。)

映画の話・136 「 その木戸を通って 」

20081009004fl00004viewrsz150x11  1993年の日本映画です。市川崑監督作品です。先ほど「日本映画」と書きましたが、一度TVで放映されたもののながく劇場未公開となっていました。幻の名作といわれたこの作品を、ようやく観ることができましたよ

 では、感想を・・・。

 時代劇というより、江戸時代を舞台にしたサスペンスといった感じです。しかも、そのサスペンス(「ふさ」は何者か?どこへ行ったか?)は最後まで答えは出ない・・・。その答えにこだわる方は観終わってもすっきりはしないだろうと思いますが、お話としては「わからないまま」でよかったのかもしれません。余韻を残すという意味で。

 「ふさ」は「かぐや姫」のイメージと重なります。突然やってきて男の心を捉える。そして突然いなくなった後も永遠に男の心を捉え続ける・・・。語弊があるかと思いますが、男は基本的にそういうものですね。心底好きになった女性のことは、どれだけ時間が経っても忘れられない、いつまでも心のどこかで思っている・・・。このおはなし、そういう「男の本質」をよく突いていると思います

 ラスト近く、”伸”が見つけて連絡をよこした、あのあばら屋に住む女性、あれは「ふさ」だったのでしょうか?きっとあれは「ふさ」本人ですが、「いま」をしっかりと幸せそうに生きている様子を見て、平四郎は「人違いだ」と思い込もうとしたのでしょう。ただ、そのあたりをハッキリと述べていないところも、この映画に余韻を与えているのでしょうね

 出演されている方々は本当に豪華で(今回は本当に豪華ですよ・笑)、さすがの演技を見せてくださいました。フランキー堺さんに岸田今日子さん、懐かしかったです。でも、個人的に驚いたのは、浅野ゆう子さん。あんな繊細な演技ができるんですね。私のなかでは、いまでいうグラビア出身・セクシー写真等で人気が出たというイメージがありますので、あんなに演技ができるとは思っていませんでした。失礼しました。でも、これなら、もっともっと作品に出られてやっていけると思います。最近はあまりお見かけしませんが(ファンの方、すみません)、頑張っていただきたいと思います。

 変な言い方をすれば、一風変わったお話でした。でも、観終わった後に余韻の残る、日本情緒にあふれたいい作品でした。

 私の評価:☆☆☆☆(5つが満点です。)

映画の話・135 「 おばあちゃんの家 」

4_668841_21  2002年の韓国映画です。

 う~ん、この作品、評判いいんですよね。こういう高評価の作品に、あまり高くない評価をつけるのは勇気がいるものですが、あえて私は☆2つをつけさせていただきたい。本当はひとつでもいいかと思ったくらい・・・。基本的に私は韓流映画は好きなんですけどねえ。

 「おばあさんの無償の愛・・・」わかるんですよ~。「私にもあんなおばあさんがいたらなあ・・・」わかるわかる。「自分も子どもの時は似たようなことをしてたのかも、ごめんなさいおばあちゃん・・・」う~ん、わかる。・・・でもね、私には結局、主役の子の憎たらしい印象しか残りませんでした。それに、おばあさんに子どもを押しつけて去る母親の無責任さも腹立たしいですし

 都会からきた子どもが、はじめはおばあさんに辛く当たるが、やがて人の心のわかるいい子になる・・・予想通りの展開で、正直心に響きませんでした。主役の子が何により(いや、おばあさんの無償の愛によってというのはわかるんですが)どんな風に変わっていったかというのもよくわかりませんし。

 私の理解力不足なのかもしれません。また、今度観たときには感動するのかもしれません。でも、少なくとも、今日観た段階では、感動できませんでした。高評価をつけられているみなさん、申し訳ないです。

 私の評価:やっぱり☆ひとつにしよ。(5つが満点です。)

映画の話・134 「 ソ ラ リ ス 」

4_6190011 2002年のアメリカ映画です。「チェ 28歳 別れの手紙」の、スティーブン・ソダーバーグ監督作品です。昔の名作「惑星ソラリス」のリメイクらしいです。その作品は私は観ていませんが。

 う~ん、残念ながらよくわかりませんでした。哲学的な雰囲気は大好きですし、元来理屈っぽい(笑)私は、どちらかというと画面に映し出されるものの「意味」を考えながら見てしまう方です。でも、・・・結局よくわかりませんでした
 静かな雰囲気はよくわかります。近未来・宇宙空間の無機質性・虚無性みたいなモノをよく描いているとも思います。でも、よくわかりませんでした。

 この作品には熱烈なファンの方がたくさんおられて、いろいろなところで熱く語っておられるのを目にすることがあります。「理解できれば、もしくは感じることができればいい映画なんだろうな。」と思います。それ故に今回なにも感じることができなかったのは、本当に残念です。またいつの日かもう一度見る機会に恵まれたら、そのときには何かしらを感じたいと思います。

 私の評価:☆☆(5つが満点です。)。でも、観る人によっては満点にもなる作品だと思いますよ。

映画の話・133 「 墨 攻 」

20061219002fl00002viewrsz150x11  2006年の、日中韓合作映画です。たしか原作は日本の漫画でしたっけ?

 

 洋の東西を問わず、これまで観たいわゆる「戦争映画」とは一線を画す作品です。いかに強いか、いかに相手を倒すかというだけではなく、その先にある「戦うことの虚しさ」というところにまできちんと踏み込んで描いています

 そう、結局、争いは「虚しい」ものなのです。「争い」は「次の争い」を生み、結局のところ収まるところを知らない。そう考えると本当に「争う」ことは虚しいことであると気づく。趙の巷将軍の家来が言った「この戦いに、勝者はおりません。」というひとことが、非常に象徴的でありました。

 争いの「虚しさ」に気づいた革離は、「後に孤児たちとともに平和の大切さを諸国に説いてまわる。」と、ラスト、テロップに書いてありました。確かに。本当に必要なことはそういうことなのでしょう。戦に勝つ方法を説いてまわっても、次の戦を生むなら、平和を説いてまわるほうが得策ですね。結局は、幸せに生きたものこそが勝者なのでしょう
 
 2009年、戦は世界各地でまだまだ続いている。革離のような人が、そして墨家のような人々が世界各地に(少しでも)現れることを、願ってやみません

 私の評価:☆☆☆☆(5つが満点です。)

映画の話・132 「東京タワー オカンとボクと、ときどき、オトン」

20070111005fl00005viewrsz100x11  2007年の日本映画です。先日、母の日を前にTVで放映されていたのを観ました。私事ですが、まだ母が生きていたときに観、そのときにレビューを書いたものです。 

 物語は淡々と進みます。映画としてはどうなのかと思いますが、その「淡々とした感じ」がよりリアリティを感じさせます。

 この作品を観ながら、映画を観ているというよりは「自分自身の現実を見せられている」という感じがしました。樹木希林さんはまさに私の「オカン」で、「オダギリジョー」はまさに「私(いや、もちろんあんなにかっこよくありません。ファンのみなさますみません・汗)」でした。オカンの苦労を全然わからず、好き勝手にわがままに今まで生きてきました。高校・大学生活の放蕩ぶり(オカンが苦労して送ってくれた仕送りをパチンコで使ってしまったり)などは、あまりにリアルで画面から目をそらしたくなりました。
 そんなにひどい息子にも、オカンは愛情を注いでくれるんですよね。まさに「無償の愛」です。そして、大人になって少々分別が出来るようになり、少し優しくしただけでものすごく喜んでくれたりするんですよね。オカンが亡くなり「僕」が添い寝をしているところにやってきて、松たか子さんが伝えた言葉(一生分の親孝行をしてもらった)には「オカンの想い」が詰まっていて、グッときてしまいました。

 親の愛というものは本当に「深い」ものですね。それに気づいてからいくら返そうとしても返しきれない・・・。親から受けたその愛情を、次に子どもに伝えていく、周りの人に与えていく、それが「人間」としての本当の姿なのでしょうね。

 特に珍しい出来事もなく、物語はただ淡々と進んで終わる・・・。映画としてどういう評価をすればいいのかはわかりません。ただ、上にも書きましたように、とても感情移入しながらこの映画を観てしまったのは事実です。ということは、私もこの映画に「やられ」てしまった一人だということでしょうか(笑)。けれど、そのような人はきっと結構多いのでしょうね。

 私の評価:☆☆☆(5つが満点です。本当は3.5点くらいです。)

 

2009年10月16日 (金)

で、おみやげ・・・ぶどう餅 by 巴堂

Pa120230_3  で、今回の香川行のおみやげは、やっぱりぶどう餅です。この形状と「ぶどう餅」という名前を聞くと果物のぶどうとの関連を想像しますが、実はそうではあPa120231_6りません。「ぶどう餅」とは漢字で書くと「武道餅」、つまり武道に関連する餅なのです。昔、武士が戦いに行くときに持っていったとか・・・。

 このおみやげ、全国的にはあまり知られていないかもしれませんが、香川県、特に東側・東讃地方ではかなり有名なお菓子です(でも、昨日でしたか MBSTVのPa120223_3 「ちちんぷいぷい」で取り上げられてましたね~。びっくり)。私、大好きです。私も小さい頃から食べています(私の両親の出身地が香川県で、幼い頃はよく里帰りをし、このお菓子を買って帰ったものです)。このお菓子、ほかの地方ではほとんど手に入りません。なんといっても日持ちがしないのです。通常で2Pa110190日間、真空パックのもので4日間しかもちません。で、今回香川行を 思い立った理由の一つに、このお菓子を食べたかったからというのも、実はあったのです。このお菓子、JR高徳線・三本松駅前に本店のある「巴堂」が作っておられます(左写真)。今回の帰路に寄ってみると、今でも昔の姿のまま、ありました。ちなみに今回は、高松・中央公園そばにある支店で買いました(写真右)。

 懐かしいところを巡る今回の旅行でありましたが、懐かしいものを食すこともできて、満足・満足でした

 今回は香川の旧友のみなさんにまったくお声がけをしておりませんで、失礼しました。次回は集まって大いに飲みたいと思いますので、よろしくお願いします。

2009年10月15日 (木)

香川・高松に行ってきました・2

Pa110203   それでは先日の香川・高松行、昨日の続きでございます。

 10月11日(日)、高松駅周辺を散策した後は、その日宿泊する高松ワシントンプラザホテルへ。チェックインした後、周囲をこれまたぶらぶらと歩きました。今から20年ほど前、私が香川にいた頃によく通ったお店や通りはどうなっているか、知りたかったのです。

 まずはワシントンホテルから11号線を挟んで南に少し入ったところにあったお好Pa110189 み焼きやさん「ふみや」。お店に入ると独特のにおいがし、いすが油でてかてかしておりました。ホルモンお好み焼きがおいしかったなあ。あのお店はどうなっているのか行ってみると、ありました。今もあのころのままです。今回は時間の都合もあってお店には入らなかったのですが、今もあのおいしいお好み焼きを焼いていらっしゃるんでしょうねえ

2009101112120000_2   それから、丸亀町を少し歩いて、お寿司やさん「さみ川」へ。私、高松に住む前、津田町というところに住んでいたのですが、その当時の同僚たちとよく行きました。回らない、本格的なお寿司やさんなのでおいしかったですが、けっこうお値段はしたと思います。このお店によく通ったのは、独身のなせる技だったのでしょうか。このお店も、今でもありました。ただ、このお店の通りを挟んで前のビルにありました「デポ・キリン(キリンビールのビアホールでした)」は、もうなくなっているようでした。このお店でも、よく飲んだのですけどね

 この日はその後、一昨日書かせていただいたように「セカチュー」のロケ地を巡りました。そしてワシントンホテルに泊まり、翌日朝7:00にホテルを出発し、今度はかつて職場まで通うのに使っていた国道11号線を通って、まずは高速道路に乗るPa120220 Pa120218 徳島・鳴門まで向かいました。道路周辺はあまり変わっていませんでしたが、途中で通る駅は、その駅舎が少しずつ変わっているように思いました。そして、津田駅へ。懐かしさのあまり少し立ち寄ってみました。私はこのすぐ裏に住んでいたのです。駅舎は新しくなっているように思いましたが、駅前の桜も含めて印象は全く変わっていませんでした。少し切なくなりました

Pa120225_2  このあたりから、道はずっと海岸沿いを走ります。本当にドラマのような美しい海岸線です。そしてそのまま道をまっすぐ に走り今しばらくすると高速道路に入ります。

 ここからは行きと同じですが、帰りは行きに混雑しPa120229ていてよれなかった淡路島のハイウェイ・オアシスに寄ることができました。ここからの明石海峡大橋の眺めは格別です。そして12:00頃には家に帰ってくることができました。

 今回、本当に久しぶりに香川に行ったのですが、道路を車で走っていて懐かしいというよりはまるで今でもここに住んでいるような気がしました。久しぶりの香川は私を優しく迎えてくれましたよ

 香川、特に高松や津田は現在の私の原点であり、いわば「核」を作ってくれたところです。その地を再び訪れ、また明日からの日々をがんばっていこうという気になれました。ちょっとした旅行でしたが、精神的に充電するには十分な旅行でした。時には少し日常を離れてみる、そのことの大切さを実感しました

 以上、今回の香川・高松行、おつきあいくださいまして、ありがとうございました

2009年10月14日 (水)

香川・高松に行ってきました・1

Pa110200_3  今日は、今回の香川・高松旅行の、昨日書きました「セカチュー」ロケ地巡り以外のことについて書きたいと思います。よろしくおつきあいくださいませ

 昨日も書きましたように、車に乗って大阪のPa110181_2自宅から およそ3時間半で、香川県は高松に到着いたしました。昼食の前に高松中央公園へ。公園の西側のパーキングに車を停め、しばし散策です。写真だけ見ると、都会の中Pa110183_12の公園ってことで、ニューヨークセントラルパークのようでもあります。この公園、かつては県営野球場だったそうです。その名残か、公園内には、プロ野球界かつての名将「 水原茂」さんと「三原脩」さんの銅像があります。そういえば香川県は、全国でも有数の野球どころ、特に高校野球どころですよね。最近は少し元気がありませんが

 あと、この公園には、香川が生んだ文豪の銅像があります。誰でしょうPa110185?・・・そうPa110187_2 です、文芸春秋社を創設した菊池寛氏であります銅像はこれ。公園の北側には、その名を冠した通りもあります。

Pa110194  その後、高松駅へ。香川は讃岐うどんで有名ですが、私は昔から高松駅の構内のうどんが大好きで、今回もそ2009101112550000_2れを食べようと駅に向かったのです。駅は私が住んでいた頃(20年ほど前)と、大きく変わっていましたね~。場所も少し移動して いましたし。うどん屋さんは駅の隅にぽつんとありました。その名も「連絡船うどん」。映画「UDON」のレビューでも書かせていただきましたが、かつて連絡船の中で食べたうどんは本当においしかった。そういう人がきっと多かったんでしょうねえ。ただ、今回も食べてみましたが、かつて食べた連絡船のうどんの方がおいしかたような・・・

Pa110199  駅の周辺も本当に様変わりしていました。はじめの写真を見ていただくとわかりPa110201_2 ますが、大きなビルが建ち、公園が整備され、海の方へ遊歩道が延びていました。かつては桟橋がぽつんとあっただけだったんですけどね。でも、とってもおしゃれな公園になっていて、今ここに住んでいる人々がうらやましくなりました。公園にはこんなベンチがありましたよ(右写真)。両隣はスナメリ(くじらの一種)だそうです。

 なにか、私が住んでいた当時の面影を残すものがないかなあと探しPa110196てみたとこ ろ、ありました県営桟橋の建物です。私が子どもの頃は、ここから大阪・神戸行きの船がでていました。そして、私が住んでいた頃は、ここから小豆島行きの高速艇が出ていました。どちらにしましても、思い出深い場所です。今はもう、建物だけが残されていて、使われてはいませんでした

 まだまだいろいろ書きたいことがあるのですが、長くなってきましたので今日はここまでにしとうございます。続きはまた明日。高松で、そして翌日帰路に見たもの・思ったことなどを書かせていただきます。明日もよろしくお願いいたします

2009年10月13日 (火)

映画「世界の中心で、愛をさけぶ」のロケ地へ行ってきました

Pa110211_2  それでは本日は、予告通り映画「セカチュー」のロケ地巡りレポートをさせていただきます。どうぞよろしくおつきあいくださいませ

 「セカチュー」のロケ地と申しましても、実はいろいろなところがあるのです。たとえば舞台になった高校は愛媛県の学校ですし。でも、主なロケが行われたのは香川県は高松にほど近い、庵治という町です。今回はそこに行って来ました。私、実は今から20年ほど前、この庵治町の隣町にあたる屋島というところに住んでおりました。けれど、庵治には一度もいったことがなく、今回が初めての訪問となりました。でも、当時はこんな形で庵治が注目されることになろうとは夢にも思いませんでした

 11日(日)、朝8:00に車で家を出発し、阪神高速~明石海峡大橋~大鳴門橋~高松自動車道(でしたっけ?)を乗り継いで12:00前には香川県の県庁所在地である高松に到着しました。早くなりましたね~。昔は船で一日仕事でしたけれども。高速休日1000円の恩恵にも預かりましたし。(とはいってもなんやかんやでお金を取られ、1000円では行けませんが。でも、それでも安いですね~。)

 町中をうろうろとし(この間のことはまた後日の記事で書かせていただきます)、15:00過ぎに庵治に向かいました。高松から車で20分くらいのところに位置しています。道路は比較的わかりやすく、またいたる所に看板が設置されています。わかりやすい

 庵治町に入っていき看板に従ってしばらく走っていくと、映画で見たような風景が次々と目に入ってきます。

 私はまず、奥の方にある王ノ下沖防波堤へ(右写真です)。車はすPa110202_2ぐそばの空き地へ停めることができました。アキとサクが語り合った場所です。私も映画のように堤防のPa110203_2上を走り、愛を叫ぼうかと思っていたのですが、思ったより人が多く (ほとんどが釣り人でした)、やめておきました。ちなみにここからみた屋島はこんな感じ(左写真)です。

 Pa110205_4 次は少し戻って、皇子神社へ。この階段を登るとブランコがある公園にでます。公園はこんな感じです。 映画でも印象的なシーンでしたよね。私も何十年かぶりにブランコに乗りました。ブランコの前のフェンスや周囲の鉄柱などには、いわゆる鍵・錠前がたくさんつけPa110207られておりました。カップルが永遠の愛を誓うといっPa110206 た感じでつけていくようです。この公園からの景色はまた格別でした

 次は庵治漁港沿いに少し戻って、雨平写真館のあった浜・谷交差点を通り、庵治文化館へ。そこPa110208 に映画の中でも重要な場所になっていた雨平写真館Pa110209_2が再現 されております。中は現在喫茶店になっておりました。右の小 さな写真の中の写真(ややこしくてすみません)わかります?映画の中でも使われた、アキとサクの結婚衣装を着た写真です。展示されております。

 次は北へ少し車を走らせまして、海へでました。海の向こうには稲毛島が見えます(最初の写真です)。この島、映画の中では夢島という名前になっています。そう、二人で初めての一泊旅行に出かける、あの廃墟のある島です。ちなみにあの廃墟は東京のロケセットで撮ったようですが。

  そしてPa110214_2その後再び車を走らせて、今度は桜八幡宮と宮ノ下橋へ。このPa110215_3左の写真の階段、わかりますか?アキがサクを待っていたあの階段で  す。ここでアキが待っていると、バイクに乗ったサクが通りかかるんですよね。そして二人はバイクに乗って最初の防波堤へ行くんですよね。この右側の写真の赤い欄干、趣がありますよね~。ただ、ここ、車を停めるスペースがありません。車幅も狭いですし、私も一瞬車を停めて写真を撮り、すぐに立ち退きました

 私が今回まわったロケ地はこんなところです。映画がブームになってしばらく経ちますのでもうお客さんはあまりいないかなあと思っていたのですが、なんのなんの、ほどよいくらいに観光客の方々がこられてました。それもカップルばかり

 でも、庵治はまさにこの映画によく似合ってるなあと思いました。映画の関係者もよくこんなに映画にぴったりの場所を見つけたなあと、感心しきりです。庵治の漁港も、いい意味で本当になにもなく、映画のロケ地であるということを除けても、かなり癒される場所でした。

 私、映画のロケ地巡りというのはあまりしたことはありませんが、映画をもう一度楽しむ、そしてその土地自体を楽しむという、ふたつのたのしみが感じられました。まさに「一粒で二度おいしい」といった感じです。関西からもさほど遠くなく、かなり癒される・・・。庵治は本当にいいところでした。この映画にはまったことのある方には特におすすめの場所ですが、そうでない方にもお薦めしたい癒しスポットだと思います。失われゆく日本の原風景のひとつといいった感じがしました。

映画の話・131 「ザ・ローリング・ストーンズ/レッツ・スペンド・ザ・ナイト・トゥギャザー」

4_7187311  1982年のアメリカ映画です・・・っていうか、ライブドキュメントです。昔あった、フィルム・コンサートのような感じですかね。

 先日、清志郎さんが亡くなられてから、また思い出していました。同意していただける方は少ないかもしれませんが、私は昔から「キヨシローの動きって、ミック・ジャガーに似てるな~」と思っていたのです。で、今回はこの映画について

 1982年の作品かぁ。上映当時、大学生だった私は、京都の新京極にあった映画館で、最終上映を見たんだったなあ。懐かしいなあ・・。ということで、そのようなノスタルジックな気持ちも込めて、27年ぶりにあらためて観てみました。

 何よりもまず感じること・・・これは当時も感じたことですが、Voのミック・ジャガーがむちゃくちゃ元気!元気っていうか、もうそれ以上!!大きな声では言えませんが、なにかよくないものでもやってるんじゃないの~って言いたいぐらいです。それも1曲めの「アンダー・マイ・サム」からラストの「サティス・ファクション」まで、ず~~~っと元気。「タイム・イズ・オン・マイ・サイド」のようなバラードでも動き回っている。「もう歳なんだから落ち着きなさい」って言いたくなりますが、この落着きの無さ(笑)が、まさにミックの魅力です。ほんともうびっくりします!!

 

 それから、Gのキース・リチャーズがむちゃくちゃ渋い。力の抜け具合が渋すぎる!!まさにこれぞ不良中年(いい意味で言ってるのです)。少し前、「ちょい悪オヤジ」なるものが流行りましたが、キースはそんなもんじゃない。本当に悪いんだろうなあと感じさせてくれます(これも、いい意味で言ってます。ファンのみなさま怒らないでくださいね)。

 この映画、単に有名バンドのLIVEを映像として残したものではありません。画面からミックやキースやロンやチャーリーやビルの息遣いがしっかりと聞こえてきます。そしてその会場にいた人のみならず、その時代に生き、ロックを愛した人たちの熱い思いが伝わってきます

 単なるロック映画ではなく、しっかりと「その時代」を切り取った映画だと思います。私もすでにいい年齢になりましたが、この映画を見ると「まだまだやらなきゃ」と、元気が出てきます。ミックにはまだまだ負けへんで~

 私の評価:☆☆☆☆☆(5つが満点、つまり満点です。)

映画の話・130 「 包帯クラブ 」

20070711006fl00006viewrsz150x11  2007年の日本映画です。

 公開当時、TVスポットで柳楽くんの話す「妙な」関西弁を聞き、この映画を観る気が失せていました。そして「町中に包帯を巻いてまわる」という行為に「???」で、元々この映画に対する期待値はかなり低かったのです。
 それがよかったのかどうかわかりませんが、今回縁あってこの映画を観、本当に感動しました。柳楽くんの「妙な関西弁」にも理由があったということがわかりましたし(笑)。

 本当に、いわば「単なるアイドル映画」か「娯楽映画」くらいに思っていた私は、この作品の深さに驚きました。冒頭、石原さとみさん演ずる「ワラ」のモノローグから、いきなり作品に引き込まれました。そこで語られていることは、かなり「真理」だと思います

 劇中でもあったように、あのような、痛い思いをした場所に包帯を巻いてまわるという行為については、現実にやるとかなりの批判もあるでしょう。「偽善者」「そんなことやって、なんの意味があるのだ」などとネット等々で叩かれるのは目に見えています。実際、このような(包帯を巻く)行為によって逆に傷つく・いやな思いをする人もいるのでしょう。けれど、もちろんいろんな人に迷惑をかけてはいけませんが、この行為自体はそれなりに意味があるのではないかと思いました。
 
 ある意味悲しいことですが、「傷ついた人」と同じ気持ちになることは出来ません。「何とか元気を出してもらいたい・励ましたい」と思っても、その人の悲しさを完全にわかることは残念ながら無理です。けれど「寄り添ってくれる」人がいることで、人はずいぶん癒されます。もしかしたら「傷ついた人」に対して出来る事はそれだけかもしれません。
 この映画はそのことをよく表現していると思います。傷ついた場所に包帯を巻いてまわる事で「あなたは一人じゃないよ。」「(完全にはわからないにせよ)少しでも気持ちをわかろうとし、元気になってほしいと思っている人がここにいるよ。」と伝えているように思います。
 私も、自分が凹んだとき、必要以上に「ひとりぼっちだ」とは思わないようにしたいと思いましたし、傷ついている人に「そっと寄り添える」人になりたいと思いました

 大切なことは、傷ついた人が「一人じゃない」思えるようにそっと寄り添うこと。「一人じゃない」と思えると、きっとまた人は立ち直って前へ進むことが出来るから・・・。そんなことを思わせてくれる映画でした。私自身もかなり癒されました。

 私の評価:☆☆☆☆(5つが満点です。)

映画の話・129 「日が暮れても彼女と歩いてた」

Tiharakyoudai11_2  2006年の日本映画です。72分と、かなり短いです。

 

 この作品、かなり酷評されているようですが、確かに肯けるような・・・(汗)

 一本の映画の中には、お話・雰囲気・俳優さんの演技等々観るべきものがいろいろあります。ただ、この作品の中には、前述のような観るべきところがひとつもなかったように思います。カットの長回し・妙な間の台詞も何かしらの意図があったのでしょうが、こちらには伝わってきませんでした。全体的に学生さんの自主制作映画のような感じで、結局、監督さんがこの映画で何を訴えたかったのか、よくわかりませんでした

 こうなってくると、出演陣の豪華さ(徳井優さん、千原ジュニアさん、アンガールズさんなどが出ておられます。)がかえってアダになっている感じすらしました。

 私の評価:☆(5つが満点です。)

映画の話・128 「 接 吻 」

20080111003fl00003viewrsz150x11  2006年の日本映画です。公開当時から特に小池栄子さんの演技がかなり話題になっていて、観られた方の評判も高く、私も観に行きたかったのですがなかなか上映している映画館が無く、最近になってようやくDVDで観ました

以下、ネタバレ有りです。観ようと思われている方は、また観てから読んでくださいね。

 

 すごい映画でした。ラスト、ケーキにろうそくを立てるあたりから、ああなっていくことは予想できました。周りの人々はなぜ気付かないの?早く止めてあげて、と切望する私がいました。そして、すべて観終わって、映画を反芻しているとき、なぜかしら涙がこぼれました

 京子はもしかしたら、私だ・・・

 すべての人間は大きく二つに分けられると思います。気楽にやっていても世間に受け入れられる人と、一生懸命にやっていても世間に受け入れられない人。坂口や京子はもちろん後者です。そして私も
 いや、私もいっぱしの社会人の端くれで、それなりにふつうの社会生活を送っておりますから、周囲の方々には「そんなことはないよ」と言ってもらえると思います。それでも私は、私自身の中に、その奥底に、後者のような自分がいることに、ずっと以前から気がついていました。その私がこの映画を観ているうちに、次第に京子に感情移入してしまいました。TVで坂口を観て「これは私だ」と思った京子。そしてその京子を観て「これは私だ」と思った私・・・。私も一つ間違えば、京子のようになってしまうかもしれない・・・。自分の触れられたくない部分・普段は隠しておきたい部分をさらけ出されたような気がして、観終わってかなり辛くなってしまいました

 でも、もしかしたら、この映画を観て私と同じように思った人は、案外多かったのかもしれませんね。それが、この映画の反響の大きさ・評判の良さとなってあらわれているような気がします。

 出演者のみなさんは、本当に熱演・好演でした。豊川悦司さんに仲村トオルさん、さすがです。けれども、やっぱり、なんと言っても小池栄子さん、素晴らしすぎます。この映画の小池栄子さんについてはもう語り尽くされているようにも思いますが、本当にすごかった。映画初めの死んだような目をしたOLから、坂口と出会って次第にその生を取り戻し幸せそうに生きる姿そしてラストまで、その心の変化を無理なく表現されていました。それも単にセリフではなく、その目その雰囲気で。もうすべての方が語られていますが、あの笑顔には凍り付きそうになりました(こわ~)。他の作品でも、また違う小池栄子さんを観てみたくなりました。この映画を撮るにおいて、この3人以外のキャストはあり得ない、そんなふうに思いました。

 驚愕のラストシーンからラストのラスト、「接吻」の文字・・・。本当にヤラれました。この映画は間違いなく名作です。現実の事件を思い起こさせるという点では、かなりの誤解や批判も受けるでしょう(もちろんこのような事件は起こってはなりませんし、その犯人を擁護する気は毛頭ありません。ご遺族の方々に対しても、きちんとした配慮が必要です。)が、人間の内面を描き出しているという点に置いて、この映画はやはり素晴らしいと思います。単館系にしてはかなりの評判を呼んでいるようではありますが、もっともっとたくさんの方々に観てもらいたいと思います。

 私の評価:☆☆☆☆☆(5つが満点。つまり満点です。)

映画の話・127 「 デイジー・アナザー・バージョン 」

4_647871_31  2006年の韓国映画です。前回ご紹介した「デイジー」の別バージョンです。

 「デイジー」のストーリーがチョン・ウソンの視点で描かれています。本当にほぼそのままなので、チョン・ウソンファン以外の方は、「デイジー」以上に感動するということも多分ないと思います。もちろん私は「デイジー」が気に入っているので、この作品もそれなりには楽しめましたけどね。でも、やっぱり「それなり」です
 
 ただ、ラストはこの作品の方がより切ないかな。「デイジー」は主演3人それぞれの視点・想いが描かれているぶん、ラストシーンの焦点も幾分分散しているように思いますが、この「アナザー・バージョン」はチョン・ウソン一人の視点なので、ラストもその切ない想いが十分表現されているように思います

 どちらにしても、どの方もそうするだろうとは思いますが、まず「デイジー(本編)」を観てから、感動した人・興味を持った人はこの「アナザー・バージョン」を観るというのがいいように思います。ハッキリ言って本編以上に感動するということはありませんが、余韻に浸るという意味では、「それなり」に意味のある作品なのかな、とも思います。

 私の評価:☆☆☆(5つが満点です。)

映画の話・126 「 デイジー 」

20060303019fl00019viewrsz150x11  2006年の韓国映画です。でも、全編オランダロケで、なかなかスタイリッシュです。

 

 ベタといえばベタ、突っ込み所も満載といえば満載なのです。でも、なかなかいい映画でした。お勧めいただいたケルビムさま、ありがとうございました。公園で似顔絵を描きながら画家を目指すチョン・ジヒョン、殺し屋チョン・ウソン、刑事イ・ソンジェ、三人が紡ぎ出す物語がとても切なかったです。思えばそれぞれ二人ずつの物語(絵描きと殺し屋の恋・絵描きと刑事の恋・刑事と殺し屋の友情?)だけでも、映画としては成り立つんですよね。でも、それを絡み合わせてよりいっそう切ない「ひとつの物語」を作り上げたというところに、監督の力量を感じましたよ

 俳優さん方もお見事でしたね。刑事役のイ・ソンジェ、賛否両論あるようですが私はどこにでもいそうなその雰囲気が、この映画にはあっているような気がしました。そしていまや韓国のトップ女優チョン・ジヒョン、ただ可愛いだけではなく、しっかりと演技されていました。笑顔・泣き顔・切ない表情・・・セリフだけではなくその表情で訴えるその想いは、しっかりと観ているこちら側に伝わってきました。
 そしてなんと言っても殺し屋チョン・ウソン。この方の演技一つでこの映画を潰してしまうかもしれないという重要な役柄だったと思いますが、見事に演じきっておられたと思います。基本的に恋愛弱者・恋愛敗者の私は、チョン・ウソンさん演ずる「殺し屋」に激しく感情移入してしまって、本当に切なくなってしまいました

 全編オランダロケというのもよかったと思いますよ。おしゃれな街並みの中で繰り広げられる物語は、よくある韓国映画とは一線を画するものとなっておりました。スタイリッシュなその雰囲気は、その「切なさ」をより一級品にしてくれていました。

 余談ですがこの映画には「アナザー・ストーリー」があるそうです。私もぜひ観てみたいと思います。(ちょうど今、ツタヤから、「明日半額ですよ~」とメールが来ました。時間があったら明日借りてきます。)この映画にまた違った解釈が加わって、またこの映画を観る目が変わるかもしれません。もちろんいい方に。
 とにかくこの映画、ベタといえばベタかもしれません。でも、いい映画だと思います。その「切なさ」は間違いなく一級品です。

 私の評価:☆☆☆☆(3.5~4の間くらいかな。満点は5つです。)

映画の話・125 「 理 由 」

20041115003fl00003viewrsz150x11  2004年の日本映画です。

 たしかに賛否両論あるだろうなあと感じさせる、斬新な話の進め方でした。でも、私はけっこう楽しめましたよ。いろんな人が少しずつ証言していく中で、はじめは「ばらばら」、いわば「破片」であった話が次第につながりはじめ、やがて週末を迎える頃には一つの結論を導き出す。まだまだ理解不可能な部分もありましたが、それでも一通りの謎解きが終わったときには、それなりのすっきりした気持ちは味わえました

 出演されている俳優さん達の豪華さ、それから多さには驚きました。ただ、視点を変えてみれば、どの方も「友情出演」のようで、腰を据えてしっかり出演されていた方はそれほど多くない、むしろふつうの映画より少ないような印象を受けました。そういう意味では、少し寂しくもありました。

 お話自体は、まあ、それなりでしたが、実験的な映像というか、新しいことに挑戦しようとしたその姿勢は評価に値するのではないかと思いました。でも、私は古くからの「大林作品」も好きなのですけどね

 私の評価:☆☆☆(5つが満点です。)

映画の話・124 「 39 刑法第三十九条 」

4_6258711 1999年の日本映画です。もうずいぶん前に観ました。以下、ネタバレ有りです。

 こういう映画を「社会派」と呼べばいいのでしょうか。主張のはっきりした映画です。私は公開当時に観、その内容・映像にものすごい衝撃を受けました。今回このレビューを書くにあたってもう一度観ようかと思いましたが、犯人(変質者)が子どもをもてあそび、殺し、切り取ったその手で自慰をするシーンを観たくなくて、結局映画自体を再度観ることができませんでした。子どもを持つものにとってあのシーンは本当に衝撃的で、トラウマすら覚えるほどでした。本当に吐き気をもよおすほど・・・。それでももう20年近く前に観たこの映画の1シーン1シーンが頭に焼き付いています。

 主張がはっきりしている分、ともすれば堅苦しい映画になってしまう恐れがあります。しかし、堤真一さん・鈴木京香さんといった実力派俳優さんたちの力量によって、必要以上の「堅苦しさ・近寄りがたさ」はありません。うまく言えませんが、きちんと一般公開するに足る映画として成立しています。特に堤真一さん、素晴らしいです。個人的な事を書くと、この映画での演技によって、私は堤真一さんの実力を認め、同時にファンになりました。上から目線ですみません

 たとえば後の「それでもボクはやってない」などもそうですが、こういう社会に問題を提起する映画もあっていいと思います。娯楽という意味合いとは少し違うかもしれませんが、社会の矛盾に一石を投じる・世論を高め社会を変えていく・・・これもまた「映画」の持つ力・役割のひとつだと私は思います。

 私の評価:☆☆☆☆(5つが満点です。)

『魔王』(伊坂幸太郎さん著)読みました

51vsvuuhail_sl500_aa240_1_21 先日、伊坂幸太郎さんが書かれた「魔王」を読みました。伊坂幸太郎さんが書かれた作品が原作になっている映画は、今までもずいぶん見ましたし、そのほとんどを気に入っているのですが(代表作は、やはり「アヒルと鴨のコインロッカー」でしょうね。この映画、私がこの一年くらいに見た映画の中でもベスト5に入る作品です。ほかには「Sweet Rain 死神の精度」なども面白かったです)、原作というか伊坂幸太郎さんが書かれたものはいままで一作も読んだことがなかったのです。

 で、読んでみました。感想を一言で言うと、やはり「面白かった」ということになるのでしょうか。おりしも話が選挙に絡んで進んでいくので、まさに「今のこと?」といった錯覚さえ覚えるほどでした。(実際には小泉郵政選挙のころに書かれたようですが。)そして、カリスマを求める人々の気持ち、そしてそれに流されることの危うさなどが、興味深く書かれておりました。それほど短い作品でもなかったのですが、ほぼ一日で読みきってしまいました

 ただ、少々辛口な感想を付け加えておくと、お話は確かに面白かったのですが、最後が少し中途半端な気がしました。最後まで読んで「えっ、これで終わり?」という気がしました。この感じ、何かに似ているなあ・・・と思ったら、浦沢直樹氏の漫画”MONSTER”や”20世紀少年”を読んだときのそれとよく似ているんですよね。確かに面白いんです、面白くて一気に最後まで読んでしまうのですが、最後まで読んで「えっ?これで終わり?」「最後、どうなったの?」っていう感じです。(「20世紀少年」は映画では違う終わり方らしいので、私は少々期待しています。ようやく「腑に落ちた終わり方」をしてくれるかなあと思って。ちなみに31日に観に行く予定です。)

 続編で「モダンタイムス」というのもあるそうで、私はそれは未読なのですが、書評などを読むと「魔王」とはそれほどかかわりもないようです・・・。

 とにかく、面白かったのは事実ですので、一応皆様にお勧めしておきます。ただ、さいご、ちょっと納得がいかない、というかすっきりしない感が残るのは覚悟してくださいね(笑)

子どもと普通に暮らせる幸せ・・・『八日目の蝉』

20090326161700001  一年ほど前、新聞の書評欄で「爆笑問題」の太田光さんが激賞している本を見つけました。角田光代さんが記された『八日目の蝉』(中央公論新社)という小説です。太田さん曰く「今まで読んだ中で一番素晴らしい」「僕が書くならこういう小説を書きたい」とのことでした。半年ほど前に読んだ書評なので、多少言葉は違っているかもしれませんが、とにかく絶賛されていました。

 太田さんがそこまでおっしゃるなら、ぜひとも読んでみたいと思い、直後に本は買ったのですが、そこそこ長い小説で(346ページです。長いというほどでもありませんね)最近までなかなか読む機会がありませんでした。でも、ようやく時間を作ることが出来、昨日ようやく読み終わりましたよ

 まず感想・・・いや~、面白かったです。というか、本当はとっても切なく・悲しくなってしまいました。できるだけネタバレになるようなことは書かないでおこうと思いますが、ごく簡単にいいますと、不倫の末に相手の娘(赤ちゃん)を連れ去った女と、その連れ去られた赤ちゃん(そして成長して娘さんになってから)の物語です。でもね~、この犯人(と言ってしまいますね)の女が悲しくて、一概に責める気にはならないんですよね。第一章のラスト、港のシーンなんか、本当に悲しかったです

 それからこれは知らずに読み始めて、途中でびっくりしたことなのですが、小説の中に主要な場所として、瀬戸内海に浮かぶ香川県は小豆島が出てくる・・・。ご存じの方もいらっしゃると思いますが、私、若いときに3年間小豆島で暮らしておりました。ですからここに描かれた場所・状況・方言がよくわかりました。土庄の港、草壁港、肥土山の農村歌舞伎などなど・・・。でも小説家さんはすごいですねえ。本当にここで暮らしたことがあるような書きぶりでした。本当に矛盾を感じるような、おかしな描写はひとつもありませんでした

 それから、もう一つの鍵を握る宗教団体(?)の所在地が奈良県は生駒山の麓。これも私の住んでいるところから、あまり遠くないところです。映画でも小説でもそして歌でも、知ってるところが出てくるとその物語がよりリアルに感じられますよね

 でも、このお話、本当に切ないお話でした。思い出すと今も胸がちょっと痛くなります。太田さんが激賞されるのもわかります。ふつうに毎日生きていることの幸せ、特にお子さんがおられる方はお子さんとふつうに生きることができる幸せが実感できると思います。小豆島に縁のある方、お子さんのおられる方には特にお薦めします。読んでみてくださいませ

『風の谷のあの人と結婚する方法』読みました

31nj4hkttxl_sl500_aa240_11  今日は、本を一冊紹介させていただきます。須藤元気さんが書かれた「風の谷のあの人と結婚する方法」です。(私が買ったのはハードカバーですが、最近は文庫版も出ているようですよ。)ただ、先に書かせていただきますが、ジブリの名作アニメ「風の谷のナウシカ」とはまったく関係ありませんよ

 これ、一種の自己啓発本ということになるのでしょうね。それからスピルチュアルな要素も含んでいます。書かれた須藤元気さんは、元格闘家でコメンテーターとして時折TVにも出ておられますよね。(後で知ったのですが、須藤さんはこのような本をたくさん出されているようです。)

 内容は、主に生き方全般についてのヒントになるようなことが、軽妙な語り口で書かれています。非常に読みやすいです。でも、それでいてけっこう深い。非常に考えさせられます。

 最初に読んだのは半年ほど前。その評判の良さに買って読んでみたのですが、そのときは「ふ~~ん、おもしろいなあ」くらいにしか思わなかったのです。でも、最近改めて読んでみると、その一言一言にいちいち心を動かされます。言葉の一つひとつが心に沁みてきます。今日は赤ペンを持って線を引きながら、付箋を貼りながら読んでしまいました。

 この本を読んで、須藤元気さんの明るさ・前向きさ・ポジティブさをほんの少しでも見習いたいと思います。そして、そこに書かれた言葉の一つひとつを、少しでも多く自分のものにしたいと思います。

 私ももうそろそろいい歳ですから、本当にそろそろそれなりの人物にならなくては、ね

なにげない毎日がおくれる幸せ・・・『その日のまえに』

415qpfmyorl_sl500_aa240_11  昨年末の事なのですが、一冊の本を読んで非常に感銘を受けました。重松清著「その日のまえに」です。読まれた方の評判がかなり高く、また私が昨今いろいろと考えている「死」をテーマにしているということもあって、ずっと以前から読んでみたかったのです。昨年末まとまった時間が取れる日があり、一気に読んでみました。

 ・・・・・・号泣でした。本自体は七編の短編からなっているのですが、その一編一編が素晴らしい。そして表題作「その日のまえに」から「その日」「その日のあとで」と続くラスト三編は本当に読みながら号泣してしまいました。すべてのエピソードが集約されるラストは本当にお見事。いわゆる「お涙ちょうだい」、泣かそう泣かそうとするのではなく、さりげない仕草・せりふ・エピソードの中に「生きる」という事に対する真摯な姿勢、でもそれが果たせない切なさのようなものがあふれていて、本当に涙なしでは読めませんでした。

 この本を読んで、「生きる」ということ・「人とのつながり」・そして「家族の絆」について、しっかりと考えさせられました。もしよかったら、みなさんも読んでみてください。ただし、号泣必至ですので、読む場所を考えてくださいね(笑)。

 余談ですが、最近大林監督により映画化されたようです。主演は永作博美さん・南原清隆(ウッチャンナンチャンのナンチャン)さんです。こちらもぜひ見てみたい

 写真は文春文庫版の表紙。¥610です。

『ホームレス中学生』読みました

Bw3orhdm1  いや〜、おもしろかったです。3時間ほどで読みきれてしまうのですが、その、気軽に読めるところがまたいい。でも、内容はとっても深かったです。
 単純に面白いエピソードとして読んでもそれはそれでいいと思いますが、私がこの本を読んで心に残ったのは特に二点あります。
 一つ目は、いかに著者の田村さんがお母さんに愛されていたか。そしてそのお母さんの愛情がいかに田村さんを支えていたか、ということです。お母さんの愛情は、そのお母さんが亡くなった後も田村さんを支え続けます。そのもっとも印象的なシーンは、空腹にたえかねコンビニエンスストアでパンを万引きしようとしたシーン。本当にこれ以上ない空腹で、このままだと餓死してしまうかもしれない状況に陥った田村さんは、パンを万引きしようかと考えるのですが、そんなことをしたら亡くなったお母さんが悲しむと考え、思いとどまります。そして、あのときもし万引きをしていたら自分の人生はどうなっていただろう、しなくてよかったと後から回想します。田村さんは本当に辛い中学・高校生活を送ったと思いますが、それでも曲がってしまわなかったのは、このお母さんの愛情が亡くなってからもなお田村さんを支え続けたからにほかなりません。

 もう一点は、いかにいろんな人が田村さんを支えたかということ。(そしてそれは裏を返すと、いろいろな人が支えてくれるほど、お母さんにきちんと育てられていたんだなあということです。)よく言われることですが、人間は一人では生きて行けません。田村さんの場合も、本当に困って、まさに死ぬかもしれないという状況のところを、いろいろな人が助けてくれます。そして、田村さん自身そのことを本当に感謝して生きて行ってます。そのことに感謝しながら、田村さん自身、よりよく生きていこうと努力し続けます。やはり人間は助け助けられながら生きていくものなんだなあと、思いを新たにしました。

 もうかなりのベストセラーになっておりますので読まれた方も多くいらっしゃると思います。いまさら私がどうこう言うまでもないのかもしれません。でも、この本を読んで、私もできることならだれかの役に立ちたいと、改めて思いましたし、困っているときには助けてもらえるような人になりたいと思いました。

 でも、本当に面白い、心温まるいい本でした。たむちん、これからもがんばれ

2009年10月12日 (月)

<予告>映画「セカチュー」のロケ地(香川・庵治)に行ってきました

2009101208540000  実は、昨日・今日と、香川県・高松に行ってまいりました。久しぶりの完全プライベート旅行です。メインは長澤まさみ・大沢たかお・柴咲コウ主演映画「世界の中心で愛をさけぶ」のロケ地めぐりです。いや~、なかなかよかったですよ。ロケ地以外も癒される風景にたくさん出会うことができて、いい旅行でした。明日には写真が準備できると思いますので、写真の準備が出来次第少しずつお話しさせていただきます。よろしくお付き合い願います。

 写真は大鳴門橋です。見た目は明石大橋とほとんど変わりません。

リンデンでんねん

P31 プロ野球・楽天ゴールデンイーグルスのリンデン選手と言えば、クライマックス・シリーズ進出の立役者の一人ですよね。そのリンデン選手、監督批判で2軍落ち・退団か?という状況に置かれているようです(http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20091012-00000011-sanspo-base)。

 野村監督はTVのインタビューで「組織の一員として、失格だ。人間性がなってない。」とも語っておられましたね。いくら実力があっても、集団の規律を乱すような人間はいらないということでしょうか。う~ん、何かしら耳が痛い(笑)。これ、何も楽天もしくはプロ野球だけの話ではありませんよね。企業や趣味の集団にさえ通じる話なのではないでしょうか。

 私、若いころは特にどんなことでも、「実力があれば、何とかやっていけるものだ。」と信じ込んでおりましたが、どうもそうではないらしいということに、この歳になってようやく気がついてまいりました・・・。リンデン選手の今回の件、他山の石として気をつけたいと思います

 注:タイトルの「・・・でんねん」は、大阪弁で「・・・です」の意味です。そして、「出る・退団する(?)」の意味も掛けてあります。もう一つ、前阪神監督の岡田氏が近々オリックスの監督に就任されるというお話もありますので、大昔、岡田氏が坂田利夫さんとやっていたTVCM「だしてんねん(だし天然)」にもちなみました。(もしかしたら、商品名が違うかも?間違ってたら、ご容赦ください。)

映画の話・123 「 4人の食卓 」

20040430009fl00009viewrsz150x11  2003年の韓国映画です。

 全体的な雰囲気・謎に満ちた展開に「この先どうなっていくの~?」「どういう結末になるの~?」と、かなり引き込まれました。ただし、途中までは。ラスト近くになってもなかなか謎の解明が進まない。「もしや・・・」という悪い予感が的中し、ラストまで観ても結局、その謎(なぜそうなったか、過去にどういう事があったか、など)のほとんどは解明されませんでした。
 私の理解力が足りなかっただけなのかもしれません。時間をおいて再び観てみれば、「なるほど!」と全ての謎が解けて、すっきりとした気分になれるのかもしれません・・・。でも、今回は残念ながら、よくわかりませんでした。チョン・ジヒョンさんも、それからパク・シニャンさんも、それなりに雰囲気のある演技をされてましたし、冒頭にも書きましたが全体的な雰囲気はなかなか良かったので、それだけに残念です。(ただ、チョン・ジヒョンさんはやっぱり「猟奇的な・・・」等のはつらつとしたイメージの役の方がよく似合っているとは思いますが。)

 私の評価:☆☆(5つが満点です。)

映画の話・122 「 SADA  戯作・阿部定の生涯 」

4_526251  1998年の日本映画です。大林監督作品です。う~~ん、それらしい

 ある年齢より上の方なら、歴史に残る猟奇的事件として誰でも知っている「阿部定」事件。好きな男性を殺害し、性器を切り取って持ち去ったという、例のあれです。

 このような猟奇的事件を「ファンタジック」な映像で有名な大林宣彦監督ならどう撮るのだろうかと興味を持って観ましたが、きっちりと「大林ワールド」に仕上げていたと思います。例の事件に必要以上にスポットをあてることなく、人間・阿部定を描いていました。お芝居がかったちょっとコミカルな演出も、私はよかったと思います。あと、大林監督ゆかりの俳優さん方がチョイ役でたくさん出ておられたのも、好感が持てました。「大林監督のためなら、ちょっとでも出させてもらいますよ」といったような、「監督愛」が感じられて微笑ましかったです。

 それから、なんといっても主演の黒木瞳さん。よく演じられてました。妖艶さとかわいらしさが同居する女性・・・映画の中の阿部定のイメージと、彼女のイメージがばっちり合っていたように思います。彼女なくしてこの映画は撮れなかったとすら感じさせられました。
 猟奇的な・・・というよりは、一人の女性の切ない人生のお話でした。

 余談ですが、この事件、昔から「猟奇的事件」の代表のように語りつがれてきました。でも、本当に訳のわからない昨今の残酷な事件と比べてみれば、もう猟奇的でもなんでもないですね。好きな人の局部を切り取り持ち去るという行動も、映画を見ればその理由がよくわかりました。そして、多少なりとも共感できる部分はありました。

 私の評価:☆☆☆(5つが満点です。)

映画の話・121 「 父と暮らせば 」

20040618001fl00001viewrsz150x11  2004年の日本映画です。井上ひさしさんの戯曲が原作になっています。

 原爆を題材にした映画を、これまでにもいくつか観てきました。どの映画を観ても、本当に悲しくてなりません。この映画もそれらの例に漏れず、本当に悲しい映画でした。ただ、それらの「原爆を題材にした映画」の中でもかなり秀逸な部類の作品だろうとは思いますが。できるだけ多くの人に観てもらいたいです

 この映画が始まって1時間ほど経ったあたり、宮沢りえさん演ずる「美津江」が「自分が生きていることが不自然である」という「生」への罪悪感を語るシーンには、本当に胸が詰まりました
 ただ、たとえばたくさんの人が亡くなるような大きな事故などがあったとして、その中で生き残った人が「自分だけが生き残って申し訳ない」「自分だけが幸せになることはできない」と口にされるのをよく耳にするような気がします。この映画の中の「美津江」も同じ思いを口にし、自分を責めるのですが、本当のところどうなのでしょう
 もし自分が同じ立場になれば、私も同じような思いにさいなまれるのかも知れませんが、でも今、私はこんなふうに思います。「生き残った者は、亡くなった人の分までしっかり生きなくてはならないんじゃないか」「亡くなった人の分まで幸せになれるように努力しなくてはいけないんじゃないか」と。・・・ただ、実際はそんな「エネルギー」がでてくるまでにはかなりの時間がかかるのでしょうが・・・。
 どう考えるのが正しのか、私にはわかりません。今の思いをうまく表現することもできません。結局、ありきたりなことしか言ってないような気もするのですが、亡くなった人々の分までしっかりと生きなければ、亡くなった人々に対して申し訳ないような気がするのです

 全編を通して、ほぼ宮沢りえさん・原田芳雄さんの二人芝居です。お二人とも素晴らしかったです。特に宮沢りえさんはこの作品で女優として開眼されたのではないかとすら思ってしまいます。お二人のお互いを思う気持ちは、見ていて本当に辛かった。そして映画自体、本当によかったです。この作品を見て、やはり原爆の悲劇を再確認させられました。本当に亡くなった人も不幸、生き残った人も不幸・・・です。

 日本に原爆が落とされて60余年、世の中は不穏な方向に向かって進んでいるようにも思います。しかし、このような悲劇は絶対に繰り返してはならないと、この作品を観て思いを新たにしました

 私の評価:☆☆☆☆(5つが満点です。)

映画の話・120 「 どですかでん 」

4_2297511 1970年の日本映画です・・・っていうか、黒澤明監督作品です。詳しくはここでは触れませんが、黒澤監督にとってもかなり画期的な作品であったようです。しばらく休養された後の復帰作品であったり、初のカラー作品であったり。

 以下、少しネタバレ有りです

 う~ん、なんと言えばいいのでしょうか。「斬新」という言い方が正しいのかどうかわかりませんが、今までに見たことのないような映像(特に”乞食の親子の場面”)で、今までに見たことのないような内容のお話でした。だいたい、”どですかでん”って・・・

 この映画の中で描かれた人々のそれぞれの人生を観て、とても悲しくなりました。どの人を観ても、報われた・救われたという感じがしないのです。現状に対して「仕方がない。人生はこんなもの」と自分を納得させて生きているようにしか見えなかったのです。特に、「かつこ」や「乞食の少年」の人生は、観ていて本当に辛かったです。私はまだ人生半ばですが、(こんな言い方は失礼ですが)こんなふうに人生を送りたくないと、自分の人生を見直すきっかけにはなりました。

 この映画の中で、いろいろな人の人生がいろいろに描かれていますが、黒沢監督が結局のところ何を伝えたかったのか、正直なところよくわかりませんでした。きっとなにか大きな・強いメッセージがあったのだろうと思うのですが、今のところ私にはしっかりと理解することができませんでした。本当に残念です。ただ、「絶望」をず~~っと描いて、そして最後の最後で「希望」を感じさせる場面・台詞を描いている(六ちゃんが「機関士め、明日こっぴどく叱ってやる」と言ってます。これは六ちゃんにはまた「明日がくる」ということですね。)ということは、「現実の世の中は絶望することも多いが、決して希望を失ってはいけない。」「どのような状況であっても希望を失ってはいけない。希望を持ってさえいれば、人間は生きていける。」というようなことを伝えようとしたのでしょうか

 

 なんにしても、この作品の意味を本当に理解するためには、私はまだまだ未熟だったようです。もう少し人生を重ね成長してから、もう一度観てみたいと思います。そのときには今よりはこの作品の意味、黒沢監督のメッセージを受け取ることができるのかもしれませんね。

 評価ですが、今回は控えさせていただきます。私には評価ができません。ただ、とても気になる映画です。観てから一月以上たった今でも、そしてその後20作以上映画を観た今でも、鮮烈に印象に残っています。この作品を観られた方、感想をお聞かせください。

映画の話・119 「 象の背中 」

20070912005fl00005viewrsz100x11  2007年の日本映画です。

 人の気持ちをとらえるものには二通りあるように思います。計算が全くなくその熱意によって人の気持ちをとらえるものと、「ここをこのように突くと人の気持ちをつかむことができる」というふうに計算され尽くしているもの。秋元康さんの仕事はアイドルのプロデュース(昔おニャン子、今AKB48)でも歌の作詞(「川の流れのように」等々)でもそして映画の原作でも、後者のような気がして、私は「その手に引っかかるものか!」とちょっと構えてそれらに接してしまいます。・・・ただ、そういいながら、結局は引っかかっちゃうんですよね。いつも心を持っていかれてしまいます(笑)。おニャン子の時もそうでした

 そして、やっぱりこの映画もそうでしたね~。違和感のある部分もありましたが、全体的には計算された感じで「泣かせよう・感動させよう」という雰囲気に溢れておりました。でも、死期が迫ってくる中で役所さんがやり残したことをひとつづつこなしていく姿には、グッと来てしまいました。私ももし同じ状況に置かれたらどうするでしょう?やはりやり残したことを済ませていきたいですね。会うべき人に会い、いうべき事を言いたい。もちろん自己満足でしかないのでしょうが。でも、思い残すことなく旅立ちたいです

 映画の中の一つひとつのエピソードにも心を動かされましたが、私が特に切なく思ったのは、井川遙さん演ずる愛人さんの生き方・気持ちです。愛してるけれど「妻」でもなく、形に残るものは何もない。それでも愛している・・・。切なかったです。そしてよけいなお世話ですが、その役が井川遙さんにはぴったりでした。

 映画全体のお話としては、ちょっと出来すぎといった感も否めませんが、やはり自分の生き方を見直させてくれたという点では、少し評価をすべきかなあと思います。今回もまた秋元康さんの策略に少しはまってしまいました(笑)。

 私の評価:☆☆(5つが満点です。)

映画の話・118 「 デルス・ウザーラ 」

4_6568511  1975年のソビエト連邦映画です。でも、監督は日本が誇る黒澤明さんです。アカデミー外国語映画賞受賞作品です

 宮沢賢治の童話に、「なめとこ山の熊」というのがあります。熊を撃って暮らす猟師と熊との心の交流を描いた作品です。猟師は熊に「申し訳ない」と思いながら、生きるために熊を撃ち続けます。熊の方も猟師の気持ちがわかっているので、ことさら抵抗もせず撃たれていきます。そしてやがて命を失った猟師が、あの世で熊と本当の心の交流をするというお話です。この映画を観て、テーマは少し違うのですが、この「なめとこ山の熊」を思い出しました

 黒澤監督がソ連(ロシアではありません)で撮った映画ということで、以前から気になっていた本作を、ようやく観る事ができました。「生きる」「七人の侍」などの従来の作品とは、全体的な雰囲気もそのメッセージも異なるように感じました。

 黒澤監督は様々な思いを込めてこの作品を撮られたんだと思いますが、私には「自然に対する畏敬の念を忘れるな」という思いが一番強烈に胸に響きました。自然とともに生きる事の大切さを体現するデルス。映画の後半では、「老い」の中で従来の生活が送れなくなったデルスの苦悩・悲しみが描かれていますが、「人はやがて老いて、死んでいく・・・」。それも自然の摂理なのかもしれません

 もう30年以上も前の映画ですが、そのメッセージは現代の我々にこそ必要なものだと思います。デルスほどにはなれそうもありませんが、我々現代に生きる人間は、自然への畏敬の念をしっかりと持ち、自然への共存をもっともっと考えた方がよいと痛感させられました。

 私の評価:☆☆☆☆(5つが満点です。)

2009年10月10日 (土)

終戦・・・

Ttolucky1_2 プロ野球・阪神タイガースの今シーズンが終わってしまいました。クライマックス・シリーズに進出することができれば、中日・読売どちらに対しても結構いい戦いができると思っていましたので、もしかしたら日本シリーズに進出できるかも・・・と思っていましたが、その夢も昨日東京ヤクルトに敗れ、終わってしまいました

 こうなったら、「あの時勝っていたら」とか、「おとといの試合で横浜がヤクルトに勝っていたら」などといろいろ考えてしまいますが、いまさらそんな事を言っても仕方ありませんよね

 思い返せば、タイガースは今シーズン、最悪の滑り出しで、前半戦を戦っている時にはクライマックスシリーズを争えるなんて思ってもいませんでした。そういう状況から考えると、よくここまで楽しませてくれたなあというほうが正解なのかもしれません。今シーズンはもう終わりですが、来シーズンこそ最後まで優勝争いできるように、今日から気持ちを切り替えて鍛えなおしてほしいと思います。さ、明日からしばらく、楽天を応援しよ~~~っと

 私の選んだ今シーズンのタイガースMVP

      野手:平野恵一   投手:能見篤史  敢闘賞:岩田稔

2009年10月 9日 (金)

映画の話・117 「 花様年華 」

4_3039311 2000年の香港映画です。

特にこれといったストーリー展開もなく、ただ、60年代の香港の匂いと”抑えられたエロス”が充満している、そんな映画でした。何度も映し出された、女性主人公のうしろ姿・・・その色っぽさに、この映画が象徴されているように思いました。

 この映画もまた、”雰囲気を楽しむ映画”なのでしょう。ストーリー展開に感動するのではなく、映画の中の世界にどっぷり浸れるか浸れないか・・・そこが、この映画を是とするか非とするかの分かれ目なのでしょう。
 ここでの評価は非常に高いのですが、私は残念ながら「今回は」その世界に浸ることはできませんでした。ただ、このような映画(まあ、映画はどれもそうですが)の場合、それを観た時のこちら側の状況によって評価は左右されますので、また時間をおいて機会があれば今一度観てみたいと思います。その時は☆5つをつけたくなるかもしれません。

 (今回の)私の評価:☆☆☆(5つが満点です。)

映画の話・116 「 麦 秋 」

39613viewrsz90x11  1951年の日本映画です・・・って、名作ですのでみなさん、タイトルくらいはご存じですよね。

 小津安二郎監督の作品を、初めて観ました。黒澤明と小津安二郎、この二人は日本を代表する監督としてずっと名前は聞いていたのですが、小津監督の作品は今まで観たことがなかったのです
 で、「麦秋」。かなり期待して観ました

 ・・・はじめは、淡々としたペース(これが小津監督の持ち味のひとつだと思うのですが)に、正直ついていけませんでした。なかなか話が展開せずに、いらいらしました(すみません)。

 ところが観ているうちに、次第にそのペースにも慣れていき(はじめにさっき書いたような事を思って、小津監督・ファンのみなさま、すみませんでした)その世界観に引き込まれていきました。ゆったりした時間の流れ。その中で展開する、28歳の紀子の結婚話を軸とした家族の話。詳しいことはここでは割愛させていただきますが、俳優さんの表情ひとつとっても、セリフひとつとっても、無駄なものは何一つ無いといった感じでした

 「幸せ」はいつまでも同じ形でとどまってはいない。人生は移り変わっていくもの。古くから日本文学の中でも語られ続けたいわゆる「無常観」、このテーマを小津監督はこの映画の中でしみじみと描いています。先ほども書きましたが、特に父母の会話には、感じるものが多くありました
 本当に「特になんということのない幸せ」を私も意識して、これからも噛み締めたいと思いました

 ラスト、山(畝傍山・香具山といった、大和三山のひとつでしょうか)をバックに一面の麦畑が映されるシーン、本当にみごとでした。「麦秋」は季節は初夏。「麦」は父・母の人生の「実り」を象徴し、そしてその麦が刈り取られても次の若い植物がまた元気に芽を出し成長する・・・そんなことを象徴しているのかなあなんて思ったりもしました。

 ラストまで見れば本当に期待通り。大げさな言い方に聞こえるかも知れませんが、原節子さんの笑顔・笠智衆さんの演技も含めて、この映画は後世に伝えるべき「日本の遺産」です。

 
 それからここからは余談ですが、いわゆる”プラレール”、この時代からあったのですね。驚きました。そして、いつの時代も男の子はこの”プラレール”に憧れる時期があるのだなあと、微笑ましく思ってしまいました

 私の評価:☆☆☆☆☆(5つが満点、つまり満点です。)

映画の話・115 「 茄子 スーツケースの渡り鳥 」

4_2926311 2007年の日本映画です。前作(映画の話・114参照)同様、スタジオジブリ制作です。

 前作「アンダルシアの夏」を観た勢いで、この作品も観せていただきました。特に前作と比べて賛否両論あるようですが、私はこの作品はこの作品で気に入りました

 打って変わって舞台は日本。前作はアンダルシアの光が眩しいほどに感じられましたが、本作は紅葉の中の山道が日本の秋・四季の美しさを感じさせてくれます。その中を走る姿はまさに爽快です
 
 本作は、よりスポコンものの要素が濃くなっているような気がしました。今まで自転車レースにはまったく興味がありませんでしたが、この二作を観て「おもしろそうだなあ。ちょっと見てみようかなあ」と思うようになりましたよ。そのような点において、前作よりも単純に楽しめました

 ただ・・・ひとつ腑に落ちないというか、よくわからない点が。観られた方はたぶんすべての方が思っておられると思うのですが・・・。そう、ザンコーニの行動についてです。あれはどういう意味だったのでしょう・・・。ただ、この映画はそこを説明していないからこそいいのではないかと思っています。くどくどと説明すると、全体の爽快感も失われてしまうのかもしれません。ザンコーニの行動については、それぞれの方がいろいろと想像し、考えるのがよいのかもしれません。観た人一人ひとりにそれぞれの答えがあっていいのかもしれません。

 前作同様、おもしろい映画でした。また続編がつくられることを期待します。余談ですが、観終わって茄子の漬物が食べたくなりました(笑)。

 私の評価:☆☆☆☆(5つが満点です。)

映画の話・114 「 茄子 アンダルシアの夏 」

4_3093111  2003年の日本映画です、っていうか、スタジオジブリのアニメです。高坂希太郎監督です。

 お話の方はというと・・・ズバリ、おもしろかったです。自転車レースというものがどういうものかもわかりましたし(ヨーロッパではかなりの人気スポーツらしいです。日本でいうプロ野球みたいな位置付けでしょうか。そういえばヨーロッパにはプロ野球はないし。)、スポーツものとしても楽しく観られました

 そして、主人公ぺぺをめぐる兄・その妻とのエピソードも、少し切なく、興味深く共感をもって観ることができました。特に私はどちらかと言えば恋愛においては敗者(?)の側だったから、ぺぺの気持ちはよくわかる気がします(笑)。そしてそれらをめぐる、生まれ育った土地に対する気持ち・わだかまりも。

 ぺぺの声、大泉洋さんだったんですね。最後のテロップを見て気がつきました。タレントさんが声優をするとき「へただな~」と違和感を感じることが多いのですが、これは全く違和感なし。お見事でした。小池栄子さんもグッド。おまけに最後の歌が忌野清志郎さんなのもよかった。清志郎さんの自転車好きは有名ですよね。一度高級な自転車をとられて困っておられたのも記憶しております

 わずか47分という短い時間ですから、作品の深みという点では物足りない部分があるのも否めなせん。しかし、その47分間で十分ひとつの世界を見せてくれます。自転車レースのおもしろさ・迫力、兄・元恋人との心の機微・・・そしてなにより、スペインはアンダルシア地方の風、そしてまぶしい日射しを、十分に感じることができました(でも私、スペイン・アンダルシアには行ったことはありませんけどね・笑)。画面からその場の「空気」を、そして「世界」を十分に感じとることができる、いい映画でした。

 私の評価:☆☆☆☆(5つが満点です。)

映画の話・113 「 ブレイブ・ストーリー 」

20060516001fl00001viewrsz150x11  2006年の日本映画です。宮部みゆきさん原作ですよ。

 主人公が様々な課題をこなしながらアイテムを入手し、経験値などをあげていき次第に成長し目標を達成するという、コンピューター・ゲームのようなアニメ映画でした。ただ、その物語の核となるワタルの、そしてミツルのエピソードは特に重く、ちょっと辛くなってしまいましたが

 私は昔人間なので、コンピューターゲームなどはどちらかと言えば苦手で、その影響もあってこの映画も観始めたころは「ちょっとつらいなあ・私には向かないかなあ」と思っていたのですが、次第に慣れて(?)いき、最後にはそれなりに「よかったなあ」なんて思ってしまいました。ワタルの人間的な成長もよく伝わってきましたし、映画としてまあ及第点ではあったかなあと思いました(上から目線で申し訳ありませんが・汗)。最後、ミツルのエピソードもそれなりに希望を持たせる終わり方で、こちらもちょっとほっとしたかな。

 私、俳優さんがアニメの声優をするというのは、実は反対なのです。その理由の一つは、ハッキリ言って下手だから。そして二つ目は、本来の声優さんの収入等を脅かし、日本のアニメ文化の質の低下を招くことになるからです
 でも、この作品、声優さんの方もなかなか良かったです。先にあげた二つ目の理由の懸念は残ったままですが、一つ目の懸念は解消されています。なかなか上手でした。大泉洋さんは「茄子シリーズ」(ジブリのアニメです。また近々ここでもレビューを書かせていただきます。)等ですでにその実力は折り紙つきですが、松たかこさん、違和感なくワタルを演じておられました

 曲の方もよかったですね。この映画によく合ってました。

 大人の私にとりましては、「とても感動した~♪」とまでは言えませんが、ストーリー・絵・声優・主題歌、どれをとってもまあ「及第点」といった映画でした。

 私の評価:☆☆☆(5つが満点です。)

映画の話・112 「 非・バランス 」

129785rsz15011  2000年の日本映画です。

 小学生時代にいじめられた経験を持ち、さまざまなことに心を閉ざす”ちあき”が、ある夜小日向文世演ずるオカマの”菊ちゃん”と出会い、次第に心を開いていくというストーリー
 はじめは「いじめ」に関する話かと思って観ていると、だんだん”菊ちゃん”の悲恋の話になって行ってしまって、「この話、結局どこに落ち着くんだろう?」と少しハラハラしながら(笑)観ておりましたが、結局は落ち着くべきところに落ち着いて、安心しました。でも、この映画を観ていて、「人間ってやっぱり人との出会いによって変わるんだなあ」と、改めて感じられましたよ

 ラストあたり、ちあきが昔自分をいじめていた少女を呼び出して思いをぶつけるシーン。「なにをそんな昔のこと・・・」というその少女に対してのちあきのセリフ「あんたにとっては昔でも、私にはずっと続いてたんだ!!」には、正直心が痛みました。これこそがいじめの真実なんでしょうね。いじめた方にとっては遊び半分だったり、昔のことであったり、でも、いじめられた方にとってはいつまでも心の傷となって残ってしまう・・・。
 
 でも、先ほども書きましたが、そんな傷も菊ちゃんとの出会いによって次第に癒されていく・・・。
 主演の派谷恵美さん。はじめは固い演技だなあと思っていたのですが、心に傷を負い、菊ちゃんとの出会いによって少しずつ心を開いていく少女の役にはぴったりでした。そして小日向文世さん。さすがです。どんな役でもこなしますね。今の時代を代表する役者さんの一人でしょう。

 私の評価:☆☆☆(5つが満点です。)

2009年10月 8日 (木)

映画の話・111 「 オータム・イン・ニューヨーク 」

4_2645411  2000年のアメリカ映画です。

 秋から冬にかけてのニューヨークの風景、とってもキレイでした。ウィノナ・ライダーもきれいでしたし、何よりもリチャード・ギア、ちょっと小泉純一郎さんを思い出してしまいましたが(笑)、とってもかっこよかったです

 ただ、・・・それだけの映画でしたね。ある男と女が運命的な出会いをする。二人は惹かれあっていくが、彼女は病気で余命いくばくもない。男は何とか彼女を助けようとするが、結局彼女はひとりで旅立っていく・・・。本当によくある、というかベタすぎる物語です。なんのひねりもありません。「え、まさか本当にそうなっていくの?」って、予想通りに話が進みます。当たり前すぎて、なにか、コメントする気すら失せてしまいます・・・

 この映画を見て思ったこと・・・私もリチャード・ギアのようなかっこいい中年になりたい。それぐらいでしょうか。(でも、お金持ちじゃないから、その段階で無理かなあ・笑。)

 私の評価:☆にしようかと思いましたが、風景のきれいさに免じて☆☆です。(満点は5つです。)

映画の話・110 「 戦場のピアニスト 」

4_5382521  2002年、フランス・ドイツ・ポーランド・イギリス合作映画です。

 さすが「事実」と感じさせるのは、ラスト近く、シュピルマンを助けたドイツ兵が救われなかったこと。ふつうのよくあるお話では、あそこは絶対助けたシュピルマンによって逆に助けられるはず。でも、やはり事実=世の中はそんなに都合のいいことばかりは起こらないのでしょうね。そのあたりのエピソードがこの映画によりリアリティーを加えていました。シュピルマンはなぜ生き延びることができたか、あのドイツ兵はなぜ捕虜となり死んでいったか、こういう言い方をすると元も子もないかもしれませんが、結局偶然のなせるわざなのかもしれません。でも、自分としてはそれでも、良い行いをすれば良い結末が待っていると信じたいですけどね。

 あと、この映画を観て感じたこと。ありきたりですが「戦争がいかに人間性を失わせるか」ということ。たいした理由もなく、あんなに簡単に人を殺すことができるなんて。正気の沙汰じゃ、ない。いや、そのような残酷な面こそが人間の本性だと言われる方もいらっしゃるでしょうが、それでもいわゆるふつうの日常の中では、そのような事はしませんよね。「戦争」という特殊な状況が、人々に「人間性」を失わせるのでしょう。良い面も悪い面もあるのが人間ということでしょうが、私はやっぱり人間の「良い面」が強調されるような世の中であってほしいと思います
 

 この映画をごらんになられたほとんどの方が感じられたことだと思いますが、ラスト近く、ドイツ兵の前でシュピルマンがピアノを弾くシーンには心を打たれました。(あのような戦時下に、ピアノの調律は狂ってなかったのね、と妙なつっこみを心の中で入れてしまいはしましたが)月の光の中シュピルマンが弾くピアノの一音一音が、心の中に浸み入ってきました

 「シンドラーのリスト」をはじめ、戦争をテーマにした映画・ユダヤ人虐殺をテーマにした映画は数々観てきましたが、「戦時下の狂気」を描ききっている点、そして「事実はそんなにうまくいかないよ(そういいながら、シュピルマンはなんとか生きながらえましたが)」というリアリティを描いている点において、この映画も間違いなく名作の一つに数えられるべき作品だと思います。こんな事を書くと「今さら」という感じですが、それでもやっぱり「戦争はいやだ!」と強く思わせてくれる映画でした。こんなふうに死にたくない!こんなふうに人を殺したくない!・・・強くそう思いました。

 

 私の評価:☆☆☆☆(5つが満点です。)

映画の話・109 「 二重スパイ 」

4_5235911  2003年の韓国映画です。韓国を代表する俳優であるハン・ソッキュ主演です。

 私、政治的なことはよくわかりません。ですから、この映画の本当の良さ・本当の意味はわかってないのかもしれません。ただ、私がこの映画を見て感じたことは、「他人を疑わないで生活できるというのは幸せなことだなあ」ということです。常に他人を疑い、常に安心できずに過ごすことのなんと不幸せなことか・・・

 映画としてどのように評価すればいいのか私にはわかりませんが、韓国が誇る名優ハン・ソッキュに日本人好み(と私が勝手に思ってるだけかもわかりませんが)の女優コ・ソヨン、お二人ともさすがに好演されてました。ハン・ソッキュは二重スパイの孤独な雰囲気をよく醸し出していましたし、帰らぬ夫を待つラストシーンでのコ・ソヨンは本当に切なかった。

 毎日の生活の中で、思い通りにならなくて文句を言ったり愚痴を言ったり・・・。でもそのようなことが言える「幸せ」をかみしめた映画でした。

 私の評価:☆☆☆(5つが満点です)。

映画の話・108 「 冷静と情熱のあいだ 」

4_1702411  2001年の日本映画です。

非常にもどかしい映画でした(笑)。フィレンツェの街並みの美しさに騙されてしまいますが、ストーリーだけを追うとかなり「うじうじ」とした感じになります。以下、ネタバレ有り

 
 学生時代に出会ったあおいと順正。二人はきらきらと輝く日々を送りますが、やがてあおいが妊娠。そして順正の知らない間に彼の父があおいにお金を渡し、中絶させ別れさせる。二人は次第に気まずくなり結局別れる。しかし、順正はいつまでたってもあおいのことが忘れられない。あおいも、忘れようとつとめるが結局自分には順正しかないと気づく。そして二人はかつて約束した「あおいの30歳の誕生日」に「フィレンツェのドゥオモ」で再会する。そして結末へ・・・。・・・とまあこんな映画っですが、最後まで見終わって、「結局お互いに好きなんだったら、もっと早くに元のサヤに戻ればよかったのに。なにまわりくどいことをやってるんだ~?」と思ってしまいました

 ただ、人間は大きく分けると、「こういうまわりくどいことが許せない人」と「まわりくどいことが結局のところ好きな人」の二通りにわかれると思うんですよね。いろいろ書きましたが、実は私は後者かも。いつも、いろいろなことに対してスパッと割り切ろうと思っても、結局は未練たらたら・・・という感じですし(汗)。ですから、結局のところは、順正とあおい、二人の思いのすれ違いをもどかしく思いながらも、ハッピーエンドになった時には、結構うれしく思いました

 このようなもどかしい話は、生理的に嫌い!!とおっしゃる方もいらっしゃると思いますが、それでもうつくしいフィレンツェの街並みに接するだけでも、この映画を観る価値はあるとおもいます

 まあなにせ、もどかしいけれども美しい映画でした。

 私の評価:☆☆☆(5つが満点です。)

映画の話・107 「Shall We ダンス?」

4_510211_21  1996年の日本映画です。日本アカデミー賞をはじめ公開当時様々な映画賞を総なめにしましたので、ご存じの方も多いですよね。その後、ハリウッドでもリメイクされましたよね。

 様々なストレスを抱えながら今日も一日の仕事を終え、帰宅する電車の窓から沿線に建つ家々の明かりを見る。「その明かりの下には様々な人が住んでいて、いろんな事がありながらも一生懸命生きているんだろう」などと考えると、なんだかほっとする。「しんどいのは自分だけじゃ、ない。みんなも頑張っているように、明日からもまた、自分も頑張ろう」などと、不思議とまた元気が出てくる。
 ・・・この映画は私にとって、まさにそんな映画でした。主演の役所広司さん(相変わらず渋いです)、草刈民代さん(凛とした感じが素敵でした)を軸としたストーリーにはもちろん感動しましたが、私はそれよりも脇役の方々のエピソードの方に心を動かされました。特に渡辺えり子さん(今は「えり」さんでしたっけ?)・竹中直人さん。日々の淡々としたどちらかといえばあまり面白くない生活の中で、一生懸命生きているお二人。そしてその二人が唯一輝ける瞬間として選んだ「社交ダンス」。お二人の思いが痛いほど伝わってきて、泣いたり笑ったりでした

 壮大な夢物語も映画としてはいいのですけれど、私たちの日常にも通じるような、そしてその日常に夢や希望を与えてくれるようなこの映画、やっぱり名作です。

 私の評価:☆☆☆☆☆(5つで満点、つまり満点です。)

映画の話・106 「 アヒルと鴨のコインロッカー 」

20070418004fl00004viewrsz150x11  いや~、久々にいい映画を見つけました。見つけましたとはいいましても、公開当時から話題にはなってまして、私が今まで観ていなかっただけなんですけどね、でも、久々にいい邦画です。先日一度観まして、そのときは「ふ~~ん、いい映画だなあ」ぐらいにしか思わなかったのですが、時間が経つにつれ「あれ、いい映画だったよなあ。もう一回観たいなあ」となり、今日二回目の鑑賞をいたしました。で、元来のお節介癖が騒ぎ出し、みなさんにご紹介したくて、今これを書いてます。以下ネタバレ少しアリですので、注意して読んでくださいね

 2006年の、日本映画です。

 はじめはなかなか話についていけず、のめり込めないまま時間ばかりが過ぎていったのですが、ほぼ真ん中あたりですべての謎が解けてからは(まさに”目から鱗”とはこのこと!)、この映画の世界にどっぷりと浸ることができました。留学したばかりのドルジの寂しさ、琴美・河崎と出会いせっかく日々が楽しくなりだしたのに、その二人を相次いで失った絶望感・・・本当に観れば観るほどその切なさに胸が締め付けられました

 出演されている方々も、それぞれ好演しておられましたね。関めぐみさん・濱田岳さん・大塚寧々さん・松田龍平さん・・・どの方もまったく違和感なく観ることができましたが、やはり瑛太さん。この映画の”河崎”そして”ドルジ”、かなり難しい役だったと思いますが、見事に演じきっておられましたね。今まではルックス主体のイケメン俳優さんといったイメージでしたが、この作品で改めて「演技派」だと認識させていただきました。お見事でした

 この作品、実はかなり重い、難しいテーマが込められていると思います。本当はそのあたりのことについては、私もまだ理解できていないようにも思います。あと何回か観れば観るたびにそのあたりのことが理解できて、またちがう「おもしろさ」を感じられるのかもしれませんね。そのような奥の深さも感じることができました。

 本当にいい映画でした。最近日本映画が元気だとよく耳にしますが、日本映画の質の良さをよくあらわしている映画だと感じました。何度も書きますが、本当にお薦めです。できれば二度観てください。そうするとはじめの方のシーン(特に冒頭のシーン)の意味がわかりますから。

 私の評価:☆☆☆☆☆(5つが満点、つまりこの作品は満点です。)

映画の話・105 「 チェ 39歳 別れの手紙 」

20081027006fl00006viewrsz150x11  フランス・スペイン・アメリカ合作映画です。日本公開は2009・1・30でした。

 最初から最後まで、辛くて仕方がありませんでした。それは前作「チェ 28歳の革命」の物語がいわば成功・ハッピーエンド(?)に向かっていくのに対して、本作は新しい革命の挫折・ゲバラの死に向かって物語が進んでいくからに他ならないと思います。ゲバラの最期をしっかりと見届けようとは思っていましたが、なかなか苦しかったです。特に喘息の発作を起こし、”ぜいぜい”という咳をしながらジャングルの中を進むシーンは、観ているこちらも息が詰まるようでした

 キューバでの革命を成功させたゲバラですが、その後の「革命」ではなかなか思うようになりません。個人の目標を達成するためには、その本人が真剣に努力をすればある程度なんとかなりますが、「革命」ともなると本人の努力だけではなんともならないということなのでしょうね。それほど人々の気持ちを変える・地域の情勢を変える、そして国を変えるというのは大変な事なのでしょう。
 しかし、大変だからこそ、それを本気で成し遂げようとしたゲバラの気持ちに、崇高なものを感じずにはいられません

 私たちがこの映画から、そしてチェ・ゲバラという人間の生き方から何を学ぶか・・・。

 大きな力には逆らえないのだというふうに、あきらめの気持ちを抱く方もいらっしゃるでしょう。しかし、できることならほんの少しだけでもゲバラを見習って、「理不尽なことを是正するために、少しずつでも声を挙げていきたい。」という気持ちを持ちたいと思います。ラスト、無音でエンドロールだけが淡々と流れるところは「ゲバラはここまでやったぞ。さあ、これを観ている君たちはどうする?どういう行動をとるのか?」と問いつめられているような気持ちになりました

 私は、政治活動や○○主義などという類には興味はありません。国を変えるなんて滅相もない(もっとましな方向に変わってほしいですけどね・笑)。しかし、身の回りの理不尽なこと・不公平な事に対してあきらめずに声をあげ、少しでも「正しい」世の中にしていきたいと思います。私自身の力は本当に小さなものですが、あきらめないでいようと思います。その「小さな力」が集まって、少しずつでも「正しい」世の中に近づいていけば、うれしいなあ

 私の評価:☆☆☆☆(5つが満点です。)

映画の話・104 「 20世紀少年 第2章 最後の希望 」

20081027014fl00014viewrsz150x1  2009年2月公開の日本映画です。

 前回、第1章の時にも同じようなことを書かせていただきましたが、私は原作の大ファンですので、原作を離れて純粋に映画としてどうかということは、なかなか論じることができません。ただ、ひとつだけ述べさせていただくならば、展開がかなり早いので「原作を読んでいなければ話についていけないのではないか」とは思いました。それぞれのエピソードのつながり・それぞれの人間関係について細かいところが省略されているので、原作を読んでいない方にはよくわからないのではないかと思います。そういう点では単純に、映画を楽しむためには原作を読んでから観られたほうがいいと思います。純粋に「映画」として楽しみたい方にはそれは「邪道」ということになるのかもしれませんが(笑)。

 原作を気に入っている者の映画化に際しての心配は、ひとえに「イメージがこわれないか」ということです。この映画においてもそれを心配していたのですが、第1章は言うに及ばず、この第2章もイメージどおりで、非常におもしろかったです。そのギャラに相当のお金をかけているんだろうなあと想像できる出演者の方々、第一章の出演陣はもちろん、カンナ・神父さん・ほくろの警官・等々、新しい方々もとてもよかったです。高須役の小池栄子さんもはじけてましたね。でも特に小泉響子役の木南晴夏さんは本当に「そのもの」でした。表情も含めて、おみごと!!でした。
 映像も、すばらしかったですね。どのシーンも原作のイメージを損なうことはありませんでした。トモダチランドのアトラクション(シュート・ゲーム?)もよくできてましたし(笑わせていただきました)、トモダチが復活するシーンあたりも荘厳でなかなかよかったです。
 その中でも私がもっとも気に入ったのは、ラスト近く、新宿の教会にオッチョがステンドグラスを割って飛び込んでくるシーン。
「かっこい~~」。このシーン、音響的にもお見事でした。このシーンを観るだけでもこの映画を観る価値はある・・・とまでは言いませんが、いいシーンでした。

 第1章はいわば「動」。それにたいしてこの第2章は「静」という印象を受けました。最終章に向けて、いわば「高く跳ぶために、一度深く沈む」といった感じでしょうか。原作ファンにとってイメージどおりの第1章そして第2章でした。
 それを受けて、さあ、第3章です。どんなラストが待ち受けるか、今から本当に楽しみです。

 私の評価:☆☆☆☆(5つが満点です。)    

映画の話・103 「 檸檬のころ 」

20070312013fl00013viewrsz150x11_2  2007年の日本映画です。栃木県でロケをされたようですよ

 青春時代って、なんて不器用でかっこわるくて恥ずかしい日々なのでしょう。後から思い出すと本当に胸が痛くて、切なくって仕方がありません

 この作品は榮倉奈々さんと谷村美月さんお二人を中心としたそれぞれのエピソードが、時折シンクロしながら描かれていきます。ですからお二人の演技が鍵となっている事は事実です。その意味では谷村美月さんの演技・存在感は群を抜いておりました。林直次郎さん演ずる少年(役名忘れてしまいました、すみません。)との関わりのなかで、彼の言葉に一喜一憂する姿、お見事でした(でも本当に、好きな人のしぐさ・態度・言葉に一喜一憂してしまいますよね。若い頃は。・・・いや、いくつになっても、でしょうか・笑。)

 ただ、私個人としては、石田法嗣さん演ずる「西君」に対して、最も感情移入してしまいました。
 特に物語はじめの方、電車で榮倉奈々さんと出くわす中のシーン・・・あ~、観ていて恥ずかしい・胸痛い・切ない(泣)。好きだけど、好きだからこそ相手に迷惑をかけたくない。でも好きだから迷惑をかけてしまう。本当に好きだから優しくしたいのに、意識しすぎてぶっきらぼうになってしまう。そして、自己嫌悪・・・。う~~~ん、わかる。わかりすぎて胸痛い(笑・泣)。以前の、自然に接することができていた頃を思い出して、切なくなるのもわかります(泣)。昔を思い出しても仕方ないのに、ふと思い出してしまい辛くなることは、誰にもありますよね

 あと、出演者について言えば、映画のテーマ同様、まさにこれから成長していく役者さんばかりが出ておられて、このあたりもさわやかでとってもよかったように思います。林直次郎さんは、演技の方は正直今ひとつでしたが、文化祭のシーンはさすがでした。歌も本当にいい歌で、そちらの方でも感動をいただきましたよ。柄本佑さんはさすがですね。こういう映画には必ずと言っていいほど出ていらっしゃる。あの年齢にしてすでに「名バイプレーヤー」といった感じです。

 なぜ西君より佐々木君を選んだか、なぜ西君と秋元さんが疎遠になってしまったか、などなど、もうちょっと説明がほしかった部分やもう少し丁寧に描いてほしかった部分も少なからずあります。そういう意味では映画としては未完成・まだまだな作品なのかもしれません。ただ私は、そのような部分も含めてこの映画を気に入りました。細かいところはともかく、あの時期の空気感を実によく描いてあります。観ている私もしばしその空気の中に漂い、「あんなこともあったなあ」と切なくなりました。

 青春時代って、なんて不器用でかっこわるくて恥ずかしい日々なのでしょう。後から思い出すと本当に胸が痛くて、切なくって仕方がありません。でも、本当に愛おしい・・・。「檸檬のころ」というタイトルはまさに言い得て妙。本当に誰もが経験したであろう「檸檬のころ」の切ない気持ちを思い出させてくれる映画でありました

 私の評価:☆☆☆☆(5つが満点です。)

映画の話・102 「 ピアノを弾く大統領 」

4_770891_21  2002年の韓国映画です。

 ”チェ・ジウ・ラブ”の私ですので、もちろんそれが目当てで鑑賞しましたよ 

 でも、一言で言うと、ありがちなお話ですね。いや、一般の社会では、一国の大統領と娘の担任教師の恋物語なんて絶対にないだろうとは思うのですが(それに、あんなに気軽に大統領が出歩いたり会いに来たり)、それゆえ映画やドラマの世界では昔から使い古された題材のように思います。永遠の名作「ローマの休日」もそのような映画でしたね
  
 ありがちなテーマであり、本当になんのひねりもない。お手本のように「起承転結」にそってお話は進んでいき、最後はハッピーエンド・・・。う~ん・・・観終わっての感想は「はいはい、よかったね。」って感じで、特に感動もありませんでした。上記の「承」から「転」に移るあたり、護衛の人をまいて二人で逃げるあたりもこういう映画では「おきまり」「お約束」ですし、そのあとマスコミに嗅ぎつけられスキャンダルへと発展していきながらも(本当はもっと早くにバレちゃうんじゃないの?とは思いながら観ていましたが)あっさりとそのスキャンダル・そして二人の別離の問題も終息するあたりも、あっさりした感じでちょっと拍子抜けの感じでした。(ただ、韓国のマスコミの実態が垣間見られて、別の意味でちょっと興味深く、また怖ろしくはありましたが)。

 私、チェ・ジウさんのファンですので、昔のアイドル映画を観るようなつもりで(つまりチェ・ジウさんが観られればなんでもいいというようなつもりで)この映画を観ました。期待通りチェ・ジウさんは相変わらず可愛かったです(照)。大統領役の方もいい雰囲気でしたし。でも、映画としてはどうなんでしょう。そのあたりは映画ファンとしてシビア(死語?)な視点で観せていただきますが、やっぱり☆二つがいいところでしょうか。”慕情”の曲はよかったですけれど。

 私の評価:☆☆(5つが満点です。)

2009年10月 7日 (水)

映画の話・101 「 ピノキオ 」

4_29321_21  1940年のアメリカ・ディズニー映画です。

 ディズニー映画といえば、トイ・ストーリーやファインディング・ニモ、最近ではウォーリーなどがその代表作とされていますが、昔の作品もやっぱり素晴らしい。私の場合、「一番のお気に入りは?」と訊かれれば、迷わず(いや、ちょっと迷うかな・笑)「ピノキオ」と答えます
 なんと言っても、ゼペット爺さんのピノキオを思う気持ちがいい!!まさに「無償の愛」。本当に素晴らしいです。こんな事を言ったら元も子もないかもしれませんが、本当の子どもでもない・・・いや、相手は人間でもないのに。
 
 ピノキオもいわゆる「ふつうの子ども」らしく(苦笑)、ゼペット爺さんの言うこともきかず、誘惑に負けていろいろな「悪いこと」に手を出してしまいます。まさに「親の心子知らず」です。それでもゼペット爺さんはピノキオを見捨てず、まさに無償の愛で包み込みます。そしてやがて、ピノキオもゼペット爺さんの気持ちがわかるようになっていく。そして感動のラストへ。もう涙・涙・・・はちょっと大げさですが(笑)、本当に心温まるいいお話です

 確かに教訓的で、ちょっと説教くさいところに抵抗を感じるとおっしゃる方はいらっしゃると思います。「世の中にはまじめに生きている人をだまそうとするひどい輩がいる。そんな奴らの誘惑に負けて悪いことをしてはいけないよ。自分のことを大切に思ってくれている人を悲しませてはいけない。まじめに一生懸命生きていれば、きっといいことがあるから。」まさにストレート。まっすぐすぎてちょっと恥ずかしいくらい(笑)。でも、素晴らしいじゃないですか。本当にその通りだと思います
 うちの子がまだ小さかった頃、言うことをきかなかったら「そんなことをしてたら耳が伸びてくるよ。ロバになるよ。島の遊園地へつれて行くよ(怒)。」ってよく言ったことを思い出します。そういうと子どもたちは、本当に怖がってましたが(笑)。(余談ですが「島の遊園地」=原語では確か「プレジャー・アイランド」でしたよね?「島の遊園地」っていう訳、これも素晴らしいと思います。映画の中ではまさにそんな感じでしたよね。)

 こんな世知辛い世の中で、こんなストレートなメッセージ性を持った映画はむしろ必要なんじゃないかと思います。今の世の中、特に親子関係の中でもっとも必要なのは、ゼペット爺さんのような、まさに「無償の愛」なのだと思います。それがいつの日か子どもの心を変え、成長させていくのでしょう。ストーリー・映像・音楽と、すべてにおいて本当に素晴らしい映画です

 余談ですが、この映画が1940年に創られたと言うことを知って、またもやびっくり。ディズニーの懐の深さを感じさせられました。このような作品を創ったその歴史の延長線上に、現在のディズニー作品があるのでしょうね。

 私の評価:☆☆☆☆☆(5つが満点、つまり満点です。)

映画の話・100 「 チェ 28歳の革命 」

20081027005fl00005viewrsz150x21  2008年 スペイン・フランス・アメリカ合作映画です。日本公開は2009年1月10日です。「映画の話 100回記念」はこの映画にさせていただきます。

 以前からゲバラに心酔している(政治的なことは知りません。ただ人間の生き方として、ゲバラにあこがれを抱いております。)私としましては、これは観に行かなくては!と思い、観て参りました
 様々なレビューで書かれていますように、ゲバラのことを全く知らないとおっしゃる方は、少し予習をしてから観られたほうがいいですねえ。話がどんどん進んで、そして場面が次々切り替わって、ついていけなくなるように思います
 
 ただ、ゲバラのことを多少なりとも知っているとおっしゃる方(私も含めてですが・・・)には、十分楽しめる内容だったのではないでしょうか。「楽しめる」と書きましたが、娯楽性はほとんどありません。本当にただ「淡々」と、ゲバラのキューバ革命達成までの間の考え・足跡を描いております。本当に淡々と・・・。それでも「楽しめた」のはなぜか。それはスクリーンから、ゲバラの思いが・ほとばしる情熱が観ている私に痛いほど伝わってきたからだと思います。


 最初にも書きましたように、私は以前から「人間・ゲバラ」に憧れてきました。ただ、憧れながらも、ゲバラについてよく知らない部分も多々ありました。この映画はそんな私に、よりいっそうゲバラという人間を理解させてくれました。アルゼンチンの裕福な家庭に生まれたゲバラがなぜ革命の道に進んだか(このあたりは「モーターサイクル・ダイアリーズ」の方がわかりやすいかもしれませんが。)、そしていかにしてキューバで革命を成し遂げたか。理不尽なことに対する怒りのもっていき方・不満を持つ人々の心のまとめ方等々、ゲバラの考え方がよく理解できて、よりいっそうゲバラについて理解できたように思います。

 ゲバラの情熱の前に、132分という時間はまったく長くは感じませんでした。ここに書きましたのは映画評といえるのかどうかわかりません。ただ、まったく退屈だと感じることなく、違和感なくゲバラの人生の一端に触れることができたのは、やはりこの映画が「いい映画」だったからだと思います。ソダーバーグ監督の力量はもちろんのこと、なんと言ってもゲバラを演じたベニチオ・デル・トロ、彼はスクリーンの中ではゲバラ以外の何者でもありませんでした。お見事でした

 マニア向けといえばそうなのかもしれません。ただ、できることならば今までゲバラのことを知らなかった・興味がなかった方にも、ほんの少し予習をしていただいて、この映画を観ていただきたいと思います。こんなしらけた世の中だからこそ、私たち自身が理想を失わず、熱い気持ちを持ち続けるためにも

 えっ、私の評価ですか?もちろん☆5つ、満点です。

映画の話・99 「 ホテル・ルワンダ 」

20051206004fl00004viewrsz150x11  2004年のイギリス・イタリア・南アフリカ共和国合作映画です。

 きっと多くの方がそうだろうと思うのですが、私にとってもこの映画は「自分から進んで、興味を持って観たい」というタイプの映画ではありませんでした。けれど、以前からその評価の高さは耳にしていましたので、今回、観させていただきました。

 う~ん、やっぱり、かなり重かったですね。でも、我慢して観るといった映画ではありませんでした。思っていたよりも観やすかった、というか観ているうちにどんどん画面に引き込まれ、あっという間に時間が過ぎて行ったという感じです。観てみたいと思いながらも、イメージでなかなか「観れず嫌い?」になっておられる方には、思い切ってご覧になってみることをお薦めします
 
 お話は、アフリカの小国ルワンダの内戦のさなか、家族を守り人々の命を救った一人のホテルマンが主人公。イメージとしては日本の杉原千畝さんやご存じ「シンドラーのリスト」のような感じです。でも、本当はもっともっと重いテーマが、いくつもちりばめられているように思います。民族紛争、人種差別、大国のエゴ・無関心・無責任・・・観ていて苦しくなりました。そして自分のことを振り返ると、私の置かれている立場・環境が曲がりなりにも平和でよかったなあと、強く感じました。ただ、そんなことを思っていることが、まず「平和ボケした日本人のエゴ」のような感じがして、恥ずかしいのですけど

 「同じ人間同士、憎み合わずに仲良くすればいいのになあ」と、能天気な私などは簡単に思ってしまいます。ただ、民族紛争、宗教による戦争などなど、今も世界中で争いは絶えません。「仲良く・・・」などと簡単には言えない複雑で根深い問題が、あらゆるところで戦争・紛争を起こしているのでしょう。ただ、それでもやはり私は思います。争いは次の争いを生みますし、武力による解決は次の武力による紛争を生みます。(この映画の中のフツ族とツチ族の争いなどは、まさにそうですね。)なんとか話し合いで解決できないものか?なんとか本当の意味で和解できないものか?

 世界が本当の意味で平和になるためには、お互いに相手のことを理解しあう、それしかないのだということをあらためて痛感させられる映画でした。憎しみ合っていては「人間らしい幸せ」なんか得られないのだと、あらためて思いました。

 私の評価:☆☆☆☆(5つが満点です。)

映画の話・98 「 キサラギ 」

20070329001fl00001viewrsz150x11  2007年の日本映画です

 亡くなったアイドル、如月ミキをしのんで集まった五人・・・この五人を演じておられるのが、今をときめく小栗旬、案外実力派ユースケ・サンタマリア、若手実力派小出恵介、お笑いだけじゃない塚地武雅、そして日本を代表する怪優香川照之とくれば、もうはじめから終りまで目が離せません

 はじめは単なるファンの集まりだと思っていたのが、次第にその場にいる一人一人が「如月ミキ」と深い関係のある人物だとわかってくる。その謎解きの一つ一つがとても興味深いです。「如月ミキが死んだのはなぜなんだ?」ということと相まって、「この人は何者なんだ?」という疑問が解明されていく過程は、本当に面白いです。映画が始まって一時間ほど、話に全然参加させてもらえなかった塚地武雅さんが、実はかなり「如月ミキ」と深いかかわりのある人だとわかったとき、何かしら微笑ましい気持ちになりました。そして最後、小栗旬さんも大きくかかわっていたということがわかって、より一層ホッとしました。

 アイドルの死の真相を解明すべく話は進んでいく。そのことだけを考えればサスペンスもののような感じがします。確かにそのような要素はありますが、楽しく見られました。場面場面にちりばめられた細かいギャグにも、かなり笑わされました。大磯ロングビーチって・・・。まさに昔の「アイドル水泳大会」のメッカじゃないですか。それも騎馬戦。最後の”SHOW ME”も笑ったなあ。だいたい、「いちご娘」が香川照之さんって・・・。

 正直、最後の最後、宍戸錠さんが出てきたこと、そして言った一言はいまだに意味がわからないのですが(どなたか教えてください)、それでも、それは差し引いても、とても面白い映画でした。最後に「如月ミキ」の姿が見られて、よかった。すっきりしました

 私の評価:☆☆☆☆(5つが満点です。)

映画の話・97 「 虹の女神 Rainbow song 」

20060921002fl00002viewrsz150x11  2006年の日本映画です。(以下、ネタばれあり。)

 今をときめく若手人気俳優さんがたくさん出ておられる割には、一般的にはあまり知られていないのではないでしょうか。でも、一部映画好きの間では以前から評価が高かったので、かなり期待して観ました。しかし、正直に言うと、観始めから途中までは淡々と話が進み、自分の中では「なかなか盛り上がらないなあ」と感じていたのです。
 でも、ラスト近く、あおいの部屋で智也が手紙を読むあたりから急に盛り上がってきて、観終わったあとも、この映画を引きずったままでいます・・・。今でも、智也にアメリカ行きを止めてもらえなかったあおいの、伏し目がちな切ないまなざしが目に焼き付いています。(会社の屋上で「好きな人がそばに居ろって言ったら、アメリカ行きやめるかもしれない」といったあおいに対して、「日本にいろよ」と智也が言った、あのシーンです。)

 本当に切ない・・・切ない映画でした。実際、ラスト近くの、あおいの部屋で見つけたあの手紙は、ほんとうに反則でした。伝えたくて伝えきれなくて、そして二度と自分では伝えることのできなくなってしまったあおいの想いが、画面のこちら側まであふれてきて本当にグッときました(泣)。

 はじめから最後まで抑えたトーンで淡々と描いていくという手法が、二人の想いが通わないその「切なさ」をよく表現していました。水たまりに映った虹、そしてそれを見つめる二人の姿・・・。(映画の中の)映画の中でしか、そして水たまりの中だけでしか素直になれなかった二人を象徴しているかのようでした。

 上野樹里さんはさすがに上野樹里さんであり、市原隼人君はさすがに市原隼人君でした。この二人でないとこの映画の雰囲気はでないとさえ思うほどでした。それと、あと、蒼井優ちゃん。二人を見つめるまなざしがとっても優しく、ストーリー・テラー的な役割を見事にになっていました。「見守る」と言っても「目が見えない」役どころではありましたが。

 派手さはありません。でも、いつの間にか沁み入って来て、心をとらえて離さない、そんな映画でした。

 私の評価:☆☆☆☆(5つが満点です。)

映画の話・96 「 地下鉄に乗って 」

20060822001fl00001viewrsz150x11  2006年の日本映画です。

 昭和39年の東京にタイムスリップする・・・という謳い文句に、ここ何年か流行っている、よくある「昭和を懐かしむ映画」の一つかなあと思って見始めました。けれどそうではなく、いわば父と子の対立と和解の物語でした。

 私はそれなりに楽しめましたよ。それは、大沢たかおさんと堤真一さんという、私の大好きな役者さんが共演しそれぞれ熱演されておられたから、ということもありますが、お話のテーマも結構グッときました。「自分は望まれて生まれてきたのか?誰にも愛されていないのではないか?」このような疑問を抱くことは誰にでも一度や二度はあるのではないかと思います。そして、その疑問を抱く機会が多ければ多いほど、その人の人生は不幸だと言えるのではないかと思います。大沢たかおさん演ずる長谷部の兄弟もそういう疑問を抱くことの多い兄弟でした。そしてその思いから父に反発し、父の望む生き方からわざと外れていきます。しかし、タイムスリップすることにより若き日の父と話し、自分たちが生まれた頃の父の姿を見ることによって父の気持ちを理解し、わだかまりは消えていきます。やはり「望まれて生まれてくる」ことが幸せであり、「自分を愛してくれる人がいること」こそが幸せなのだと、この映画は感じさせてくれます

 父と子の葛藤が縦糸だとすれば、みち子の生き方が横糸として描かれていました。みち子も物心ついたころから「私は望まれて生まれてきたのか?」という疑問を抱き続けてきたのでしょうね。そして常盤貴子さん演ずる若き日の母と出会って、ようやく「幸せ」な気持ちになれたのでしょう。ただ、そのあとの行動はちょっと哀しすぎますが。でも、ラスト近く、現代に戻った長谷部の背広のポケットからみち子の指輪が出てきたのには、切なくなりました。「忘れられる」ことは本当につらいことだと思います。たったひとつの指輪に「自分の存在の証」を託しその決断をしたみち子の気持ちに、切なくなってしまいました

 もちろん、突っ込みどころはたくさんありました。どうやってタイムスリップしてるの?等々・・・。そのあたりをきちんと納得できるように撮ってもらえれば、もっと評価は高かったのでしょうね。映画としてはもっともっと緻密に、熟成させて撮ってもらいたかったとは思いますが、まあ私はそれなりに楽しめました

 私の評価:☆☆☆(5つが満点です。)

映画の話・95 「 真珠の耳飾りの少女 」

20040315003fl00003viewrsz150x11  2003年のイギリス映画です。以前から様々な場面でいろいろな方から薦められとても気になっていましたこの映画を、ようやく観ることができました

 一つひとつの場面がこんなに美しい映画は初めて観ました。すべての画面、その1シーン1シーンが陰影に溢れ色彩が際だち、本当に一枚の絵のようでした

 特に直接的にエロチックな場面は無いのですが(一カ所だけ、肉屋のお兄さん=彼氏とそういう行為に及ぶ場面はありましたが、それも服を着てましたしね・笑)、見方を変えればすべてがとってもエロチックでした。なんといっても「真珠の耳飾りの少女」のモデル、グリートを演じるスカーレット・ヨハンソン。彼女が時折漂わせる息詰まるような雰囲気は、エロチックそのものでした(細かいシーンですが、私は特にグリートがピアスの穴をあけるシーンにエロスを感じました)。おたがいに惹かれながらもぎりぎりのところで踏みとどまるグリート、そしてフェルメール。そのおたがいの「心のひだ」のようなものが画面から溢れており、こちらまでその雰囲気に圧倒されてしまいました。そのような雰囲気のなかで、秘めたるお互いの(特にフェルメールの)思いが込められているからこそ、あの絵も名画足り得たのでしょう。

 美しい、本当に一枚の絵のような美しい映画でした。

 追伸:私、この映画を観るまで、この映画そしてあの絵のタイトルを「真珠の首飾りの少女」だと思っていました(恥)。「耳飾り」が一つのキーになっていて、「首飾りでは、だめだなあ」と一人で納得してしまいました。

 私の評価:☆☆☆☆(5つが満点です。)

映画の話・94 「 マタンゴ 」

4_4632511  1963年の日本映画です。1963年といったら、かろうじて私が生まれる前じゃないですか~

 私も筋肉少女帯(ロックバンドです♪)の初期の名作「マタンゴ」を聴いて、この映画を観た口です。最初に見たのはその曲が発表された、今から20年ほど前でしょうか。で、それ以来、大槻ケンジさん(先ほどのバンドのVoさんです)の「マタンゴというキノコは、人に寄生いたします・・・」という語り(決して歌ではありません・笑)が耳を離れなくて、久しぶりに再度観てみました。
 
 う~ん、やっぱり面白い。20年ほど前に見たときは、その気味の悪さばかりに目が行っておりましたが、再度こうやって観てみると、危機に遭遇した時の人間のエゴイズム等々、きちんと「人間の本性」のようなものを描いているのだなあと感心しました。さまざまな誘惑に打ち勝つことができず、一人・またひとりと食べてはいけないはずのキノコに手を出す。そしてキノコ人間に・・・。でもねえ、「誘惑に負けた人は悪者」のようなイメージがありますが、キノコしか食べるものがなければ、それも責められるものではないように思います。そして、実際にその世界でしか生きられないのであれば、キノコ人間になってしまうというのも一つの手のような気もしますけどね・・・。まあ、極論ですが。(でも私は嫌です。そうなってしまう前に、何とかして沖へ出ただろうなあ。島に生えてる木で筏でも作って。)

 ただひとりキノコを食べず、帰還した主人公までが結局キノコ人間になってしまうという結末は、かなり皮肉なものでありました(食べずとも、胞子が体の中に入っちゃったのね、きっと・・・って、そんなに理屈っぽく考えない方がいいのでしょうか・笑)。それにそのラスト、主人公が言った言葉に、高度成長期の日本に対する批判が込められています。当時の人々が「今の日本、こうでいいのか?」と疑問を持っていたということもうかがわれて、興味深かったです。(このようなテーマは、のちにウルトラQやウルトラマン・ウルトラセブンに受け継がれていくことになります。)
 
 遭難し漂着した無人島で、一人またひとりと常軌を失っていく、いわば密室サスペンス。映像的には安っぽいところもありましたが、それも御愛嬌。むしろ時代の空気が感じられて面白かったです。ジャパニーズ・ホラーが世界中に影響を与えている昨今、その元祖ともいうべき、このような作品を観直してみるのも、また面白いのではないでしょうか。「温故知新」ですね

 私の評価:☆☆☆(5つが満点です。)

映画の話・93 「あの頃 ペニーレインと」

4_5990811  2000年のアメリカ映画です。

 私たち80年代ロック世代にとっては、とっても懐かしくとっても切ない気持ちになります。いろんな方が書かれているように、そして映画の宣伝文句にもなっているように、甘く切ない青春ロック映画ということで、間違いありません。実名で当時のロックバンドの名前がバンバン出てくるのも、うれしいやらなつかしいやら

 ただ、ここでよくあることを書いても面白くありませんので、ここは当時のロック好きのマニアックな目で観た感想を・・・。まず、映画が始まって一曲目、サイモン&ガーファンクルの、それも”アメリカ”が流れてきたのにはおそれいりました。(あまり知られていない曲ですが、私、この曲大好きなのです。)でも確かに、姉が家を出ていくそのエピソードとその歌詞がマッチしていて、お見事でした

 今も触れましたS&Gの”アメリカ”しかり、そしてZeppelinの”ミスティ・マウンテン・ホップ””レインソング”しかり、有名グループのちょっとマイナーな曲を使っているところが、これまたマニアの心をくすぐる演出として、心憎く感じました

 また、グループの中でのメンバー同士の仲たがい、ツアーの中での様々なトラブル・・・現実にもきっとあるんだろうなと、当時のグループの脱退・解散劇を思い浮かべながら観ておりました。当時の人気グループの脱退・解散の原因は、そのほとんどが「誰かと誰かがケンカした・・・」ということだと噂が伝わってきておりましたし。

 とにかく、ロック好き、特に80年代のロック好きにはたまらない映画です。古くさい言い回しですが、「青春がよみがえる(笑)」といった感じです。私もこの映画を観て、Zeppの「天国への階段」やD・Purpleの「ハイウェイ・スター」をギターで弾きたくなりました(笑)。

 私の評価:☆☆☆(5つが満点です。)

映画の話・92 「バンジージャンプする」

20050203002fl00002viewrsz150x11  2001年の韓国映画です。

 大学時代。運命的な出会いにより情熱的に二人は愛し合う。男はささやく、「生まれ変わっても必ず探し出して、ずっと愛する」と。女は「そんなことは無理。愛した人を私だと思うだけでしょ」と受け流すが、男は「そんなことはない。必ず君を見つけ出す。」と誓う。そして時は過ぎ、女は事故で命を失う。
 しかし男は彼女の生まれ変わりを探し続ける。そして見つける。周囲に批判を受けながら、白い目で見られながら、自分の家庭の崩壊も厭わず、彼は(約束通り)生まれ変わった彼女(!)を見つけ出し、愛し続ける。

 ここまでストーリーを追えば、なかなかの恋愛・純愛映画という感じなのですが、この映画がほかの映画と違うのは、その彼女は「男の子」に生まれ変わってしまったというところです

 う~ん・・・。この映画、いい映画だと思うんですよ。イ・ビョンホンはとってもいい演技をされてましたし、イ・ウンジュも魅力的でした。複雑に絡み合った構成もなかなか良かったですし、映像も(特に山でのそれや、エンディング)きれいでした。平均以上の映画だと思います。
 ・・・頭ではそう理解できます。でも、正直、生理的に受け入れられませんでした。たとえば、人間でも「あの人、いい人だとわかってるんだけど、その顔が生理的にムリ・・・」などということがありますよね?そんな感じです。映画としては・お話としては、よくありそうなテーマをひと捻りしてあってよかったと思うのですが、私にとっては「生理的に合わない!」そういう映画でした。すみません

 私の評価:☆☆(5つが満点です。)

映画の話・91 「赤い文化住宅の初子」

20070418008fl00008viewrsz150x1_21  2007年の日本映画です。

 「文化住宅」っていう言い方がなかなかです。(「文化住宅」とは昔風のアパートのことです。)

 親もなく、兄と二人で暮らす初子。まずしさのために高校進学を断念せざるを得なくなる。周囲の人たちは、たとえば物語の初めから中盤まで、唯一「いい人」を思わせるようなキャラで出てきた浅田美代子さんが、実は胡散臭い新興宗教の勧誘のために近付いて来た人だったり、親族以外の頼れる他人として物語によく登場する「学校の先生」がとんでもない人だったり・・・。(でも、先生役の坂井真紀さん、腹が立つほどの熱演でした・笑。)

 う~ん、どうなんだろ?こんなに悲惨な状況に置かれている初子、私も含めた周囲から見れば、彼女には夢も希望もないように見えるけれど、彼女自身は希望を失っていない。私なら自暴自棄になってしまうような状況でも、彼女はなんとか上を向いて生きようとする・・・。その彼女の明るさというか前向きさが、一見夢も希望もないようなこの作品に「明るさ」を与えている
 人生、もちろんこれからもいろんなことがあるだろうけど、こんな初子なら、これから起こる様々なことにも打ち勝っていって、最後には幸せを手にしてくれるんじゃないかと思わせてくれる。悲惨なこのお話を最後まで観終わって、それでも後味が悪くならないのは、初子のこの前向きさが今後の彼女の人生の「幸せ」を予感させるからだろう。

 大杉漣さんはさすが。塩谷瞬さんも好演していた。けれど、主演の東亜優さん、まさにはまり役であった。初子はまさに彼女自身のような気がして、彼女の今後の幸せを祈らないではいられなかった。

 ラストシーン「大人になったら結婚しような・・・」。大人になってしまった私たちから見れば、それがほとんど不可能なことはわかっている。いつの日かビスケットを食べるたびに、この二人はそれぞれの人生においてそれぞれの場所で、この日のことを甘酸っぱい気持ちとともに思い出すんだろうなあ

 私の評価:☆☆☆(5つが満点です。)

映画の話・90 「 雨月物語 」

4_6745011  1953年の日本映画です。1953年って・・・昭和28年?

 私、実は大学時代にこの「雨月物語」を研究しておりまして、当然卒業論文も「雨月物語」に関してのものでした。

 江戸時代に上田秋成によって書かれた「雨月物語」、一般的には「怪異物語」という風に分類されております。妖怪やお化けが出てくる物語・・・といった感じでしょうか。けれど、少しきちんと読まれると、その分類はちょっと違うということがわかります。確かに妖怪・物の怪は登場します。けれど秋成はそのような「もののけ」をつかって「
怖がらせてやろう」という趣旨でこの作品を書いたのではありません。秋成は人間というものの「本性」を描きたかったのです。そのために「物の怪」を登場させているだけなのです。「もののけ」によって「人間」を描いているのです。

 このことは、この映画をご覧になられた方にはよくわかると思います。この話の中心となって登場する二組の夫婦、宮木と源十郎・阿濱と藤兵衛、四人それぞれに「人間の本性」というものをよくあらわしています。男の愚かさ、女の恐ろしさ・したたかさ・(しかし)一途さ、等々・・・。誇大な表現でもなく言葉足らずでもなく、本当に適度な表現により、溝口監督は上田秋成(しつこいようですが、原作者です)の思いを表現しています。

 この映画は、「雨月物語」の中から「蛇性の淫」「浅茅が宿」の二作品を原作にしています。正直に言うと、結末等原作とは少し変えてあるところもあるのですが、それでも原作の持ち味を少しも損なわず映画化されてあります。これは溝口監督の力量もあるでしょうが、脚本の川口松太郎さんらの力量もあるのでしょうね。上記の二作品を無理・矛盾なく混ぜ合わせ、そして結末まで一気に見せる。おみごとでした。

 ストーリーの話ばかりしてしまいましたが、映像等も素晴らしかったです。特に湖のシーンは幻想的でした。

 上田秋成が描こうとした「人間」というもの。それを溝口健二さんが映像によってよりいっそう深く描いた・・・。この映画を観て、そんなふうに思いました。

 私の評価:☆☆☆☆☆(5つが満点、つまり満点です。)

 

映画の話・89 「 顔 」

4_7158011  2000年の日本映画です。

 「阪本カラー」ともいうべき暗いトーンが、いかにも阪本順治監督らしいです。フィクションなのですが、ノンフィクションを感じさせるような雰囲気も、そのトーンに由来するところ大のような気がします

 この映画、まずは藤山直美さんの熱演に拍手です。結構豪華キャストなのですが、ほかの方の出演を忘れてしまうほどです。この映画の中では本当に「吉村正子」以外の何者でもありませんでした。ものすごい存在感でした。(途中二度ほど出てきた「身体が、暑いねん・・・」っていう場面、本当に匂い立つほどでした・・・。まあ、私はそんなことを言われても困ってしまいますが・苦笑。)

 で、お話。殺人事件を起こして逃亡する中、さまざまな人との出会いの中で、次第に自分を取り戻していく。自分自身も生きるのが辛い人生であったでしょうが、みんな辛いなか頑張って生きているんだと気づく。そして、いままでしたくてもできなかったことを(今更ながらではありますが)取り返していく。「お父ちゃんが、自転車乗れんかったら乗れんでええ、泳げんかったら泳げんでもええって言うたんや。・・・でもほんとは私、できることなら乗りたかった、泳ぎたかった・・・。」というセリフは胸に詰まりました。そして、少しずつ努力して自転車に乗れるようになり、泳げるようになる姿も。もっと早く自分の可能性に気がつき、積極的になることができていたら、こんな事件を起こさずにすんだであろうし、また違った人生を歩むことができたんでしょうけどね

 けれど、人を殺した罪からはどこまで行っても逃げ切れるものではない。どこまで行っても正子に安息の場所はない。TVで自分のことが取り上げられていると知り逃げる正子の姿を、カーブミラーがいつまでも移し続けているという映像は、非常に象徴的でありましいた。
 ラストに向かって、このままいけば最後は正子の死で物語が終わるのでは・・・とい嫌な予感も頭をかすめたのですが、そうではなく、安心しました。ラストシーンは、非常にいい終わり方だったと思います

 先ほども書きましたが、いろんな方が出ておられます。熱演されておられます。でも、やっぱり藤山直美さん。彼女の熱演に尽きます。本物の女優さんとはこういうものなのだということを、じゅうぶんにわからせてもらいました

 私の評価:☆☆☆(5つが満点です。)

映画の話・88 「 京義線 」

9820_l11  「キョンイ線」と読みます。2007年の韓国映画です。

 京義線とは韓国から北朝鮮へ続く列車の路線です。心に埋めきれない部分を持つ、地下鉄運転士のマンス(キム・カンウ)と大学講師のハンナ(ソン・テヨン)。二人は最果ての駅イムジンガン駅で偶然に出会う。お互いのことを不審に思い、探り合いながらも次第に心を開いていく二人。そして話は一年後へ。

 う~ん、作品の雰囲気は悪くないし、結末のもって来かたもまあそれなりなんですけど、作品全体としては今ひとつかな。その大きな理由は、特に後半急ぎすぎたからでしょうか。イムジンガン駅で二人が出会ってから、ホテルの部屋で心を開きそしてラストまで、もっと丁寧に描くことができればこの作品はもっと味わいの深いものになっただろうと思います。そのあたりのお話を20分ほどでやってしまうのは、ちょっと無理があるように思いました。

 主演のお二人の雰囲気も良かったですし(特にこの映画の中のソン・テヨンは、私にとってはストライ~クです・笑)、雪の降るイムジンガン駅の風情は演歌の世界のようで(「津軽海峡冬景色」や、マニアックなところで言うと風の「北国列車」のようでした♪。ふっる~・汗)日本人好みの映像でした。お話も悪くなかったので、もう少し全体的な展開を考えて丁寧に作れば、きっといい映画になったのにと、少々残念な気持ちです。

 5点満点の3点かなあ。ほんとに、作り方によれば5点満点にもなる映画だったと思うのですけれど。残念。

 私の評価:☆☆☆(5つが満点です。)

映画の話・87 「 イルマーレ 」

4_4276011  2001年の韓国映画です。のちにハリウッドでもリメイクされたので、ご存じの方も多いですよね。でも、私はリメイク版の方は観ておりませんが。

 「猟奇的な彼女」でブレイクし、現在も韓国で一番人気のある若手女優であるチョン・ジヒョンさん主演です。彼女は「アクション女優」というか、元気のいい役どころが「猟奇的な彼女」以来多いように思いますが、この映画ではしっとりとした演技を見せております。意外な感じがしますが、それはそれでとっても合っておりますよ

 映画としても賛否両論あるようですが、私にとってはかなりいい映画でした。実は数年前に観て、感動のあまりレビューをどう書いていいか迷うくらいに(笑)。で、最近もう一度観たので、再度レビューを書くことに挑戦しようというわけです。

 チョン・ジヒョンとイ・ジョンジェ、それぞれの心に埋め難いすき間があって、そういう隙間がある者同士、時空を超えて惹かれあう。けれどそこには二年の隔たりがあって、その隔たりの分、しっくりとはいかない。けれど、そのもどかしさが観ている者にとってはまた、心地よい。そしてハッピーエンドも含めたストーリーも私は結構気に入っています。「猟奇的(笑)」なチョン・ジヒョンの抑えた演技も、なかなか切なくていいです。

 
 けれど、私がこの映画のどこが一番好きかというと、やっぱり全体的な「雰囲気」なのだと思います。あの「イル・マーレ」が建っている湖の雰囲気、その雰囲気が結局はこの映画のすべてを象徴しているように思います。水辺の独特の雰囲気が、時空を超えた愛の存在を肯定しているように感じるのです

 実際には突っ込みどころの多い映画なのかもしれません。面白くないとおっしゃる方が多くいらっしゃるのも、わからないではありません。ただ私には、あの「雰囲気」が非常に心地よかったのです。あの「雰囲気」が、いつの間にか心に入り込んできて、私を虜にしてしまったということなのでしょう。

 韓国映画の中でも、かなり気に入っている作品です。

 私の評価:☆☆☆☆(5つが満点です。)

映画の話・86 「 リトル・ダンサー 」

4_6784111  2000年のイギリス映画です。以前からお友達のケルビムさんに薦めてもらっていたのですが、最近ようやく観ることができました。噂にたがわず、いい映画でした。薦めていただいてありがとうございました。

 いや~、純粋に夢に向かって若者が頑張る姿を描いた映画は、やっぱりいいですよね~。いや、年齢を重ねた方が頑張る姿も、それはそれでいいのですけど。この映画、日本で封切られたころは、それほど話題になりませんでしたよね。CMをしていたのは覚えていますけれど。派手さもなく、日本ではあまり「うける」タイプの映画ではないのかも知れませんが、なかなかいい映画です。家族一人ひとりを丁寧に描き、その一人ひとりの思いが観ているものの心に入り込んできます。

 舞台はイギリス北部の炭坑町。お父さんの勧めでボクシングを習う少年(ビリー)は、同じ体育館で教室を開く「バレエ」に魅力を感じはじめ、やがて家族に内緒で習い始めます。「男は男らしく・・・」といった気風が根強く残るその町で、少年はそのことを家族に打ち明けられず、習っていることがばれてしまった後もその気持ちはなかなか理解されません。
 そのような状況のなかで、少年の気持ちを支え続けたもの・・・。バレエ教室の先生にももちろん勇気はもらいましたが、なによりも少年を支えたのは、亡くなったお母さんの愛情だったのではないかと思います。その愛情に支えられ、少年はバレエに対する思いを持ち続けます。そしてその思いはやがて、お父さんの気持ちをも変えていきます。少年の夢をかなえるために、つまり少年がバレエ学校に通う費用を稼ぐために、自分のポリシー・プライドを捨ててスト破りをし、炭鉱へ向かうシーンには感動しました。引き留める長男に向かって、「あの子はまだ11歳なんだ。その夢をかなえてやりたい」というシーンには、本当にグッときました(泣)。
 その後、ロイヤルバレエ団のオーディションに合格し、数年後、中心的なダンサー(という呼び方でいいんでしょうか?)として舞台に立つビリー、そしてそれを見つめるお父さんとお兄さん(と、友達)。もっと舞台のシーンを見ていたいとは思いましたが、それでも、いいラストシーンでした。

 80年代ロック好きの私としては、映画の中で流れる音楽にもグッときましたよ。「ゲット・イット・オン」なんかもよかったですし、CRUSHの「ロンドン・コーリング」なんかはその場面(映像)と曲がばっちり合っていて、感動モノでした

 私の評価:☆☆☆☆(5つが満点です。)

映画の話・85 「犬神家の一族(1976年版)」

4_7671211  リメイク版の方を先に観て「なかなかいいなあ」と思っていたら、「1976年版の方が断然いい!!」と言う声が多いということを知りましたので、早速観てみました。以下、ネタばれありです

 う~ん、確かにこの1976年版、素晴らしいです。映画の中の時代と作られた時期がまだ(2006年版と比べて)近かったためか、その時代の雰囲気がよく表れていました。それにこちらの方がリメイク版により20分ほど長いのですが、その分だけ説明が丁寧で、細かいところまでよく描写されていました。重厚な雰囲気・細かい描写という点において、こちらの方が上だと感じました。それでも、ほかの方がいろいろなところでおっしゃっているほどは、リメイク版もそんなに悪くはなかったように感じましたが

 原盤・リメイク版ともに豪華な出演陣が素晴らしい演技を繰り広げておられます。出演されておられる方お一人おひとりが、ご自分の味のある演技をされています。
 ただ、この映画のすべてを象徴しているのは、スケキヨでしょう。「佐清」ではなく「スケキヨ」。あのゴムマスクをつけたスケキヨの不気味さ・・・。復讐のために人生のすべてを捧げたシズマ=スケキヨの「鬱々とした暗さ」が、あのマスクに象徴されています。そしてその「不気味な雰囲気」が、作品全体の雰囲気にを決定づけているように思います。そして、マスクだけではなく、たとえば自分の正体を語る場面でのあの抑えた声も、スケキヨの雰囲気により一層の不気味さを加えています。

 ストーリー、キャスティング、音楽、カット割り・・・どれをとっても素晴らしいの一言です。この映画にかかわったすべての人がご自分の仕事を最大限にされて、そしてそれらの集大成としてこの素晴らしい映画ができた・・・そんな映画だと思います。作成に係わられた方々も幸せだったと思いますが、その作品を観ることができた私も幸せでした。

 点数は、本当は満点はあまり出したくありませんので4・5点としたいところですが、変な意地を張っても仕方ありませんので、5点満点とさせていただきます。おみごと

 私の評価:☆☆☆☆☆(満点です。)

映画の話・84 「犬神家の一族(2006年版)」

20060928012fl00012viewrsz150x11_2  2006年の日本映画です。

 ジャパニーズ・ホラー(なんていうと、ちょっと軽い感じになってしまいますね・・・)の古典的傑作、「犬神家の一族」を、ようやく観ることができました。これまでに横溝正史さん原作の、このシリーズの他の作品は観たことがあったのですが、その原点ともいうべき本作品は観たことがなかったのです。
 う~ん、オープニングからテーマ曲も緊張感があるし、バックに流れる画面(役者さんの名前等が紹介されるヤツです)もこれまた緊張感があっていい。いやがおうにも、期待が高まります。

 陰影を含んだ重厚な映像・旧家の荘厳な雰囲気の中、俳優陣のこれまた重厚な演技。まさに豪華キャストでした(松嶋菜々子さん、きれいでした。さすが。)が、特に富司純子さんの熱演は圧巻でした。ストーリーも、最後に「あの人はこの人だったのか~(わけがわかりませんね、すみません。ネタばれしないように書きました(汗)。)」と膝を打つところもあり、作品全体の雰囲気とあわせて十分に楽しむことができました。

 う~ん、素晴らしい。・・・と納得してインターネットでこの作品のレビュー、そして前作・1976年版のレビューをいろいろと検索したら・・・。え~っっ。この出来で「ちゃち」なの?前作1976版の方が断然いいの?これは前作を見てみなければ!!

 前作はまだ観ていないのですが、とりあえずこの作品だけを純粋に評価して、5点満点の4点にしておきます。前作がもっと良ければ5点満点にするために(笑)。

 前作を観て、またレビュー書かせていただきます。あまり期待して、期待はずれにならなければいいのですけど。高まる期待を抑えて、前作を観てみたいと思います(笑)。

 私の評価:☆☆☆☆(5つが満点です。)

映画の話・83 「 愛してよ 」

4_3366311  2005年の日本映画です。

  この映画、柳楽優弥くん主演の「誰も知らない」と同じ匂いがしました。ただ、決定的に違うのは、「誰も知らない」の方のYOUさん演ずる母親には子どもに対する愛情がなかったのに比べ、こちらの西田尚美さん演ずる母親には、その根底にしっかりと子どもに対する愛情があったという点でしょう。ラストが「誰も知らない」のような救いのないものにならずにホッとしました。

 母親も一人の「女性」ですから、シングルマザーであれば特に恋もしたいでしょうし自分の生活も楽しみたいでしょう。その気持ちは分かるような気がしますが、でもやはり、母親となった限りは「女性」であることよりも「母親」であることを優先させてほしいと、この映画を見ていて思いました。自分がこの世にその生命を誕生させたのですから、「女性」であるより「母親」であるべき責任があるんじゃないかと思います。まあ、うまく両立させられれば一番いいのでしょうが。子供、特にまだそんなに大きくない子どもにとっては、母親の愛情は何物にも代えがたいものなんだと思います。きっと、母親が思っている以上に。

 子役さん達、がんばっておられました。でも私は、やっぱり西田尚美さんかな。普段はわき役としていい味を出しておられますが、この映画では久々の主演でした。どこにでもいそうな、ちょっときれいなお母さんって感じが、よかったです。

 最後に余談ですが、オープニングの「人生はくじ引きの連続で、あたりの日もあればはずれの日もある」っていうのは、確かにそうだなあなんて思ってしまいました。

 私の評価:☆☆☆(5つが満点です。)

映画の話・82 「 ローレライ 」

20050109006fl00006viewrsz150x11  2005年の日本映画です。

 純粋に空想の世界の出来事として観れば、この映画は結構おもしろかったです。潜水艦にいままで考えもしなかった兵器(=超能力者)を載せ、それを中心に話が展開する。ストーリーも斬新といえば斬新で、結構わくわくしながら観ました。それに、役者さんたちが豪華で、その演技は安心してみることができました。ストーリーがあやしくなってくると役所広司さんが出てきて、その演技にごまかされてる感も、ないではありませんでしたが(汗)。それに、「ローレライ」役の香椎由宇さんも、クールな感じがこの役にピッタリでしたね。

 ただ、このあたりからダメ出しをさせていただきますが、まず先ほども書きましたように、どこかのもしくは近未来の物語として描くのならばよかったのですが、実際にあった第二次世界大戦の終了間際という設定はどうかと思いました。話にリアリティーを出すためにそういう設定になっているのでしょうが、現実と比較して「そんなことはないだろ~」と、どうしても思ってしまいました。
 それと、「日本・東京に三発目の原爆を投下させるのを阻止する」とのことですが、実際に原爆を投下された広島・長崎のことを思うと、「東京に三発目が落ちなくてよかった。ばんばんざ~い!」とはどうしても思えません
 
 戦争の悲惨さを伝えるには、もっと違う方法(撮り方?)があったとは思います。それから、潜水艦を舞台にするとそうしても名作「U・ボート」と比較してしまいますし、それだけでどうしても評価的には不利になります。あれだけの閉塞感はなかなか表現できないからです。

 ただ、そのあたりを割り引いても、まあ、娯楽映画としてはまあまあよかあったかな、といった感じです。ただ、実際にあった戦争を題材にして、そして原爆のことを(曲がりなりにも)扱って、それで「娯楽映画として観ると・・・」というのは、とっても気がひけますが。

 評価は5点満点で4にしたいとも思いますし、2にしたいとも思いますので、中を取って「3」とさせていただきます。

 私の評価:☆☆☆(5つが満点です。)

映画の話・81 「渋谷区円山町」

20070301007fl00007viewrsz150x11_2  2006年の日本映画です。

 女子高生を主人公にした前後二編のオムニバス映画です。先日からのEXILEつながりで、最初の作品にはEXILEのMAKIDAIこと眞木大輔さんが出ておられます

 前編は男性教師にあこがれる女子高生のお話。昔からよくあるテーマを今の視点で切り取るとこんなふうになるのかと感じました。主演の榮倉奈々さんも眞木大輔さんもなかなかいい演技をしておられただけに、脚本がもう一歩突っ込んでくれたらよかったのに・・・と、ちょっと残念にも思いました

 後編はいじめられていると認識したくない主人公に仲里依紗さん(彼女は以前から私のお気に入りです。アニメ映画「時をかける少女」そしてそれ以前の日東電工のラグビーのCMの頃から、気に入っておりました。最近ようやく少しは知られるようになってきましたね。)、その様子を歯がゆい思いで見守るクラスメイトに原裕美子さんというキャスティングで、お二人の持ち味がしっかりと生かされていました。ただ、これももっと深められるお話だと思ったので、映画の出来としては少し残念、かな。

 雰囲気は悪くないのです。出演されている方々はみなしっかりと持ち味を出しておられますし、好演されてます。ただ、前後編どちらも中途半端になってしまったという感は、否めませんでした。それぞれで一本ずつ撮られた方がよかったのかな、おしいな・・・というのが、結局のところの感想です。それぞれの出演者のファンの方は、どうぞ。

 私の評価:☆☆(5つが満点です。)

2009年10月 4日 (日)

映画の話・80 「ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ」

4_601241  2001年のアメリカ映画です。 

 この作品、以前からかなり気になっていました。ただし、この作品が映画になっているということは、最近まで知らなかったのですけど(汗)。オフブロードウェーで人気を博し、日本でも三上博史さんや山本耕史さんによって演じられている人気作の上演広告を新聞紙上で見かけることが多かったので、ずっと気になっていたのです
 
 映画は、私の好きなタイプの音楽満載・ミュージカルの匂いぷんぷんで(当たり前ですが)、かなり楽しめました。ただ、ストーリーは結構切なかったですけど

 男性として生まれながらも人生の途上で自分の中の女性にめざめ、以後、男性でもなく女性でもない存在として、真実の愛を探しながら生きていくヘドウィグ。姿は女性でも、本物の女性ではない悲しさが、全編に溢れていました。でも、男性とか女性とかいうことは超越して、ヘドウィグはヘドウィグで、それ以外の何者でもないのですけどね
 最近ではこういう「男性でも女性でもない」というタイプの人々が少しずつ市民権を得てきているように思いますが、それでも実際のところはまだまだ差別や偏見・好奇の目にさらされながら生きなければならないことが多いように思います。ヘドウィグはそれらに対して堂々と渡り合い、それらを笑い飛ばしながら歌っている・・・。その姿が小気味よくもあり、また切なくもありました。

 ちょっと斜に構えユーモアも交えながら、その人生を歌に込め心情を吐露するヘドウィグ。その姿に、ちょっと三輪明宏さんがかぶりました。余談になりますが、今から数十年前、ゲイだと噂されたある俳優さんが自殺され、その告別式で三輪さんが弔辞を読まれた時のこと。その内容・姿はまるで(告別式の話で少し不謹慎かもしれませんが)ひとつのミュージカルを観ているようで、妙に感動したのをおぼえています。今回この映画を観て、その時のことを思い出しました

 この手の映画は、人によって好き嫌いが大いに分かれる映画だと思いますが、私は好きです

 私の評価:☆☆☆(5つが満点です。)

映画の話・79 「風花 KAZA HANA 」

4_7228011  2000年の日本映画です。キョンキョン主演ですよ

 全編、とても寂しい映画でした。それは映像のせいでしょうか。北海道が舞台ということですが、雄大な景色もなく、美しい自然もない。印象に残ったのは夜明け前の静寂・・・。この雰囲気が全編を貫いていたように思います。

 浅野忠信さんもさすがでしたが、なんといっても小泉今日子。以前インタビューで、「この映画に出て今後も役者としてやっていく自信がついた」といってましたが、本当にいい役者さんになったと思います。悲しい過去・複雑な事情を抱えながら生きていく女性を好演しておられました。演技・せりふ云々ではなく、この映画の中ではそういう女性のオーラが出ていました(笑)。

 現実に絶望した女が、ふっと死を決意する。そして、死をほのめかしていた男が、なんとか救おうとする・・・。死の淵からの再生。死ぬことができなかった女(キョンキョン)が目を覚まして、男を抱きしめるシーンは印象的でした。
 男は彼女を助けるとともに、自分自身をも助けたのでしょうね。そして新しい人生へ。

 人間生きていたらいろんなことがあり、死んでしまいたくなることもあるのでしょうが、やっぱり生きていたらなんとかなる、生きていかなくてはならない・・・。生きることの寂しさを漂わせながらも、そんなことを感じさせてくれる映画でした。

 私の評価:☆☆☆(5つが満点です。)

映画の話・78 「 オペラ座の怪人 」

20041124002fl00002viewrsz150x11  2004年のアメリカ映画です。

 「四季の会(劇団四季ファンクラブ)」会員でもある私は、ミュージカルの方を先に見てあとから映画を観ました。話はどちらもほとんど同じ。
 映画の中の方々も吹き替えなしということでよく頑張っておられたと思いますが、歌の迫力はやはりミュージカルの方が一枚上でした。だって「生」には勝てないでしょう?でも、映画には字幕があったので歌詞の意味もよくわかり、全体的にもストーリーがよくわかるように作られていました。
 ただ、ファントムについて、四季ミュージカルの方ではまさに「もののけ」「幻」といった、ファンタジックな感じで描かれているのに対して、映画の方では非常に人間的に描かれていました。悲しい生い立ちの中で心に傷を負ってしまった悲しい人間・・・といった感じで。

 そのような描かれ方がされていたため、映画を見ているうちにだんだんと、ファントムがただのストーカーのように見えてきたのは私だけでしょうか?・・・ただ、ストーカー・ファントムが悪いわけではなく、気がありそうなそぶりをするクリスティーヌの方に問題があるようには思いましたが。魅力的ではありますけど、いるなあ、こんな女・・・なんて思いながら、最後は観ていました。

 ミュージカル好きの私には歌もダンスも素晴らしかった(特に中盤、マスカレードのあたり)ですが、結局ファントムの悲しさばかりが心に残る映画でありました。

 私の評価:☆☆☆☆(5つが満点です。)

映画の話・77 「名探偵コナン 紺碧の棺(ジョリー・ロジャー)」

20070219008fl00008viewrsz150x11  2007年の日本映画・・・というかご存じ「名探偵コナン」シリーズ第11弾です。

 名作といわれる映画には、印象に残るセリフや印象に残るシーンがあるものです。このコナンシリーズでも、たとえば「時計じかけの摩天楼」の最後の「赤い糸」に関しての蘭のセリフや、「世紀末の魔術師」の、ロマノフ王朝の”エッグ”から光が放たれるシーン、「天国へのカウントダウン」のビルからビルへと飛び移るシーンはその代表的なものといえます。ところがこの「ジョリー・ロジャー」には、そのようなシーンやセリフがありませんでした。その一つをとってみても、この映画がそれほど評価すべきものでないことがうかがえるように思えます。

 ストーリーや舞台設定、登場人物その他、映画版というよりはTVのスペシャル版を観ているようで、少しマンネリズムを感じました。それなりに及第点の作品ではあったと思いますが、驚くような謎解きも、胸がキュンとなるようなエピソードも、特にありませんでした。ちなみに犯人も、始まったあたりで私にはわかってしまいました。いままでのパターンでいくと、きっとこの人が犯人だろうなあと、きっと私以外の人もほとんどわかった上で観られたのではないでしょうか。

 人気シリーズ故のマンネリ感、これは仕方がないものなのかもしれませんね。シリーズの制作にあたっておられるみなさんには、また奮起して、観る者をワクワクさせる作品を作っていただきたいと思います。次作期待

 私の評価:☆☆(5つが満点です。)

映画の話・76 「 8月のクリスマス 」

20050818005fl00005viewrsz150x11  で、こちらは先ほど紹介させていただいた「八月のクリスマス」のリメイク版。2005年の日本映画です。

 リメイク版は期待はずれに終わることが多いように思いますが、この作品はむしろ逆。オリジナル(韓国)版の空気感や雰囲気を損なうことなく、舞台を日本に移していて、私にはむしろこちらの方がよりよかったようにも思えました
 韓国版と日本版の違いは、たとえば日本版の方が出来事やその時々の気持ちを具体的にあらわしているところにあるのではないでしょうか。もちろんだからと言って、どちらが「優秀か」などということは言えないと思います。もうそれは好みの問題だと思います。あまり多くを語らずに、より雰囲気・空気感を大切にするなら韓国オリジナル版、より具体性を求めるならリメイク日本版、といったところじゃないでしょうか。
 
 山崎まさよしさん、よかったです。本業はミュージシャンですが、この方がもともと持っておられる落ち着いた、淡々とした雰囲気が、映画にしっかりマッチしていたように思います。抑えた演技、よかったです。
 相手役の関めぐみさんも、いい感じでした。ちょっと鶴田真由さんを思い出しましたが、凛としながらもまだ幼さを残している・・・そんな役柄をうまく演じていたように思います。今後の彼女に、注目していきたいと思います

 ラスト近く、退院した主人公は、新しく赴任した能登半島のはずれの小学校まで彼女の姿を見に行きます。そして彼女の元気な姿を見るだけで、声をかけずに帰っていきます。その後自分の写真館で、彼女とすごした楽しかった日々をしみじみと思い出すシーンには、かなりグッときてしまいました(泣)

 舞台は富山県あたりだと思います。富山にあるミラージュランドが映っていました。私、ここ、行ったことがあるんですよね。失礼ながらお客さんもまばらで、場末の遊園地といった感じでした。でも、そういううらぶれた感じが、この映画にはよく合ってました。全体的に日本海側のさみしい・切ない雰囲気が映画にマッチしていました

 オリジナル韓国版もよかったですが、このリメイク日本版もかなりよかったです。二人の、相手を想う誠実な気持ちがにじみ出ていて、本当に切なくなりました。日本の雪国の冬の朝の、あの凛とした張りつめた空気感が、この映画にはよく合っていました。

 私の評価:☆☆☆☆☆(5つが満点、つまり満点です。)

映画の話・75 「 八月のクリスマス 」

4_3325111  1998年の韓国映画です。

 8月になったらこの映画について書こうと思っていたのですが、いつのまにやら9月・・・忘れていたことを思い出しましたので、ちょっと時季外れではありますが書かせていただきます

 私もいろいろな映画を観てきましたが、こんな恋愛映画は初めてです。劇的な出会いもなければ奇跡的な再会もない。これといったラブシーンもない。でも、それゆえに本当にリアルで、観終わってからじわじわと感動が広がっていきます。
 主演のシム・ウナとハン・ソッキュ、どちらも好演されています。シム・ウナさんはとりたてて美人というのではありませんが(ファンのみなさま、すみません)癒し系(ちょっと古いですか)というのがぴったりで、魅力的です。ある時期を境に映画界から姿を消されているのが本当に惜しいです。ハン・ソッキュは「スカーレットレター」も観ましたが、全く違う役どころで、「こんな役もできるんだ(こちらの方が先ですが)」と感心してしまいました。さすが韓国を代表する役者さんです

 映画全体としては、何と言ってもジョンウォンの優しさに心を打たれます。病気で余命いくばくもないのにいつも笑顔を忘れない。本当に見習いたいです。そしてタリムとお互いに心通わせていくのですが、彼女のためを思って必要以上には親密にならない。彼女とともに過ごせる時間はもうほとんどないのに親密になってしまうと、自分がいなくなってから彼女を悲しませてしまうから。抑えた笑顔が、本当に切なかったです

 「自分が淋しいから自分を愛してくれ」「自分はもうすぐ死んでしまうから思い出を残させてくれ」などというような、自分勝手な恋愛ばかりが横行する今のこの世の中で、「本当の愛とは何か・本当に人を愛するとはどういうことか・・・」などということを考えさせられました

 私の評価:☆☆☆☆☆(5つが満点、つまり満点です。)

映画の話・74 「 20世紀少年 第一章 終わりのはじまり」

20080512002fl00002viewrsz150x1  公開初日、総製作費(三部作全部で)60億円と言われる話題作「20世紀少年」を、一人で観にいってきました。奈良の上牧町にある映画館(シネコン)までいったのですけどね、公開初日の第1回上映にも関わらずお客さんはガラガラ・・・。超話題作でもあり、満員かなあとわくわくしながら行った私は、ちょっと拍子抜けしてしまいました。で、普段はここの「映画の話」には、実は観て少し時間をおいてから文章を書くということがほとんどだったのですが、今日は特別。さっき帰ってきて、で、今書いてます。では、本題・・・。

 試写会をご覧になられた方々の間では賛否両論あると聞いていたので、正直どうなんだろうと、期待半分不安半分で観にいきました。原作大好きで(原作漫画については先日書かせていただきました)何度も読み込んだ私としては、一番いやなのは全く違う作品にされてしまうこと。それから、特に登場人物が変なキャスティングによって変なイメージになってしまうこと。そのあたりを一番懸念しながら、公開初日の初回上映を観にいきました。

 で、先に結論。私としてはとっても楽しめました。原作に忠実に映像化されてあって、私としては満足。原作を読んでない人がこの映画だけでどれだけ楽しめるか・・・そのあたりは確かに疑問符がつくかもしれません。しかし実際原作漫画も一度読んだだけではわからないほど実は複雑で、何度も読んであらたな面白さに気づくということもありますので、もし一度観てわからなければもう一度観ていただく・・・いや、それより漫画を読んだ方が(映画と漫画の)相互理解につながるかもしれません。でもとにかく、「これが映画か?」という厳しい意見もあるようですが、この映画はこの映画だけで、しっかりと存在できていると思います。

 それからキャスティング。おみごと!としか言いようがありません。ケンジの唐沢さん、オッチョのトヨエツさん、ユキジの常盤貴子さんをはじめ、どの方もイメージぴったり。先ほども書きましたが、漫画等が映像化されると、キャストのイメージが違ってがっかりさせられることが本当に多いのです。でも、この映画は本当に「さすが」のキャスティングでした。どの方もどの方も、本当に原作の中の「その人」でした。・・・いちばんイメージ通りだったのは、子ども時代の「最悪の双子」ヤン坊マー坊かな(笑)。(余談ですが、名のある出演陣の中で、ほとんど無名ながら・・・失礼・・・主役級のカンナの役を射止めた平愛梨さん、これもまたぴったりでした。第二弾に期待です。)あと、どんなチョイ役にも名のある役者さんが出演されていたのにはびっくりしました。総製作費60億円ということで、ちょっと札束でほっぺたをたたくような(嫌味な)感じもするのですが、でも本当に豪華出演陣でした。

 あと、映像もさすがにお金をかけているだけあって(いや、こだわってるわけではありませんが・汗)、迫力がありました。ラストの2000年12月31日のシーンもですが、たとえばケンジのコンビニが焼けるシーンなんかは、細かいシーンでありながらかなりすごかったです。

 最初にも書きましたように、この映画、本当に賛否両論あるようです。そして私は先に原作漫画を熟読し、この作品の大ファンとしてこの映画を観にいきました。ですから、漫画を読んでいない人がこの映画を観てどう思うかということについては、なんとも言えません(たぶん面白いと思いますが)。
 ですが、私と同じようにこの漫画のファンの方なら、十二分に楽しめること間違いなし!!私はそう思っています(もちろんそう思っていない方もいらっしゃいますよ)。第二弾・第三段が、とっても楽しみです。

 (最後におまけですが、三部作と言えば思い出すのが「マトリックス・シリーズ」。こちらも賛否両論ですが、私にとっては回が進むにつれて、よくわからない作品になっていきました。あのようにならないことを期待します。)

 私の評価:☆☆☆☆(5つが満点です。)

映画の話・73 「 青いパパイヤの香り 」

4_3122111  1993年のベトナム映画です。でも、アジア映画の最高峰と、以前から言われている作品で、私もずっと興味がありました。

 まさに異国情緒にあふれた作品でした。ストーリーは淡々と進み、セリフも少ないです。ただ、場面の一つ一つが様々なことを暗示していて、非常に想像力を必要とする映画でした。また、ムイの少女時代を演じていた子役さんも非常に魅力的でした。
 ただ、みなさんが高評価をされている中、非常に言いにくいことを正直に言いますが、私、いま一つこの映画、よくわかりませんでした。いや、もちろんストーリーは理解できたのですが、私の琴線にはあまり触れてきませんでした。
 映画はそれを観た状況、観た年齢等によって、受け取り方も変わってくるものです。またいつの日かこの映画を観るときには、また違った感想を持つようになるのかもしれません。そのときには、今回とはまた違った感動が得られればと思っています。

 私の評価:☆☆☆(5つが満点です。)

映画の話・72 「 レオン 」

4_788211  1994年 リュック・ベッソン監督が初めてアメリカで制作した映画です。

 この映画、特に若い女性に人気があるように思うのですが、今日初めて観てその理由がわかったように思いました。なにより、ジャン・レノがかっこいい。「殺し屋」に対してかっこいいという表現は不謹慎かとも思いますが、寡黙で腕がよく、なおかつ純真で優しいとくれば、ほとんどの女性は憧れの気持ちをもってしまうのではないでしょうか。
 そしてマチルダ役のナタリー・ポートマン。彼女がかわいい。しかしただ単純に「かわいい」のではない。弟を殺され心に傷を負い、その復讐を果たそうとする姿。ジャン・レノ扮するレオンにあこがれ、なんとかついていこうとする姿。そのどれもがとってもけなげで、やはり見る者を惹きつけて離さないのです。

 ただ、それならジャン・レノとナタリー・ポートマンを観るだけの映画かというとそうではなく、お話としてもしっかりまとまっています。マチルダの苦悩・レオンの葛藤・公権力の腐敗・アクションシーン等々バランスよく描かれています。ラスト、敵役の麻薬捜査官・スタンフィールドとの戦いの場面は手に汗を握りながら見ていました。(余談ですが、このスタンフィールドの憎ったらしさが、この映画をより一層盛り上げてくれているように思いました。でも、どうしてもこのスタンフィールド、「ウッちゃんナンちゃん」の内村さんに見えて仕方ありませんでしたが(汗)。)
 
 都会的で洗練され、かっこよくて、切なくて・・・、確かに名作でした。

 私の評価:☆☆☆☆☆(5つが満点、つまり満点です。)

映画の話・71 「猫の恩返し」

4_4371111  2002年の日本映画です。ご存じスタジオ・ジブリ作品。でも、監督は森田宏幸さんです。 

 ジブリ作品と言えば、特に「もののけ姫」以降壮大なテーマを少々難解に描く・・・といった感じになっていましたが、この作品はいわばその対極をいく作品でした。絵もかわいらしく、上映時間も75分と非常に短い・・・、そしてテーマも、「自分らしく生きることを大切にしよう。」「悩んだり考えたりしながら、人間は成長していく。そのような中で自分らしさを見つけよう・・・」と、これもとってもわかりやすい。ほかのレビュアーの方々も書かれていますが、まさに小学生にも楽しめる内容になっていました。
 
 もちろんこれは、悪口ではありません。少々難解な作品が多くなってきたジブリの大作映画・・・その中でこのような小品があってもいいと思います。いろいろな意味で安心して観ることができました。もちろん大作もいいのですよ。ただ、たまにはこういうのもいいなあと、観終わってちょっとホッとしました。

 ラストに流れるつじあやのさんの歌も爽やかで、映画にとっても合ってましたね。本当に爽やかな、かわいい映画でした。

 私の評価:☆☆☆(5つが満点です。)

映画の話・70 「 マイライフ・アズ・ア・ドッグ 」

4_200752_21  1985年のスゥェーデン映画です。

 ほのぼのとした気持ちにさせてもらいました。決して順風満帆とした毎日を送っているとは言えないイングマル少年ですが、何があっても常に前向き・・・見習わなきゃな~と思う場面が何度もありました。

 そして印象的だったのはそのセリフ。特に「比較すると距離を置いてみてとれる。距離を置くことが大切。」「僕は運がいい。」「落ち込んだ時はライカ犬のことを考える。ライカ犬よりは僕の方が幸せだ。」などなど、本当に元気をもらいました。

 何があっても悪く考えずに、あきらめてしまわずに、常に前を向いて生きていけばそのうちいいことがあるよ・・・そんなことを信じさせてくれるような映画でした。

 私の評価:☆☆☆(5つが満点です。)

映画の話・69 「 忘れえぬ想い 」

20060116005fl00005viewrsz150x11  2003年の香港映画です。下世話な話ですが、少し前にエディソン・チャンのスキャンダルで一番の被害者であると言われたセシリア・チャン主演です。

 香港映画特有の、裏通り的生活感にあふれた映画です。映画によってはしみったれた感じになってそれがマイナスに作用することもあるのですが、この映画の中では切なさを増幅するいい効果をもたらしています。そのような映画全体の雰囲気の中、一生懸命働くセシリア・チャンの、身体の中からにじみ出るけなげさ・美しさがこの映画のすべてです。
 また、傷心のセシリア・チャンを助ける男性、これまたあまりかっこよくないというのも、リアリティがあってよかったです。

 お話としては、主人公が亡くなった彼氏を次第に忘れていき、そばで自分を支えてくれた男性と結ばれていくという、ありがちと言えばありがち、でもリアリティに溢れているといえばそうとも言えるお話で、それなりに共感も応援もできたのですが、亡くならずとも「そばにいなければ次第に忘れられ、そばにいる男性に惹かれていくようになる・・・」というような、よくある遠距離恋愛の結末を見せられたようで、映画のストーリーとは少しかけ離れたところで、淋しくなってしまいました。

 主人公の子ども役で、日本人である原島大地くんが好演していましたよ。

 私の評価:☆☆☆(5つが満点です。)

映画の話・68 「 シンドラーのリスト 」

4_4542211  戦争の記憶が年々薄れていく中、次の世代の人たちに少しでも悲惨な出来事を伝えていきたい。そういう思いを込めて、今日はこの映画について書かせていただきます。 

 1993年のアメリカ映画です。監督はあのスピルバーグ氏。アカデミー賞受賞作です。

 この映画を観終わって、本当は何も語る気をなくしてしまいました。この映画の圧倒的な存在感の前に、語る言葉をなくし、語る自信を失くしてしまったからです。私に何が語れるだろう・・・。195分という長い映画ですが、それは決して冗長ではありません。ぎっしりと中身の詰まった195分です。 

 すべてが重い。それは何より「真実の重さ」です。第二次世界大戦当時、ユダヤの人たちがいかにひどい仕打ちを受けてきたか・・・。この映画の中では、その悲惨な・残虐な出来事をこれでもかこれでもかと伝える。しかしそれらはみな事実なのです。人間が人間に対しておこなった残虐な行為、そして戦争がいかに人間を狂わせてしまうか・・・、私たちは目をそらしたくなりますが、決して目をそらしてはいけません。収容所のシーン・ゲットーの解体のシーン、アウシュビッツのシーン・・・吐きそうになるくらいひどい出来事が描かれています。でも、同じ人間として、事実を見つめなければならないのでしょう。

 195分と長く、内容も非常に重い映画。もしかすると今のこの「軽佻浮薄」な時代の空気とは対極にある映画かもしれない。ただ、そんな時代だからこそ、この映画は必要なのだと思います。しっかりと歴史を認識し、事実を認識しなければならない。言い古された言葉ですが、同じ人間として、決して同じ過ちを繰り返さないために。

 私の評価:☆☆☆☆☆(5つが満点、つまり満点です。)

映画の話・67 「男たちの大和」

20050929001fl00001viewrsz150x11  終戦からもう半世紀以上経って、8月15日が何の日か知らないという子どもも、今は多いと聞いています。私たちにとって嫌な思い出は消し去った方がいいのでしょうが、戦争の記憶だけは絶対に後世に語り継がなくてはならないと私は思っています。・・・ということで、終戦記念日に関連して、今日はこの映画について一言述べさせていただきます。

 2005年の日本映画です。

 こういう言い方もどうかとは思いますが、よほど脚本等に抜きん出たものがないと、戦争映画はやはりどれも似たりよったりの内容になってしまいます。残念ながらこの映画もそのような、昔からよくある戦争映画の域を出ることはできなかったようです。確かに戦闘(一方的にやられていたが)シーンは従来にない迫力がありましたが、そのことは映画全体のテーマには影響を与えてはいませんでした。
 若い世代に戦争のむなしさ・悲惨さを伝えていくためには、当代人気の俳優を使い、このような映画を作っていくことは確かに意味があると思いますが、従来のよくある戦争映画の域を超えた「戦争映画」が、今後創られることを願ってやみません。

 私の評価:☆☆(5つが満点です。)

映画の話・66 「 遠くの空に消えた 」

20070521008fl00008viewrsz150x11  2007年、神木隆之介くん主演の日本映画です。う~ん、なんといえばいいのか・・・

 舞台は架空の国。そこは日本的な匂いがぷんぷん漂っていながらも、言語がロシア的でもあり、また酒場は開拓時代のアメリカ西部のようでもあり・・・、もちろんそれは監督の意図だったのでしょうが、よくわからない場所を舞台にして、そして(厳しいようですが)よくわからない映画になってしまったようです

 空港建設反対派と賛成派(というより権力の側)の対立、昔誰もが近所に作って遊んだ秘密基地的な子供たちのノスタルジー、サワコ先生の恋の行方、大後寿々花さん演ずる少女の宇宙(異星人?)に対する関心などなど、ちょっとテーマが多すぎて、整理しきれなかった感が否めません。そして、それら一つ一つのエピソードの落とし方も、はっきり言って今ひとつ・・・。たとえば最後、子供たちが力をあわせて何をするんだろう?と思ったら、「これ?」でした。もう少しテーマを絞れば、話もすっきりして、もっとよい映画になったのではないかと思ってしまいました。

 主演の少年少女三人は言うに及ばず、脇を固めた方々も存在感をしっかりと感じさせてくれました。特に赤星を演じた長塚圭史さん、さすがでした。だからこそ、ストーリーももっとしっかりとしたものにしてほしかったです。

 無国籍の場所での、ひと夏のファンタジー。確かに雰囲気はありました。雰囲気だけなら楽しめたかもしれません。そのあたりは評価の分かれるところかも知れませんが、私はちょっと消化不良・・・観終わってなにかしらとっても物足りなさを感じました。先ほども書きましたが、俳優さんたちの演技がよかっただけに、残念でした

 私の評価:☆☆(5つが満点です。)

映画の話・65 「シュガー&スパイス 風味絶佳」

20060807005fl00005viewrsz150x11  2006年の日本映画です。

 世間によくある話だなあと思いながら観てました。よくある話だから悪い、というわけではないのですが(むしろよくある話の方が共感しやすいということもあると思いますし)、正直観終わって「ふ~ん、それで・・・」という感じで、可もなく不可もなく(どちらかといえば不可の方ですけど)といった感じです
 
 話の”スパイス”として存在しているのであろう夏木マリさん演ずる”グランマ”も、その人生にリアリティが感じられなかったし(夏木マリさん自身はなにをするにしても存在感に溢れていて、好きなタレントさんなんですけど)、いわゆる「普通の映画」以上にはなり得なかったです

 沢尻エリカさんはいい女優さんですよね。魅力的です。いろいろあって今はちょっと「干された」ような状態になっていますが、もっともっと自分自身を磨いて、プロの女優として復帰してほしいと思います。バラエティーの芸能ネタで見るんじゃなくて、映画の話題の中で彼女の名前を見聞きしたいです。

 沢尻エリカさん演ずる女性のような人はよくいるし、柳楽クンのような目に遭う男の子も世の中にはきっと多い・・・。結局、このような切なさを数々経験しながら、少年はやがて大人になっていく、といったところでしょうか。

 でも、映画としてはいまひとつでした

 私の評価:☆☆(5つが満点です。)

映画の話・64 「 LAST SCENE 」

4_2693721  2001年の日本映画です。日本版「ニュー・シネマ・パラダイス」?

いや、言いすぎました。「ニュー・シネマ・パラダイス」ファンのみなさま、すみません。でも、イタリアと日本の違いはあるものの、作品の背景はほぼ同じ、作品全体を流れるノスタルジックな切なさもまた、同じように感じました

 この作品で特筆すべきなのは、なんと言ってもジョニー吉長さん。出てこられた時に「これがあの”ジョニー・ルイス&チャー”の、素敵なジョニー吉長さんか~?」と思ったほど、しょぼくれた老人を演じておられました。でも、まさにこれこそが「三原健」・・・セリフや演技の枠を超えて、その存在が「三原健」そのものでした。(ラスト近くの若村麻由美さんとのシーン・回想シーンも含めて、いいシーンでした。)
 
 現在の映画制作現場、実際はあそこまでおざなりではないのでしょうが、かなりひどいものとして描かれていました。この映画は、そんな現状に警鐘を鳴らす意図もあったのでしょうか。ただそのような現場で、かつての制作現場を知ってる方々が次第に職人気質を発揮していくシーンは、なかなか見ごたえがありました

 監督は「リング」等で一世を風靡した中田秀夫さん。ところどころにホラー風味があるのはご愛嬌ですね。

 それぞれの人生に、それぞれのラストシーンがある。私にはどのようなラストシーンが待っているのかはわかりませんが、笑顔でラストを迎えられるようにまた頑張っていかなきゃなあと、この映画を観て考えさせられました。

 私の評価:☆☆☆(5つが満点です。)

映画の話・63 「 ローマの休日 」

4_852921_31  1953年のアメリカ映画です。1953年ですよ~、私が生まれる前じゃないですか~。それだけでもすごいです 

 内容は、現代(と言っても、かなり古いですが)のおとぎ話です。とっても爽やかで、後味の良い映画でした。普及の名作として今に至るまで語り継がれているのが、納得できました。
 
 古くから言われていることと思いますが、最後の記者会見での「今回まわられたヨーロッパの国々・都市の中で、どこが一番よかったですか。」との質問に対して、差し障りのないように答えさせようとする側近を振りきり、「ローマです。」と答えたのにはなかなかグッときました。「ここでのことは一生忘れません。」と答えた彼女の言葉には、今後王女として(自分のわがままは捨てて)国民のために生きていこうという決意がうかがえました。そう決意させたのは、このローマでの自由な一日だったのだろうと思います。普通の女性が一生のうちでする「恋」も「冒険」もそして「別れ」も彼女はこの一日の中で経験して、そして、今後は一個人ではなく国民のために王女として生きることを自分に納得させたのでしょう

 世の中には、願ってもどうにもならないことがあります。それならばその運命を呪って生きるより、その運命の中で前向きに生きる方が良い・・・そのようなことを、教えられたような気がしました。最後のシーンのアン王女の、まさに「凛」とした姿が、印象的でした。

 私の評価:☆☆☆☆☆(5つが満点、つまり満点です。)

映画の話・62 「シザー・ハンズ」

Swwwx1bz1_2  1990年のアメリカ映画です。
 
 手が「はさみ」になっているエドワード。彼をあまりにも簡単に周囲の人が受け入れることに、初めは少々違和感を持って見ていました。植木の剪定(余談ですが、植木で恐竜を作ったときは、初代のバカボンのパパを思い出しました・・・)や犬のトリミング・しまいには人間の女性の髪までをセンス良くカットしていくエドワードは、どんどんと人気者になっていく・・・。でも、やはりそれほどうまいことばかりはいきません。意地の悪い人間に騙され、周囲の人も一気に彼に悪意を抱くようになっていきます。そして、切ないラストへ・・・。
 悲しかったのは、そのすべてが彼の意志ではなかったこと。人々にちやほやされたのも、人々に疎まれたのも。ただ一つ、彼が意思通りにしたことが、愛するキムを抱かなかったことだったなんて、これもまた悲しい・・・

 この映画を観て(非常に個人的な意見で申し訳ないんですが)、主人公エドワードと自分との間に重なる部分を発見して、これまた少し悲しくなりました。もちろん私の手は「はさみ」ではありません。でも、自分がよかれと思ってしたことで相手を傷つけてしまったのではないかと思うことは、時折あります。エドワードは具体的に手が「はさみ」でありましたが、私には心に「はさみ」があるのではないかと思うことがあるのです。
 ・・・でも、そういうことは、本当は誰にでもあるのかもしれません。それならば、いくら相手のためを思ってしたことであっても、それにより他人を傷つけることのないように、今まで以上に繊細な心を持って接していかなくてはいけないなあと、思いをあらたにしました。でも、あまり気を遣いすぎると、自分自身がしんどくなってしまうので、まあほどほどに、ですけどね。

 とにかく、切ない映画でした。そして余談ですが、この映画が公開された1990年から現在まで輝き続けている、ジョニー・デップはやっぱり凄い・・・

 私の評価:☆☆☆(5つが満点です。)

映画の話・61 「日本以外全部沈没」

Igag0v9t1  2006年の日本映画です。

 どういう視点で観ればよいものか?ちょっと困ってしまいます。パロディ映画としてあまり深くものを考えずに観れば、それはそれで結構面白いのかもしれませんが、ちょっと度が過ぎているというか、あそこまで外国を、そして外国の人々を愚弄(言葉がきつくてすみません)してしまうと、ちょっと素直には笑えませんでした

 それに、日本以外の国々がどんどん沈んでいって、やがて日本も沈没する・・・まったくありえないことなら「そんなばかな」と笑って済ませられるのかもしれませんが、元来心配性の私ゆえ、いずれはそうなってしまうかも知れないとの思いから、なかなか心底笑うことはできませんでした。それはあまり遠くない将来のことかもしれませんし(汗)。

 諸外国の首脳が日本の総理大臣のご機嫌をとり、世界中で(と言ってもすでに日本以外の諸外国は沈んでしまっているのですが)日本人が一番上位の民族になる・・・私も日本人なので、心地よいように感じるべきなのかもわかりませんが、これって却って現実での日本の諸外国に対するコンプレックスの裏返しのようで、あまりいい感じはしませんでした
 
 「娯楽映画だから、そんなに難しいことを考えずに気楽に観たら・・・」とおっしゃるむきもあるかと思います。ただ私はそんなに難しいことを考えてこの映画を観たわけではないのですが、後味が悪かったかなぁ・・・というのが観終わった今の正直な気持ちです

 私の評価:☆(5つが満点です。)

映画の話・60 「 日本沈没 」

8wutkuvt1  2006年の日本映画です。

 公開当時とっても話題になったので、私も劇場まで足を運びました。火山が噴火し、国土が次々に沈んでいくその映像は、CG技術の進歩と相まって、すごい迫力でした。主演のくさなぎくんも柴咲コウさんも、それから個人的には大地真央さんも、好演しておられました

 ・・・でもね、ストーリー的にムリがありすぎでしょ。日本の国が大変なことになってるのに、なぜ福島だけあんなに平和なの?そしてラストのくさなぎくんの行動って、アルマゲドンのパロディ
 
 映画としてはCGに頼りすぎ。はっきり言って申し訳ないですが、たいして見るべきところもない、駄作です。ただ、映画とはあまり関係のない話ですが、近い将来日本でもこれに近いことが起こらないとも限りません。その時には、やっぱり体力がないと生き残れないなあと、それは映画を観て痛感しました。あんな風に山に登って行ったりしなきゃなりませんもんね。今からでも、体力づくりしなきゃ。それを教えてくれたという点は、この映画に感謝です。でも、それだけです。

 私の評価:☆☆(5つが満点です。)

映画の話・59 「ティファニーで朝食を」

4_582281 1961年のアメリカ映画です。私が生まれる前に作られた作品です。それを考えただけでも、すごいと思います

 物心ついたころから(というとちょっと大げさですが)タイトルは知っていましたが観たことのなかったこの映画を、先日はじめて観ました。主題歌の”moonriver”は名作漫画「ど根性ガエル」の中にも出てきて、子どもの頃から気になっていました。実際、小粋でおしゃれな映画でしたね。
 正直、ストーリーは特にどうということのない、ありがちなラブ・ストーリーという感じでしたが、何と言ってもオードリー・ヘップバーンの魅力が、60年代のニューヨークのおしゃれな雰囲気の中で輝いている、そんな映画でした。それから「ティファニーで朝食を」というタイトル、これも素晴らしいです。もともとのタイトルは”BREAKFAST AT TIFFANY'S”、それほど変わっていないといった感じですが、でも、「ティファニーでの朝食」では、やはり少し感じが変わってしまいます。「ティファニーで朝食を」の方が断然いいです

 余談ですが、話のところどころに出てくるメガネで出っ歯の日本人(ですよね?)、当時のアメリカ人が日本人をどのように思っていたかというのがよくわかりますね。(当時の映画には、このような日本人がよく出てきますし・・・。)思想的なことはあまり言いたくありませんし、だから今更どうというのでもありませんが、同じ日本人としてあまり愉快な気持ちになれなかったということは、申し添えておきます

 私の評価:☆☆☆☆(5つが満点です。)

映画の話・58 「 アンフェア The movie 」

20070208009fl00009viewrsz150x1  2007年の日本映画です。

 TVシリーズが好きだったので、結構期待して観たんですけどねぇ。なんかちょっと、話にのめり込めなくて残念でした

 たとえばこういう設定の映画のひとつのワクワクポイントは、「裏切り者は誰だ?この人か・・・またはあの人か・・・」と観てる私たちも考えるところですよね。でも、観ているうちにその点がどうでもよくなってきてしまって、最後には「ああ、この人も裏切ってたのね・・・」って、ドキドキよりも変に納得してしまいました。まったくみんな裏切り過ぎです(笑)。

 そして、まだ続くのね・・・という終わり方も、ドキドキよりも「そろそろもういいよ、そろそろ結末を見せてよ・・・」という気落ちになってしまいました(汗)。

 映画なのかTVなのか、続きがまだあるようですが、そろそろ次回作で終わりにしてほしい。そして、だらだらとしたムードになってしまった本作を、もう一度緊張感漂う秀作にして、シリーズとしての結末を迎えてほしいです。TVはとっても面白かったのになあ

 私の評価:☆(5つが満点です。)

映画の話・57 「 変身 」

Dzvxwc0r1  2005年の日本映画です。東野圭吾さん原作。

 玉木宏に蒼井優・・・当代若手俳優を代表するお二人が出演している映画にしては、ちょっと消化不良かな。もちろんお二人の演技は、特に蒼井優さんはいつものように素晴らしかったですけどね。

 原作を読んでいないので何とも言えませんが、原作はもっと読み込ませるタイプの作品なのではないでしょうか。たぶんそれを映像として消化しきれてないないのでしょう。細かい人間関係とか、さまざまな伏線とかが、あまり描かれていないように感じました
 それに、テーマがはっきりしない。脳移植にという重いテーマについて描きたかったのか、それとも恋愛の方を中心に据えたかったのか・・・?
 とにかく、いろいろな意味でちょっと残念な映画でした。

 余談ですが、一人の人間の中で二人の人格が出たり入ったり・・そしてその相克に悩む主人公という図式は、高校の時に国語の授業で習った「山月記(中島敦・著)」を思い出しました

 私の評価:☆☆(5つが満点です。)

映画の話・56 「ムーンライト・ジェリー・フィッシュ」

Oqh2wr2t1  2004年、藤原竜也さん主演の日本映画。あまり有名な映画ではありませんが、私は結構好きです。

 汚れきったこの世の中で、本当に誠実に生きようとした寺沢セイジ(藤原竜也)。しかしどんな場面でも世の中はセイジに冷たかった。「別の人生なんて考えるだけムダ」とうそぶくセイジが本当に悲しい。あまりの虚しさのために、そしてその虚しさ・怒りをどこへもぶつけることができずに、地下室で叫ぶその姿が本当に痛々しかった。
 そんなセイジにも、その心を温かくしてくれる女性が現れる。彼女(岡本綾)の存在により、セイジは次第に人生に希望を取り戻していき、やがて明日に向かって明るく生きようと決意する。しかし、二人を待っていた結末は・・・。

 あまりに美しく、あまりに儚く、あまりに切ない映画であった。彼女(岡本綾)はいわば「太陽」、そしてセイジ(藤原竜也)は「月」であった。互いがどんなに望んでも、一緒には輝けないのかも知れない・・・。そんな考えが、ふと頭をよぎった。

 私の評価:☆☆☆(5つが満点です。)

映画の話・55 「 ダニー・ザ・ドッグ 」

20050519013fl00013viewrsz150x1  2005年のアメリカ映画です。

 ジェット・リーの新境地を開いた作品というべきでしょうか。アクションシーンはいつもの彼らしくとてもかっこいいのですが、今回はそれ以外のシーンでの彼の様々な表情の方が印象に残りました

 ストーリーはダニー(ジェット・リー)の育ての親であるバートとその一味が「悪」の象徴、そしてサム(モーガン・フリーマン)・ビクトリア親子が「善」の象徴として描かれています。その二つの間に挟まれて、ダニーはどちらに落ち着くの・・・と途中はらはらしますが、結局「善」の方に落ち着くことができ、一応のハッピーエンドを迎えることができました。ただ、それで気持ちが「すっ」とすることがなく、何となく後味の悪さが残ってしまいます・・・。それまでのダニーの生活が強烈だったので、「本当にこのまま幸せになれるのかな?またバートの一味が追ってくるんじゃないかな?」なんて思ってしまうからでしょうか。
 無邪気な表情・朗らかな表情・そして切ない表情・・・。ジェット・リーの表情(の素晴らしい演技)が印象に残る作品でした。

おまけ:モーガン・フリーマンいつもながらにいい味出してます。ただ、「あれ?レイ・チャールズ?」と思ったのは私だけでしょうか(笑)

 私の評価:☆☆☆☆(5つが満点です。)

 

映画の話・54 「 小さな中国のお針子 」

5ssiyfcv1  2002年のフランス映画です。

 中国を舞台にした中国の俳優による映画なのですが、フランス映画ということもあって、他の中国映画にはない雰囲気を感じることができます。作品の主な舞台になっている中国の山間部の景色は「山の郵便配達」に負けないぐらい本当に美しいのですが、そこにフランス風のおしゃれな感じもうまく融合されているように思います(ラストの、何もかもが水の中に沈んでいく映像はなかなかおしゃれでした)。映像の綺麗さは本当に特筆モノです。ストーリーの方は、一人の無学な少女が、二人の学のある青年、そして外国の書物に触れることによって変わっていく・・・といったものです。そこに友情や恋愛を絡めながら、気持ちの変化を描いていきます。

 このような映画を見ると「人間にとっていかに学問が大切か」というようなことを考えてしまいます。人間が成長するためには、もしくは幸せになるためには、人と出会い、書物と出会い、思想や学問を身につけることが本当に大切だと思います。ただ、この映画の場合”お針子”が外国の思想を身につけて、村を出て行って、それが幸せなことであったかどうかは議論の分かれるところではあると思いますが。彼女の場合、何も知らずにそのまま村で、かわいくて腕のいいお針子として暮らしていった方がよかったのではないか、とも思ってしまいます。村を出てからの彼女の消息がわからないだけに、都会での生活の辛さを知っている私(たち)としては、その後幸せになれたとはなかなか思えないのです

 ただ、村がダムに沈むと決まった後、中国に戻ってきたマーが旧友ルオの家で村人たちの現在の様子を写した映像を見るシーンはなにか懐かしい感じがして、ほのぼのとした気持ちになれました。そして反革命分子とされ村で苦労していたルオとマーが、その何十年か後それぞれ幸せに暮しているのには、救われた気持ちになりました。

 私の評価:☆☆☆(5つが満点です。)

映画の話・53 「 UDON 」

20060626001fl00001viewrsz150x1  2006年の日本映画です。

 先に告白してしまいますが、私の両親は香川県出身者で、私も幼いころから何度も香川へいわゆる「里帰り」しました。なおかつ私自身も他府県の生まれ・育ちながら、就職して初めて赴任した土地が香川県・・・そこで5年間過ごしましたので、いわば私にとっては香川はまさに第二のふるさと。そんな私ですので、この映画、客観的に観ることはできませんでした。これから書くレビューにも、そんな私情が多かれ少なかれ入ってしまうと思いますので、そのあたりを含んでいただいた上でお読みいただけたらと思います

 いや〜楽しかった。知ってるところはたくさん出てくるし、言葉も一部の出演者を除いてはほぼ讃岐弁。特に鈴木京香さんの讃岐弁には癒されました。香川県出身の俳優・タレントさんも多数出ておられて、”郷土・香川を愛する気持ち”に満ち溢れており、観ていて温かい気持ちになりました(笑)
 ストーリーの方も、讃岐うどんブームを起こして「よかったよかった」と終わるのではなく、ブームというものの本当の姿・影の部分(地域への迷惑・伝統の破壊など)もよく描いており、なかなかよかったと思います。ただ、ラストには賛否両論あるでしょうが・・・。

 私が「う〜ん」と唸らされたのは、うどん博が終わった後の(というか、いろんな場面でずっと言ってる設定でしたが)升毅さんのセリフの宇高連絡船内のうどんの話。私もまさに同感でした。最初に書きましたように、私も子どもの頃から何度も宇高連絡船に乗り、その甲板で何度もこのうどんを食べました。そのおいしかったこと!!同じことを思っている人がいるんだと、感動してしまうとともに、このセリフによって私にはこの映画がとってもリアリティをもって感じられるようになりました。あと、映画には関係ありませんが、もう一つマニアックなことを書きますと、移転する前の旧JR高松駅の構内にあった「立ち食いうどん」。これも本当においしかった。特にかき揚げのてんぷらうどんが。私は他の交通手段で高松に行った時も、わざわざ入場券を買って構内に入り、このうどんを食べてました。このセリフでこのことも思いだしてしまいました

 この映画、まさに映画としてはあまり評価が高くないようにも聞いていましたが、私はとっても気に入りました。スクリーンに讃岐うどんへの愛が、そして香川県自体に対する愛が満ち溢れていて、観ていて幸せな気持ちになりました。

 私の評価:☆☆☆(5つが満点です。)

映画の話・52 「 地獄の黙示録 」

4_556241  1979年のアメリカ映画です。

 何十年も前(公開当時)からずっと観たいと思っていた本作を、DVDではありますがようやく観ることができました。さすがに話題作であり、良くも悪くも映像はすごかったです。ストーリーは少々難解ではありましたが、「戦争がいかに人間を狂わせるか、いかに精神を蝕むか」についてはよく描かれてあったと思います。(監督がこのような事を描きたかったかどうかは別ですが・・・。)
 あと音楽もよかったです。オープニング、ドアーズの名曲”ジ・エンド”は非常に印象的でしたし、ワーグナー”ワルキューレの騎行”には正直”わくわく”させられました。

 私の評価:☆☆☆☆(5つが満点です。)

映画の話・51 「 スワロウテイル 」

Pcbg504671 1996年の日本映画です。

 岩井俊二監督作品は、この作品と「リリィシュシュのすべて」しか見たことがありません。ですので監督の力量について云々するのはやめておきますね。ただ、独特の世界観をもった監督だということはわかります。私は、その世界観にはあまりはまり込むことはできませんが。私の印象では、「映画監督」というよりは「映像作家」といった感じです。

 で、この映画ですが、正直、結局のところ何を伝えたいのかよくわかりませんでした。拝金主義の虚しさ?移民が日本で生活していくことの難しさ?栄枯盛衰?香港映画のような空気感もところどころありましたが、やはり少し違和感も感じました。リアリティが感じられないんですよね。(ドキュメンタリーじゃないから、ある意味当たり前かもしれませんが。)

 映像はさすがに綺麗でしたね。CHARAのプロモーションビデオみたい。他にも力量のある俳優さんがたくさん出ておられて、それぞれに存在感を発揮されていました。若かりし頃の伊藤歩さんも、もうこのころから実力派なんだなあと感心させられました。・・・でも、映画としては結局それだけでした

 私の評価:☆☆(5つが満点です。)

映画の話・50 「 生きる 」

4_132091 1952年の日本映画です。

 映画の話の50回記念ということで、私が大切にしている映画、黒澤明監督の「生きる」について。

 ストーリー・演出等本当によくできたこの映画のなかで特に私が心を動かされたのは、主演の志村喬さんの演技です。こんな演技、今まで見たことがありませんでした。うまく言えませんがもうそれは演技の域を超えてしまっていると言っても過言ではないと思います。特にその表情・・・なんとも言えません。特に公園を造るために助役に掛け合うときのそれや、やくざの親分に「命が惜しくねえのか」と言われた時のあの笑顔・・・本当に素晴らしいです。「素晴らしい」という一言であらわしてしまっていいのかと思うほどです。(多くを語らずして、あの表情ですべてを語る。「こんな演技ってありなのか、反則だよ〜。」って思うくらい。「砂の器」の加藤嘉さんの演技に通ずるところがあると思うのはわたしだけでしょうか。)現在活躍中の俳優さんの中でこのような演技ができる方っていらっしゃるのでしょうか・・・。

 他に、主演の志村喬さんが若い女性(小田切みきさん)と最後にカフェーに行き、「残された時間で私にもなにかできるかもしれない、いやきっとできる、きっとやってやる。」と決意したときに、ちょうどそのカフェーの客が”ハッピー・バースディ・トゥ・ユー”を歌うシーンなんかは、よく考えてあるなあと今更ながらに感心しました。(そのシーンでは遅れてきたほかの客の誕生日を祝うという形で歌われますが、主人公が生まれ変わった、いや新しく人生を始めたということを暗示しているのは明白です。)
 あと、わたしがこの映画にリアリティーを感じるのは、主人公の生き様に感銘を受けた職場の同僚が通夜の席で「俺もがんばるぞー」的なことを口々に言うのですが、何日かすると元の淡々としたやる気のない日常に戻っているというところです。実際人間ってそんなに簡単に変われるものではありませんから。ここが単なるお涙頂戴映画・よくあるハッピーエンド映画とは違うところだと思います。

 今回久しぶりにこの映画を観ました。初めてこの映画を観てから20年以上が経ち、そしてもう何回目の鑑賞になるのかもわかりませんが、変わらぬ感動、いや今までとはまた違った感動がありました。いいものはやはり、何年たっても・何回観てもいい。あらためてそう思いました。

 私の評価:☆☆☆☆☆(5つが満点、つまりもちろん満点です。)

映画の話・49 「それでもボクはやってない」

Wqt5one11  2007年の日本映画です。

 本日は、ネタばれありです。まだ観ておられない方は、ご注意を。
 
 
 時折、新聞やTVのニュースで冤罪事件を目にすることがある。そのたびに私は「あ〜、大変だね〜。」と、まるで他人事のように思ってきた。痴漢の冤罪事件にしてもそう。大変だったね〜と、自分の身の上には絶対に起こらない、本当に他人事として事件のニュースを聞いていた。
 でも、この映画を見て考えが変わった。この映画の主人公と自分とでは何が違うか・・・いろいろ探してみたが、結局何ひとつ違いはない。私もいつ何時このような事件に巻き込まれるかわからないのだ。そう考えると、本当に怖い。恐ろしくて仕方がない。 

 痴漢は本当に卑劣な犯罪だと思う。女性にとっては本当に人格を蹂躙され、心に重大な傷を負わされる事件だというのはわかる。だからそのような被害にあったらつぎにそのような犯罪が起こらないように、かなり勇気はいるが犯人を捕まえなければならない、というのもよくわかる。ただ、もしこの映画のように真犯人じゃない他人を捕まえてしまったならば、もう一人相当な被害者を生みだしてしまうことになる。でも、泣き寝入りはできない。・・・難しい問題である。

 痴漢という犯罪がなくなればよい・・・とは思うが、それは難しいであろう。(もちろん痴漢行為を肯定しているのではない。痴漢は立派な犯罪なのだからしてはだめだし、無くなることを切に願う。ただ、現実問題として・・・という意味である。)そして、裁判がもっと公正に行われることを切に希望する気持ちも持ち続けたい・・・。ただ、現実的な話として、私はこれからまず、もっともっといろんなことを警戒して、自分自身を守ろうと思う。真面目な話として、満員電車では両手を上げ続けるなどして・・・。これまでずっと真面目に生きてきたつもりだ。それが、こんなことで人生をめちゃめちゃにされたら、たまったもんじゃない!!

 追記;一年程前、大阪の地下鉄御堂筋線でなんの罪もないおじさんを痴漢にでっちあげて示談金を取ろうとした大学生と相棒の女性が逮捕された。この事件は女性の方が自首してきたことから発覚したが、もし自首がなければどうなっていたことか。大変怖ろしい。この事件の犯人の二人は、きっとこの映画を観ていたのではないかと思う。

 私の評価:☆☆☆☆(5つが満点です。)

映画の話・48 「クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ あっぱれ!戦国大合戦」

4_442061 2002年の日本映画です。

 3度目の観賞です。やはりいい!!私としては「オトナ帝国・・・」の方が上かとは思いますが、やはり名作です。この映画の素晴らしさについては、いろいろなところでいろんな方に言い尽くされているようにも思いますので、何も新しいことは言えないかもしれませんが、少し感想を書かせていただきます。でも、素晴らしいものの「よさ」をあらためて書くのって難しいですね。どんなに書いても、うまく表現しつくせないように感じてしまいます。以下、ネタばれありです


 で、本題です。この映画には本当に様々なメッセージが込められているように思います。しんちゃん映画の不変のテーマである「家族愛」はもちろんですが、特にこの映画では「身分違いの恋」の切なさが語られ、「命の大切さ」が語られ、そして「誰にでもその時代にそこで生きる意味がある」ということが語られているように感じました。

 「身分違いの恋」・・・井尻又兵衛由俊と廉姫の恋は両想いであったのだから、時代が時代なら二人とも幸せになれたはず。でも、そのことはいくら言っても仕方がないこと。なぜなら二人の生きた時代には厳然として身分というものが存在したのだから。納得できないかもしれないけれど、それは仕方のないこと。そして何より又兵衛自身がこのことに対して気持ちを消化しているのだから、我々にはもう何も言いようがない。世の中には納得できなくても「仕方がない」としか言えないことが山ほどある、そういうことを教えてくれているようにも思えてきます。

 「命の大切さ」・・・これは言わずと知れた合戦のラストのシーン、勝った又兵衛が敵将の首を取ろうとしたとき、それに猛烈に反対するしんのすけ。そしてその言葉に従い敵将の命を奪わなかった又兵衛。戦国の世にあってこれは甘い!というご意見もあるかと思いますが、これはこれでいいシーンであったと思います。むげに命を奪うものではないということを教えてくれているように思います

 「生きる意味」・・・合戦に勝利し、自陣へ帰る又兵衛を襲った弾丸。命を落とす寸前の又兵衛の言葉。しんちゃんがこの時代へやってきた意味が語られる。そうだ、誰にでもその時代にその場所で生きる意味というものがきっとあるのだ!それは誰も教えてはくれないし、自分でもなかなかわからないものだけれど。私も自分の生き方によく迷いますし、たぶん誰もが悩みながら生きているんだと思います。でも、誰にでも生きる意味があるのでしょうね、きっと。また明日からもその意味を探しながら、元気に生きていこうと思います。そう思わせてくれるシーンでした。

 そしてみなさんが語られているように、本当にラストは見事です。現代に帰ってきたしんのすけ一家が空を見上げて又兵衛の旗印を見つけるところでは、本当に涙してしまいました。そして廉姫が見上げる空にも。いろいろ書きましたが、あの空の中に、いろんなメッセージが込められているんでしょうね


 しんちゃん映画と言うだけで毛嫌いされている「おとな」の方々もいらっしゃるかもしれませんが、この作品と「オトナ帝国の逆襲」は観ていただきたい新しい世界が開けますよ、きっと

 私の評価:☆☆☆☆☆(5つが満点、つまり満点です。)

映画の話・47 「 火火(ひび) 」

20041224004fl00004viewrsz150x1  2004年の日本映画です。

 以前「いつか読書する日」に感動し、その流れでこの映画も気になってました。で、観てみると・・・いい映画でした。田中裕子さんはもちろん、池脇千鶴さんや黒沢あすかさん、そして初めは全くその演技に期待してなかったのですが(失礼!)窪塚俊介さんまで、みなさん本当にいい演技を見せていらっしゃいました。石田えりさんの明るさにも救われました。この映画、陶芸家として苦難を乗り越えやがて成功する一人の女性の姿と、白血病の息子を持つ母親の姿とを、見事に描ききっています。

 また、違う視点からこの映画を観てみると、白血病と戦うことの大変さを本当にリアルに描いています。白血病だけでなく他の病気でも、それと闘っていくのは大変だということは、私たちも頭では「理解」しています。けれど、そういう表面的な「理解」ではなく、本当に「病気と闘うとはこういうことなのだ」と教えられた気がしました。ある意味当たり前かもしれませんが、治療にはお金がいる。そして人々の善意だけではどうにもならないこともある。それらがうまくいっても、やはり治療は苦しい、等々・・・。実際にはその立場に立たないとわからないことがたくさんあるとは思いますが、ほんの少しではありますが、病気の大変さを本当の意味で実感できたように思いました。(でも、同じように白血病と闘っていた新潟の親子が心中してしまうのは、ショッキングでした。)

 私もこの映画を観ながら、「骨髄バンクに登録しようかなあ・・・」と考えましたが、でも、まだ決断はできません。・・・正直に言いますと、やはりあんな風に背中にたくさん注射をして骨髄液を抜くのが怖い・・・という気持ちもあります。でも、こんな私で役に立てるかもしれないのなら、ちょっと考えてみたいとも思います。もう少し時間をかけて、じっくり。ただ、そんな悠長なことを言ってる間にもこの病気で亡くなっていかれる方がいらっしゃるかと思うと、「もうしばらく考えてみる・・・」なんて言ってること自体が罪のような気がしてきますが

 余談ですが、オープニング、そしてラスト近くで流れる、りりぃの歌う「アメージング・グレース」はこの映画にマッチしていて、とてもよかったです。

 私の評価:☆☆☆☆(5つが満点です。)

映画の話・46 「ムトゥ 踊るマハラジャ」

Si93ikic1  今更ながら、この映画です
 1995年のインド映画です。インドはみなさんもご存じのとおり、世界一の映画大国です。そのインド映画で、たぶん一番有名な作品です
 
 間違いなく娯楽大作でした。こむつかしいこと一切なし。ストーリーは単純明快だし、歌って踊って、とっても楽しい映画です。「なぜいきなり歌いだすの?」「なぜいきなり踊りだすの?」って言う意見もあるかもしれませんが、野暮なことは言いっこなし!ミュージカルが好きな私にとっては、かなり”ツボ”にはまった映画です。インドは世界有数の映画大国(製作本数も観客動員数も)だと聞いたことがありますが、納得できる気がしました。
 主演の男性は、ラジニカーントさん。インドでは「かっこいい」大俳優さんらしいです。なにせ映画のテロップでも何でも名前が出るときには必ずその名前の前に「スーパースター」という称号が入るらしいですから。「燃える闘魂 アントニオ猪木」「闘将 星野仙一」みたいなもんですかね
 私たち日本人の感性で言うと、たぶんほとんどの人が決してかっこいいとは思えないただの「おじさん」なのですが、「かっこいいだろー」というオーラ満載で歌い踊りまくります。そのアンバランスさが結構かわいらしく、結構笑えて、違う意味で愛らしく感じながら観てしまいました。主演女優さんは結構かわいらしい(?)ですけど

 公開当時、かなり話題になりました。私もその頃に観たのですが今でも強烈な印象が残っています。とにかく、何も考えずにただ笑いたいとき・スッキリしたい時にお勧めです。間違いなくおもしろいです

 写真は映画のものを使いたかったのですが見つからなかったので、むかし、日本で活躍したインド人歌手のチャダさんです。今は貿易商らしいですよ。あくまでイメージ画像ってことで

 私の評価:☆☆☆☆(5つが満点です。)

映画の話・45 「 雨鱒の川 」

20041022001fl00001viewrsz150x1  2003年の日本映画です。

 オープニングから走る少年・・・よく見るとこれ、天才子役・須賀健太君じゃないか。それに相手役の女の子は志田未来ちゃん?・・・それから阿部ちゃんに中谷美紀さん・柄本あきらさんに伊藤歩さんまで出てくるし、主演(とは言っても初めにちょこっととラスト40分くらいだけの出演ですが)は今をときめく玉木宏さんに綾瀬はるかさん・・・豪華キャストのオンパレードです。
 それだけに・・・映画の出来がとても残念。北海道の景色もとてもきれいですのにね。
 
 幼なじみの二人がお互いに惹かれあっているのに違う人と結ばれてしまうというお話・・・かと思ったら、玉木宏さん扮する心平が奪いに来て「おいおい、これじゃ”卒業”じゃないか〜。なんでバスじゃなくて『いかだ』なんだ?そんなのありかぁ」と思って観ていたら追手に捕まっちゃって「あ〜あ」と思ってたら最後の最後、結局ハッピーエンドになるって言うお話。

 「深み」とか、あまり感じられませんでした。この映画が創られた2003年っていうと、ちょうど純愛ブームのころですよね。何かその流れで何となく(という言い方は失礼ですが)作っちゃったのかなあ・・・という印象の映画でした。

 私の評価:☆(5つが、満点です。)

映画の話・44 「 県庁の星 」

1onqnpoo1_2  2006年、織田裕二さん、柴咲コウさん主演の日本映画です。

 この映画、巷では結構高評価なんですよねいやみな言い方に聞こえたら申し訳ないんですが、正直驚いています。もちろんいろんな感性の方がいらっしゃって当然ですし、解釈もいろいろあってしかるべき・・・。でも、私には共感できるところがひとつもなかった。世の中、そんなにうまくはいかないでしょって感じ。実際に世間で汗水たらして働くのは、もっとしんどいよ・・・

 柴咲コウさんはまだよかったが、織田裕二さんはちょっと違うのでは・・・。織田裕二さんが俳優としてだめだと言っているのではなく、この映画のこの役には合わなかったのでは、という意味です。
 とにかく、正直、時間を無駄にしたという思いが強いです。私にとってはまだTVの録画で見たからよかったけど、お金を払って映画館に観に行ったのなら、かえり道はかなりブルーになるであろう作品でありました。言いたい放題言いまして、ファンの方、すみませんでした

 私の評価:☆(5つが満点です。)

映画の話・43 「 U・ボート 」

5lughuj81  1981年のドイツ映画です。

 戦争映画です。以前からの評判にたがわず、引き込まれました。重厚な映像も荘厳な音楽も、映画の内容に本当にマッチしていました。場面はほとんどずっと、潜水艦の中・・・。潜水艦の中の、特に危機的状況になった時の緊張感が本当によく伝わってきました。(私は閉所恐怖症ゆえ、絶対に乗組員にはなれないと、再確認させていただきました。)そして、最悪の状況から脱した後の、あまりにも空しく悲惨な結末・・・。

 重厚かつ荘厳かつ悲惨な映画でした。これが作られたあと、潜水艦を舞台にした同じような映画がいくつも作られていますが、いまだにこれを超える作品は出てきていないように思います。

 私の評価:☆☆☆☆(5つが満点です。)

映画の話・42 「 かもめ食堂 」

Mhn5_88j1  2005年公開、当時かなり話題になった日本映画です。今でも製パン会社のコマーシャルに続編ぽい感じが使われてますよね。
  
 不思議な映画でした。ただ淡々と時が過ぎてゆく・・・といった感じで。きっとこの映画は具体的なストーリーの展開ではなく、その不思議な世界観(雰囲気)を楽しむ映画なのでしょう。きっと、理屈ではなく、「合う」か「合わないか」なのでしょうね。・・・ただ、私にはよくわかりませんでした。そういう意味では「合わなかった」のかな・・・。決して嫌いではないのですけど。

 でも、映画はそれを観るタイミング(その時の年齢や置かれている状況)によって感じ方も変わるものですから、次に観るときはまた違った感想になると思います。それから、きっと女性には合うと思いますよ。

 私の評価:☆☆(5つが満点です。)

映画の話・41 「 北京ヴァイオリン 」

Inl4h8f01  2002年、巨匠チェン・カイコー監督の中国映画です。

 今日のはネタばれありですので、まだ観ていない方でこれから観ようと思われていらっしゃる方は、まだ読まない方がいいですよ


 では、本題・・・確かにいい映画なんですけど、もう一つしっくりこなかったのはなぜ?それは多分、やはりラストに納得がいかなかったからでしょう。映画制作者の側には私には理解できなかったもっと深い意図があったのかも知れませんが、たとえば親子の絆を描くためにあのようなラストにしたのだとしたら、むしろコンクールに出て成功を収め、そのあとでなにかエピソードを加えた方がよかったのではないかと思ってしまいます。あそこでコンクールを放棄してしまうと、それまでのお父さんの、そして親子の苦労はなんだったの・・・と思えてしまうのは私だけでしょうか。

 ただ、少年の弾くヴァイオリンは素晴らしかったですし、あの女の人の魅力的でした

 私の評価:☆☆☆(5つが満点です。)

映画の話・40 「 ブラック・レイン 」

4_198681  1989年のアメリカ映画です。

 この映画、純粋に映画自体を楽しもうと思っても、どうしても「癌に侵された松田勇作さんがその痛み、そして自分の死への恐怖に耐えながら、気力を振り絞って撮った映画」という目で観てしまいます。本当にそのことが伝説になっている今、それはある意味仕方のないことなのかなあと思ったりしていますが。でも、「根性」や「がんばる」ということが好きで、また「プロ意識」もある人にグッとくる私としては、この映画における松田優作さんのエピソードは本当に”壺”なんですよね
 
 それでも、そのようなエピソードは抜きにしても、おもしろい映画でした。アクション映画をそれほど好まない私ですが、楽しめました。俳優陣の演技は素晴らしかったです。とくにやはり、(これは言い尽くされていていまさら言うのも恥ずかしいのですが)松田優作さん。みなさんがおっしゃる通りです。すごい存在感。あんな怖いほほえみ、初めて見た〜。特に目がこわいよ〜(泣)
 それから、高倉健さん。思い切って言いますが、私、今までこの人それほど評価してなかったんですよね。寡黙な雰囲気が、評価をその実力以上に高めているような気がして。でも、やっぱり凄かったです。外国人が考える「いかにも日本人らしい日本人・・・寡黙で、真面目で、義理堅く・・・」と言ったところを見事に演じておられました
 若山富三郎さんも圧倒的な存在感だったし、力也さんもそれらしく・・・、私は大阪人なので吉本新喜劇の島木譲二さんが出ておられたのは、ちょっと嬉しかったです。でも、当たり前ですが、ボケは一切なかった。パチパチパンチもなかったなそれから始まってすぐ、松田優作演ずる「佐藤」を日本へ護送し、引き渡したニセ警官役で警官の制服を着て内田裕也さんが出てこられたのに、少しわくわくしました。「十階のモスキート(私の好きな映画です)」を彷彿とさせられました
 ガッツさんはスピルバーグ監督の「太陽の帝国」にも日本軍の兵隊役で出ておられましたね。アメリカ人から見た、日本人らしい日本人なのでしょうか。もしそうなら、ちょっと・・・悲しいですけど(苦笑)。

 チャーリーが殺されるシーンの、暗闇でモータープールのネオンだけが輝いているのは、不気味にかっこよかったです。ちなみに「モータープール」という言い方は関西限定だと聞いたことがあります。その他の地域では「パーキング」か「駐車場」かな。私は大阪人なので、知っているところがたくさん使われていたのも楽しめました。梅田の阪急の下のところ・教会のような作りの天井のところは、私のお気に入りの場所でした。ただ、アジアを意識しすぎたような映像はちょっと鼻につきましたけど。工場の自転車群、あれは中国だろ〜。

 思いつくままにいろいろ書きましたが、結局は最初にも書いたようにそして今まで言い尽くされているように、「松田優作さん」に尽きます。まさに鬼気迫る演技、とっても素晴らしかったです。この演技を観るだけでも価値があると思いますし、この映画における彼の演技を観ていないというのは、まさに「もったいない」といった気がします。

 私の評価:☆☆☆☆(5つが、満点です。)

映画の話・39 「 十階のモスキート 」

4_1028051  1983年の日本映画です。

 今からもう20年ほど前、京都の場末の映画館で観ました。確か本当にあった話なんですよね。

 主演は内田裕也さんです。主人公は警官でありながら様々な悪事を重ねていくといった話なんですが、この警官、どうしても本当の悪人には思えません。悪事も重ねようとしたわけではなく、次第に人生の歯車がそっちに向かって動いていってしまったというか。この人、本当はとってもまじめな人だったのではないでしょうか。ただ、一言で言うと何に対してもとっても不器用で、うまく世の中を渡っていくということができなかったのでしょう。そして、一つ一つ歯車が狂っていったのでは・・・。そう考えると、とっても悲しい映画でした。私自身、あまり世渡りが上手な方ではありませんので。(主人公と、自分とを重ね合わせて観てしまいました。)

 出演者の皆さんは、本当に好演しておられました。ビートたけしさんや小泉今日子さん、アンルイスさんなどがチョイ役で出ておられますが、なかなか好演されてました。

 私の評価:☆☆☆☆(5つが満点です。)

映画の話・38 「 涙 そうそう 」

20060908001fl00001viewrsz150x1  2006年の日本映画です。

 なんか、これでもかこれでもかって、かわいそうなエピソードが満載です。妻夫木聡いい人すぎ。長澤まさみもいい子すぎ。でも、でも、悪いこと起こりすぎ。(船越英一郎もTVの2時間ドラマではいい人役が多いのに、この映画では悪すぎ。こんなにいい「にいにい」をだますなんて・・・。)

 「にいにい」妻夫木聡はいろんなことがありながらもあんなに頑張っているのに、最後がああなってはいかんでしょ。神も仏もないのかって感じでした。途中、血の繋がっていない兄妹がお互いを意識する年齢になって、離れて生活を始めるっていうあたりは、結構リアリティが感じられたのですが、結局それ以外のほとんどの場面でリアリティを感じられないまま、泣かそう泣かそうという意図が見えすぎで、かえって泣けませんでした。泣かそうとする映画製作者側と、こんな演出では泣くもんかと耐える私との、一種の戦いのようでもありました(笑)。

 最後、「にいにい」が死んだあと、その「にいにい」から成人式の着物が届き、同封されていた手紙を読むシーンでは、さすがにちょっと泣かされましたけどね(負け?)。

 でも、正直、「お涙ちょーだい」の域を出なかったかなぁ

 私の評価:☆(5つが満点です。)
 

映画の話・37 「 耳をすませば 」

4_76981  1995年の日本映画です。スタジオジブリ制作。

 一言で言うと、とってもかわいい映画でしたよ
 誰もが通ってきた(もしくはあこがれてきた)青春がそこにはありました。最後の約束が将来本当になるかどうかなんて、そんな事をいうのは野暮なこと。そのときの一生懸命な気持ちがまぶしく、すばらしく、ちょっぴり切ないです。観終わった後、とっても爽やかな気持ちになりました。若いって、いいなあ・・・

 私の評価:☆☆☆(5つが満点です。)

映画の話・36 「 手 紙 」

20061003002fl00002viewrsz150x1  2006年の日本映画です。

 評判はいろいろ聞いておりましたが、いや〜よかった。事件の被害者の人生・加害者の人生・その周囲(家族等々)の人々の人生・・・。それらについて、いろいろと考えさせられました

 映画中盤あたりの主人公ナオ(山田孝之)の勤める家電販売店の会長(杉浦直樹)の「犯罪を犯すと、自分だけ刑務所に入ればそれで済むっていうもんじゃない。(被害者の、そして加害者の)家族の苦しみも受け入れなければならない・・・。」という言葉に集約されているように、世の中のいわゆる「犯罪者」の中には、ほんの出来心で罪を犯してしまったとこともあるかもわかりませんが、それにより自分自身はもとより周囲の人々の人生をも狂わせてしまうということを、本当によく描いていたと思います。
 この世の中、簡単に犯罪を犯してしまう人が増えているように思いますが、本当に一人でも多くの人に観てもらいたい映画です。

 また、会長はこうも続けます。「逃げてはいけない。君はここから始めなくてはいけない。ここから少しずつ人とのつながりを作っていかなくてはならない・・・。」厳しい言葉のようですが、ナオにとっては愛に満ちた救いの言葉でありました。本当にそのとおり。「絶対に逃げてはいけない時」っていうのが、誰の人生にもあるように思います。映画の主題からは少し外れるとは思いますが、私自身もそのようなときには、逃げずになんとか踏ん張りたいと思います。映画の中で由美子(沢尻エリカ)も言うように、逃げていたら、いつまでも逃げなくっちゃならなくなりますからね。

 主人公ナオ(直貴)を演じた山田孝之さん、ナオを支える由美子役の沢尻エリカさん、ナオの友人祐輔役尾上寛之さん、ナオの元を去っていく恋人役吹石一恵さん、そして家電販売会社会長の杉浦直樹さん等々、みなさん抑えた演技で好演されてましたが、なんと言っても玉山鉄二さん。映画のラスト、刑務所に慰問に行ったナオと祐輔の漫才を聞きながら手を合わせて泣いている姿に、他の方のそれまでの熱演はすべて持っていかれてしまいました。あの姿に、こちらまで号泣してしまいました。この映画は玉山鉄二さんにとって、大きなターニングポイントになる映画だったのではないでしょうか。この映画によって、玉山さんの評価を一変させた人も多かったのではないかと思います。かくいう私もそのうちの一人ですが(笑)。

 追記:最近も世間を騒がせておられる沢尻エリカさん、このまま引退ということになってしまうのでしょうか。普段の彼女のことはよく知りませんが、演技者としては確実に素晴らしいものを持っておられますので、とってももったいない気がします。彼女の出演作を見るたび、そう思います。

 私の評価:☆☆☆☆(5つが満点です。)

映画の話・35 「 ゆ れ る 」

20060529002fl00002viewrsz150x1  2006年の日本映画です。最近日本では、若い女性監督さんがなかなか元気ですが、この映画もそのおひとりである西川美和さんが監督をしておられます。

 2006年に公開され、映画好きの間でずいぶん話題になりました。年度No1という声も多く聞かれました。実際に私が観ても、噂にたがわず、すごい映画でした。
 で、ここからはネタばれありですので、近々観ようと思われる方は、この続きは読まないでおいてくださいまた観られてから読んでくださいね


 では本題・・・。香川照之もオダギリ・ジョーも、お互いの演技が相乗効果をもたらして、すごい演技です。特に香川照之、作品はじめの方の無理にテンションをあげ、いい人を演じるあたりではまさに「無理をしていい人を演じている」という、作品中の人物の「わざとらしさを」わざとらしくなく演じている(言い方、ややこしいですか?すみません)。つり橋でのシーンの演技も秀逸(気持ち悪さ満開。あんな感じで寄ってこられたら、私でも「やめて〜」って言いたい。)だし、個人的には裁判のシーンでの饒舌でない、言葉を噛みまくりの答弁が本当にリアルで恐れ入りました。オダギリジョーももちろんよかったですけどね

 このお話の中で特に印象に残ったのは「つり橋」の存在です。これ、いろいろなものを暗示・象徴してますよね。たとえば、つり橋のこっちは今まで住んでた田舎の町、そして向こうは都会。揺れる橋を渡って向こうへ行くのは誰でも怖い。でも猛(オダギリ・ジョー)は渡っていき、兄・稔(香川照之)は渡ることができない(でも、もしかしたら本当は渡ることができるのだけど、わざと渡らなかったのかも)。智恵子(真木よう子さんです。最近売れてきました。)は一度は渡ることをあきらめたが、猛との再会により、もう一度渡り向こう側(都会)へ行くことを決心する。しかし兄・稔は行かせたくない・・・。そこで事件が起こるわけですが、本当にいろんな意味で「向こう側の人間」と「こちら側の人間」をはっきりと隔てるモノとして、非常に象徴的な存在として「つり橋」が登場します。もしかしたら誰の心の中にもそういう「つり橋」があるのかもしれませんね。渡る方がいいのか、渡らない方がいいのか、それは私にはわかりませんが。
 
 事件、そして裁判のなかで、二人関係はどんどん悪くなっていきます。そして猛の証言、判決・・・。一度は切れてしまった二人の兄弟としての絆。しかし、この兄弟を含む家族を撮影したフィルムを観て、猛は自分の思い違いに気づく。「兄は他人を殺すような人ではなかった。やっぱりあれは、彼女を助けようとしたんだ。」取り返しのつかないことをしたと悟った猛はそれでもそこで考える。自分のせいで兄は七年もの間収監されることになってしまったが、兄はそれでも自分を許してくれるだろうか、一度切れてしまった絆を、もう一度つなぐことができるだろうか。とにかく出来ることをしよう。そして、出所した兄を迎えるために走り出す・・・
 このあと二人の関係がどうなったかはわかりません。この直後、映画は終わってしまいますから。ただ、弟の呼びかけに気づいた兄の笑顔、この笑顔は二人の関係が今後明るい方向に向かうことを予感させます。本当に救われた気持ちになります。これからは兄も弟も、決して無理をすることなく、自分をさらけ出して、そして新しく絆を結びなおしてくれることを願ってやみません。雨降って地固まるってやつですか。えらく長く激しい雨ではありましたが。

 私の評価:☆☆☆☆☆(5つが満点、つまり満点です。)

映画の話・34 「七人の侍」

4_389601  1954年の日本映画です。ご存じ黒澤明監督作品、日本を代表する作品です。

 ついにこの作品を観ることが出来ました。映画好きを自認していながら、日本映画史に燦然と輝くこの映画を今まで観たことがなかったので、何かしら引け目や後ろめたさすら感じていたのですが、ついに観ることができました。

 内容は、本当に面白かった最近映画を観るときにはレビューを書くことを意識して、細かい描写や印象的な場面を注意しながら観てしまうのですが、この映画に関しては、観ているうちにそのような事にこだわることがアホらしくなってきました。それぐらい文句なしにスケールの大きい、おもしろい映画でした。

 観終わって印象に残っていることを少し述べさせていただきますと、まず侍の親分役の志村喬さん。本当にかっこよかったし、すごかった。志村喬さんといえば、私にとっては「生きる(また近々、ここに感想をアップします)」での演技がとても印象に残っており、あの「生きる」の住民課の課長(でしたっけ?)=(イコール)志村喬本人と言ってもいいくらいに思っておりました。ところがこの映画の志村喬さんはそれとは全然違う。本当にしっかりした、かっこいい役を演じておられました。この映画を観て、志村喬という役者のすごさがあらためて(いや、初めて)わかったような気がしました
 それからなんと言っても三船敏郎さん。黒澤作品には欠かせない役者さんですが、この方は本当にどの作品を観ても、目の輝きが素晴らしい。今でいうと「眼力(めち"から)」ということになるのでしょうか。もう、怖いくらいです。
 
 三時間半ほどある(あいだに「休憩」が入るのにはびっくりしました!)結構長い作品だったのですが、一気に観た感じです。長さは感じさせません。本当に面白い映画でした。お正月、少し時間があるとおっしゃる方には、本当にお薦めです。この映画を観ることが出来てこれでようやく私も、大きな声で「私の趣味は映画観賞です!!」って言えそうです(笑)。

 私の評価:もちろん☆☆☆☆☆(5つが満点、つまり満点です。)

映画の話・33 「深呼吸の必要」

Ackvkhoy1  2004年の日本映画です。

 いつも一生懸命・・・とは言わないまでも、それなりに生きていたら、時には一休みしたいなあと思うことは誰にでもありますよね。この映画、まさにそのように思った若い男女が沖縄にさとうきびを刈りに行くというお話です。

 さとうきび刈りは結構な重労働なのですが、それぞれの人生においてはひとつの「休養」なんでしょうね。他人から見たら悩みなんかなさそうに見えている人でも、実は悩みを抱えていたりします。誰でもいろんな複雑な思いを抱えて、それぞれの人生を生きているんですね。ここに集まった男女もそんな人たちで、はじめはみんなぎこちないんですが、生活や労働を共にする中で次第に打ち解けていきます。私も若いころに何度か泊まりがけで同じようなアルバイトをしたことがあるので、この感じ、わかります

 映画全体の印象は「おしい」といったところです。厳しいことを言って申し訳ないのですが、沖縄の良さをもっと生かすことができたのではないかと思いますし、一人ひとりの(その背後にあるそれぞれの人生も含めて)キャラクターをもっとしっかり描いた方がよかったのではないかとも思いました。そうすれば映画自体にもっと「深み」が出たように思います。ただ、映画の中で「言いたくないことは言わなくてもよい」というのがひとつのキーワードになっていたので、これはわざとそうしたのかもしれませんが。☆三つにさせていただきますが、描き方によっては☆四つにも五つにもなった映画だと思います。その点がとっても残念です
 
 人生、一生懸命努力することは必要ですが、この映画のように一休みして「深呼吸」することは絶対に必要です。深呼吸することによってまた次に進んでいけるんだと、再確認させてくれた映画でした。

 私の評価:☆☆☆(5つが満点です。)

映画の話・32 「遠い空の向こうに」

4_553871  1999年のアメリカ映画です。

 先日「ペイ・フォワード 可能の王国」を薦めてくれた友人に「見せてもらって非常に感動した」旨を伝えたところ、「それならこれも」ということでこの映画も薦めてもらい、観ました。・・・とってもよかったです。自分の中では「ペイ・フォワード」以上でした。

 主人公は、さびれゆく炭鉱の町に住む特に優等生でもない少年。ある夜、人工衛星が”10月の空”を横切るのを見て、「自分もロケットを作るんだ」という夢に目覚めます。そして、その夢の実現に向けて努力を続けます。夢を実現するのは簡単なことではありません。数々の挫折が彼を襲いますが、それでもそのたびに彼は立ちあがってきます。くじけそうになるたびに様々な人にささえられながら。
 ずっといがみ合ってきた父親とも最後には和解します。お互い嫌いだったのではなく、むしろ逆。お互いが似ていたからこそぶつかってしまったのでしょう。まさに現在の親子関係の問題にも通ずるものがあると思いました。

 ラスト近く、全米の化学賞で金メダルをとってから、地元で最後の打ち上げをするとき、今までお世話になった方々に対してお礼を言うシーンは、特に父親への謝辞をピークとして本当に感動的で、涙・涙・・・でした。(ちょっと、アカデミー賞の授賞式みたいでしたけど。アメリカの方はこういうスピーチが好きなんですかね。)
 打ち上げられたロケットが、少年の、友人の、そして町の人々の夢や希望や様々な想いを乗せて、青い空に向かって真っすぐに飛んで行く姿には、本当に胸に迫るものがありました。
 
 原題は”Octorber Sky”。まさに少年の日、10月の空に見た自分の夢を、様々な苦難に負けず最後には実現したこの映画は、実話が元になっているということもあって、観る者にも夢と希望、そしてさわやかな感動を与えてくれる映画でありました。

 追伸:少年ははじめ、ドロシーという学園のアイドル的な少女に心惹かれますが、この少女が結構小悪魔的で、有名な男子にばかり近づいていきます。少年が一度地元の新聞に載り有名になりかけたときには近づいてきて、いい感じになりかけますが、そのあと火災の元を作った一人とされた時は去っていきます。そして最後、少年が成功をおさめたときにはまた近づいてくるのですが、少年は彼女を選ばずに自分が苦しんでいた時に励ましてくれた少女を選びます。ドロシーに対して「このやろー」と思っていた私は、このシーンにも少々ほくそ笑んでしまいました(笑)。

 私の評価:☆☆☆☆☆(5つが満点、つまり満点です。)

映画の話・31 「誰も知らない」

20040527001fl00001viewrsz150x1  2004年の日本映画です。

 救いのない、とても重い内容です。実話が元になっているということを思うと、より一層重い気分になります。YOU演ずる母親の無責任さ、母を想い兄弟を想う柳楽くん、そして妹のけなげさ、どれをとっても悲しすぎます。次第に友人にうとまれる柳楽くん。その友人の「あいつんち、変なにおいするから行きたくないんだ・・・」っていうセリフは妙にリアルで悲しかったです

 実際の世の中からこのような無責任な親が、このような悲しい子どもが、そしてこのような悲しい出来事ができる限り少なくなることを、切に祈ります。

 私の評価:☆☆☆☆(5つが満点です。)

映画の話・30 「ペイ・フォワード 可能の王国」

4_758421  2000年のアメリカ映画です。

 何年か前、職場の同僚がみなさんに勧めておられるのを耳にして、私も観てみました。この映画、いい映画です。人間の心の中の「善」を信じたくなります。性善説というか、どんなに悪いことをした人でも心の奥底には「善」の心があるんだと思いたくなります

 他人によいことをして、よいことをされた人はまた別の(三人の)人によいことをして、そうやってよいことをどんどん受け渡して行って、世界を「善意」で満たしていく・・・。本当に理想だと思います。

 現実の世の中を見れば、国内でも国外でも、本当に悲しい情けない事件が常に起こっています。こんな情けない世の中で、この世界を少しでもよくするために私たちが本当にすべきことは、こういうことなのかもしれません。結局は人間の「善」に訴えるしかないのかもしれません。暴力は次の暴力を生むだけですし、恨みに対するかたき討ちはまた次の恨みを生むだけですから。「そんなこと夢物語だ。できっこないよ。」とおっしゃる方もいらっしゃると思いますが、画期的な解決方法なんてありません。私たちにできることを一つひとつ地道にやっていくしかないのです。

 シックス・センスのオスメント少年が好演しています。ラスト、悲しい結末はちょっと納得がいきませんが、それでも少年の思いはたくさんの人々の心に灯を灯しました。その「思い」が映画の枠を越え、世界中の人々に受け継がれていくことを願ってやみません

 私の評価:☆☆☆☆(5つが満点です。)

映画の話・29 「MONDAY」

78188viewrsz90x1  1999年の日本映画です。

 明るく楽しくこの映画を観ておられる方が多い中、私はこの作品をみて、少々怖ろしくなりました。私もいつの日かこの主人公(堤真一さん)のように、魔がさして人生を破滅させてしまうような「何か」をしでかしてしまうのではないかと、怖くなってしまいました
 人間は誰でも心の奥底にさまざまな欲望を抱えて生きています。それは本当に様々な・・・。それを「理性」で抑えて生きているのです。ほとんどの人間はきっとそれを抑え込んだまま、一生を終えていくのだと思いますが、中には何かの拍子にその欲望を抑えきれなくなり、「こと」を起こしてしまう人が出てくるのでしょう
 また、「欲望」と書きましたが、別にしたくもなかったこと(思いもよらないこと)をしてしまい破滅してしまう人も、中にはいることでしょう。「事件」を起こしてしまう人とは、実はそんな人ではないでしょうか。
 
 「魔がさす」、本当に恐ろしいことです。本当の恐怖は、そんなところに潜んでいるのかもしれません。

 おまけ:堤真一さん、最高です。特にファンキーなダンスがたまりません。これを観るだけでも、この映画の価値があります。松雪泰子さんもとっても魅力的です。ただ、脇を固めておられている方では、特に塩見三省さんが気に入ってますけれど

 私の評価:☆☆☆(5つが満点です。)

映画の話・28 「青の炎」

4_720801_2  2003年の日本映画です。蜷川幸雄監督、二宮和也・松浦亜弥主演です。

 公開当時、ちょっとした話題になりましたよね。昨日私は朝早くから夕方まで子どものラグビーについて行ってたのですが、第一試合から第ニ試合まで3時間半あいていたので、そのあいだにポータブルDVD(実はこれが秘密兵器です)で観ました
 作品のテーマは結構重いものだったのですが、ちょっと消化しきれていなかったように思いました。ですから、映画自体は特にお勧めするものではありません。
 正直言って二宮和也の独り舞台と言っていいほど、彼の演技は際立っていました。「硫黄島からの手紙」でその演技がかなり騒がれましたが、私はその映画をまだ観ていませんし、彼が出演するTVドラマも観ていなかったので、今まで彼の演技に触れたことはありませんでしたが、本当に素晴らしかった

 彼がこの映画の中で演じた役は決して簡単な役ではありませんでしたが、本当に見事に演じきっていました。この演技を見た上で彼を「アイドル」と呼ぶのはとっても違和感があります。彼は今後何年かのうちに、日本を代表する役者になるかもしれません。もしかしたら、すでにそうなっているのかもしれませんが。

 私の評価:☆☆☆(5つが満点です。)

 

映画の話・27 「カーテンコール」

20051017003fl00003viewrsz150x1  2004年の日本映画です。

 藤井隆さん主演で、私が割と気に入っている伊藤歩さんも出ている、そして主人公が歳を重ねた後の役として井上尭之(って、こんな漢字でしたっけ?井上たかゆきバンドのあの井上さんです)さんも出ていて、予告編で聴いたその井上さんが歌う「いつでも夢を」がとってもよかったので、かなり期待して観ました

 で、感想・・・。一言で言うと「おしい」ということになります。映画館の幕間芸人について描こうとしながら、在日韓国・朝鮮人差別問題やその他のことについても描こうとして、結局どのテーマについても描ききれなかったという印象です。
 ただ、下関の映像は綺麗ですし、出演者の皆さんは期待どおり頑張っておられましたよ藤井隆さん・奥貫薫さん・・・でもやっぱり伊藤歩さんかな

 私の評価:☆☆☆(5つが満点です。)

映画の話・26 「大停電の夜に」

20050917002fl00002viewrsz150x1  2005年の日本映画です。

 ロマンチックな映画でした。私の好きな原田知世主演だしストーリーはハッキリ言ってどうということもないのですが、やはり”暗闇”とその中にきらめく”ろうそく”がロマンチックな雰囲気を醸し出しています。あまり難しいことを考えず、こういうロマンチックな雰囲気の中に身を置いて、その中を漂うというのもいいですね
 でも、誰の人生にもこういう様々なすれ違い・偶然の出会い・別れはつきものなのでしょうね。少し寂しいですけれど・・・

 でも、普通なら疎遠になっていたかも知れない方々と、こうやってブログで再会できているのは、本当にうれしいことですよ

 私の評価:☆☆☆(5つが満点です。)

映画の話・25 「 いつか読書する日 」

20050602002fl00002viewrsz150x1  2004年の日本映画です。

 この映画、あまり知られていませんよね。でも、私が今まで見てきた映画の中で、「感動した」という点において、かなり上位にくる作品なのですよ。この映画のことを考えると、本当にもっといろんな方に観てもらいたいなあと、おせっかいな気持ちが表に現れてきます。田中裕子と岸部一徳、この実力派俳優二人が恋愛映画を撮るとこういう風になるのかと、感心しきりでした。
 
 中学時代に仲のよかった二人、しかしひとつの事件がきっかけで疎遠になっていきます。そして二人の中はこじれたまま、何十年もの歳月が過ぎていきます。ふとしたことがきっかけで本意ではない方に人生が転がってしまったり、ちょっとしたボタンの掛け違いで人間関係がこじれてしまったりすることは、現実にありますよね。
 この二人の場合はどうなっていくのだろうと、心配しながら映画を観続けたのですが、いろいろなエピソードの中で絡まった糸はやがて少しずつほどけていきます。そして、あと二回転(話が、ね)くらいした後、いろいろと評価の分かれるラストへ・・・。でも、美奈子(田中裕子)の最後の「読書でもして過ごすわ」って言うセリフには、人生に対する重い覚悟・決意が感じられました。

 こういう、大人の恋愛をじっくりと描いた映画は初めて観たような気がします。秀作です。私もそうですが、これから主人公と同じ年代を迎える人には、特に観てもらいたい映画です。お勧めです

 私の評価:☆☆☆☆☆(5つが満点、つまり満点です。)
 

映画の話・24 「スカーレットレター」

20050418006fl00006viewrsz150x1  2004年の韓国映画です。 

 イ・ウンジュの遺作(彼女はこの映画を撮影した後、自殺しました。原因はわかりませんが、この映画の世界にどっぷりつかってしまって、そこから抜け出せなかったからとも言われています。)ということで、どうしてもそういう意識で観てしまいました。でも、ストーリーはよくわかりませんでした。結局のところ、ラスト近くの、車のトランクの中のシーンに象徴される閉塞感がすべてでしょうか。本当に観ていて息がつまりそうです。特に私は閉所恐怖症だし
 ただ、出てくる三人の女性はそれぞれに魅力的でした<(個人的には写真館の女主人に心を動かされましたが・・・みなさん、ここ、あまり突っ込まないでくださいね(笑))し、ウンジュの歌声は素敵でした。

 私の評価:☆☆☆(5つが満点です。)

2009年10月 3日 (土)

映画の話・23 「 青春デンデケデケデケ 」

4_299281  1992年の日本映画です。

 先日、「夜のピクニック」を観終わった後、同じように爽やかで切ない映画を昔観たなあ・・ということでこの映画を思い出し、改めて観てみました。今観ても、切なくていい映画です。昭和を懐かしむことがひとつのブームになっている昨今、この映画はまさにそのツボにはまっていると思うのですが・・・。そして個人的には私の第二のふるさとである香川県が舞台になっているということでも、とっても興味をそそられます。舞台になっている高校は香川県立観音寺第一高校なんですよね。(こんなにはっきり書いていいのかしら?)私の友人にもこの学校の卒業生が数人いるのですが、伝統的にバンカラな校風のようで、実際にとってもいい学校のようです。(私の出身高校も、いい学校でしたよって、負けず嫌いか。)

 高校時代、誰しもが経験した甘くて切ない想いがいっぱい詰まってます。特に卒業間際の主人公の戸惑いは、時代が変わっても誰しもが経験してきた気持ちなのではないでしょうか。
 もうずいぶん前の映画なのですが、今観ても決して古くはありません。昔も今も、まさにこれが「青春」です

 私の評価:☆☆☆☆☆(5つが満点、つまり満点です。)

映画の話・22 「ゆきゆきて 神軍」

4_294591  1987年の日本映画です。

 ものすごいリアルさ。まさにドキュメンタリーの真髄です。これも戦争をテーマにした映画なのですが、ほかの映画とはあきらかに違う。第二次世界大戦下の日本軍の、今まで語られなかった実情がリアルに語られ、そら恐ろしくなります。敵は相手国だけではありません。一つになって戦っているはずの自国・自らの部隊の中にも、敵はいるのです。考えれば当たり前の話なのです。人間には相性というものがある。「味方」であるはずの同じ部隊の中にも、気の合わない奴はいる。その集団の中であまり好かれていない人物は、味方であるはずの兵隊たちに命を奪われることもある。その肉を食して生き延びた話は凄惨極まりない。
 今までとは違った角度から、戦争というものの悲惨さを思い知らされます。非常に後味は悪いです。真実の持つ圧倒的な力に打ちのめされました。

 ・・・でも、強烈過ぎて、あまり皆さんにはお勧めできません。観る人は覚悟して観てください(ただし、グロテスクなシーン等はありませんよ。ここで語られる「真実」が強烈過ぎるのです・・・。)

 私の評価:☆☆☆☆☆(5つが満点、つまり満点です。)

映画の話・21 「機関車先生」

20040702002fl00002viewrsz150x1  2004年の日本映画です。

 さわやかな映画でした。お話自体もさわやかでしたが、主演の坂口憲ニさんも好演しておられましたし、何より瀬戸内の海・島・風がそのさわやかさを支えていたように思います(主なロケ地は、香川県丸亀市の本島だそうです)。まあ、毒のない、文部科学省推薦といった感じではありましたが、たまにはそういうのもいいでしょう
 余談ですが、校長役のマチャアキは、最近こういう役が多いですねえ

 私の評価:☆☆☆(5つが満点です。)

映画の話・20 「 出口のない海 」

20060726007fl00007viewrsz150x1  2006年の日本映画です。

 特に最近の日本の、戦争を扱った映画にはがっかりさせられることが多かったので、(はじめからそんなに期待しなかったからかもしれませんが)そんなに悪くはなかったように感じました。市川海老蔵さんもそれなりに頑張っていましたし(上から目線ですみません)、戦争の虚しさもそれなりには描かれていたように思います。ただ、戦争がいかに末期に近づいていたとはいえ、あんなに堂々と「日本は負ける」などとは言えなかったでしょうし、戦争とはもっとどろどろしたものだと思うので、あんなにいろんなことがあっさりと描かれるのはいかがなものか・・・とは思いますけどね

 そして、特にあのラストは賛否両論分かれるところだと思いますが、華々しく散るばかりではなく、ああいう形で命を落とすことももちろんあったでしょうし、そういう意味では戦争の虚しい部分をよく描いているとも言えるのではないでしょうか。
 戦争の虚しさは、絶対に次の世代に語り継いでいかなくてはなりません。そのためにはより内容の深い、説得力のある「戦争映画」が創られることを願ってやみません。

 私の評価:☆☆☆(5つが満点です。)

映画の話・19 「花田少年史」

20060614003fl00003viewrsz150x1  2006年の日本映画です。

 冒頭のシーンから映画に引き込まれました。基本的には大いに笑える楽しい映画なのですが、ところどころで泣かせるエピソードが・・・。特に運動会のシーンにはやられました。子役たちの芸達者なこと。そして脇を固める方々の”さすが”の演技。ラスト近く、戦いのシーンの大げさなCGはご愛嬌として、全編飽きさせない演出
 泣いて笑ってまた泣いて・・・、まさに娯楽作品。まさに映画の王道です。家族で観ても、安心して観ることができる作品ですよ。お勧めです。

 私の評価:☆☆☆☆(5つが満点です。)

映画の話・18 「きれいなおかあさん」

4_658031  2001年の中国映画です。

 がんばれ!っていうのは、時には無責任な事のように思います。そんなこと言われなくても、たとえばこの母子は頑張りすぎるほど頑張ってますから・・・。でも、この映画を観ると、やっぱり「がんばれ」って思いになります。そう思うことぐらいしか、私たちにはできませんから。いろんな辛い思いをしながらも子供のことを思って生活をするお母さん、そして少年、これからもがんばれ!がんばれ!がんばれ!

 私の評価:☆☆☆(5つが満点です。)

映画の話・17 「私の頭の中の消しゴム」

20050912005fl00005viewrsz150x1  2004年の韓国映画です。

 正直言って、期待はずれでした。この病気は(もちろん自分には経験はありませんが)こんなに軽く扱うべきものではないように思います。製作者サイドも軽く扱ったつもりはないのかもしれませんが、結果的に重み・深みといったものは感じられませんでした。消化不良・・・といったところでしょうか。
 ちなみに同じテーマを扱った、渡辺謙主演「明日の記憶」とは、雲泥の差でした。(「明日の記憶」については、また気が向いたら感想をアップします。)

 私の評価:☆(5つが満点です。)

映画の話・16 「 ソ ウ 」

20041007003fl00003viewrsz150x1  2004年のアメリカ映画です。

 私、ホラー(スリラー)映画はあまり好きではありません。ただ驚かしたり、グロテスクなシーンを見せられるだけで、後に何も残らないように思うからです。ただ、この作品は違いました。観終わった後「やられた!」と思いました。(「何か残ったか」と言われればそれはわかりませんが(笑)。)

 公開当時からその評価の高さにずっと気になっていたのですが、あまり好きではない「ホラー映画」なので、なかなか「その気」にはならず、先日ようやく観ることができました。で、観始めると、もうその最初の場面から、作品に引き込まれてしまいました。どこだかよくわからない(廃墟となった病院の手術室か何か?)場所に倒れている二人の男。二人の間には死体が・・・。「何、この状況?この二人はなぜこうなっているの?間に倒れている死体は?」次から次へと話は展開し、どんどん引き込まれていく私。「犯人は誰?」「ジグソウって?」・・・ものすごいスピード感。展開にまったく無駄がなく、そしてラストへ。少々消化不良気味ではありましたが、それはそれで「それもありかな」と思わせる終わり方。おみごと

 これ以降、TVのサスペンスドラマや刑事ドラマにこの作品の影響が多くみられるようになりました。たとえば「アンフェア」なんかにも。それだけこの作品のクオリティが高かったということでしょう。本当に息つく暇もないとはこのことか、といった感じでした。ホラー(スリラー)好きでなくても十分楽しめる作品です。

 私の評価:☆☆☆☆(5つが満点です。)

映画の話・15 「 夜のピクニック 」

20060906002fl00002viewrsz150x1  2006年の日本映画です。多部未華子さんの出世作・・・かな。

 切なくて、さわやかな映画でした。特筆すべきなのは、誰かが死ぬわけでもなく、また恋愛が話の中心に据えられているわけでもないのに、こんなにも切ない気持ちにさせられたことでした。本当に、高校生が夜を徹して歩く・・・それだけのことなのに。でも、その中に、青春がたくさん詰まってるんですよね。素直になりたいのになれない・・・そのこだわり・わだかまりが少しずつ解けて流れたとき、主人公とともに観ている私も(恥ずかしながら)ウルウルしてしまいました

 主役のお二人もいい演技をされてましたが、個人的には柄本佑さんの演技、存在感に感服しました。そういえばこの方、こういう青春映画・青春ドラマには必ずと言っていいほどでておられますよね。それと途中、ワーグナーの”ワルキューレの騎行”がかかっての「地獄の黙示録」のパロディの部分には、にやりとさせられました。ああ、私も、こんな青春を送りたかった。いまさら後戻りはできないけれど

 私の評価:☆☆☆☆(5つが満点です。)

映画の話・14 「名探偵コナン 迷宮の十字路」

48730viewrsz90x1  2003年の日本映画です。

 正式なタイトルは「名探偵コナン 迷宮の十字路(クロスロード)」。ご存じ、「名探偵コナン」の映画シリーズの中の一作です
 まず特筆すべきは、映像のきれいさです。桜舞い散る中で少女が毬つきをしているところから、その映像の美しさにひきこまれます。私は昔から京都という町が大好きなのですが(というか、日本人はその大多数の人が京都という土地に特別な憧れをもっているようですが)その京都を本当に美しく描いています。それだけでも京都好きの方には必見です。
 そして、殺人事件の謎ときが始まるのですが、今回は事件そのものよりも、伏線としてあった平次の初恋物語の方に心惹かれました。そしてその初恋の相手とは・・・。メーテルリンクの「青い鳥」的発想、やられました
 今までのコナン映画も非常にすぐれた作品が多いのですが、これは少しタイプが違うようにも思えます。しかしそれはそれで、私にはとても楽しめました。

追伸:学生時代を京都で過ごした私としましては、本当に京都のすべてがいい思い出です。鞍馬寺も、河原町も、六角堂も。いくつになっても当時のことを思い出すと、切ない気持ちになります。みんな、本当にありがとうね

 私の評価:☆☆☆☆(5つが満点です。)

映画の話・13 「 善き人のためのソナタ 」

20061221002fl00002viewrsz100x11  2006年のドイツ映画です。アカデミー外国語映画賞受賞作(「おくりびと」の前年です)。

 世間の評価が非常に高かったので、今までドイツ映画など観たことがありませんでしたが、ず〜っと気になっていました。で、昨年夏の初め、ようやく観ることができました。自宅から車で約1時間半、大阪は堺の埋立地にできたMOVIX堺で、500円でアンコール上映しているのを見つけたのです。(当時、関西ではここでしか上映していませんでした。最近はやりのシネコンで、なかなか快適に観ることができました。)で、本題・・・。

 舞台になっている時代は、ちょうどベルリンの壁が崩壊したころ。私たちの世代にはまだ記憶に新しいころですよね。この映画、単なる東側の体制批判の映画でもなく、恋愛映画でもなく、一言で言うとヒューマンドラマということになるのでしょうが、その一言でも語りつくせない、奥の深い映画です。弱さ・醜さ・逆に強さなど、人間の様々な面が描かれていますが、最後まで観ると「人間として真面目に生きることに対して」報われた気持ちになります。(ラストの本屋でのシーンには本当にやられました。)
 主役(ヴィースラー役)ウルリッヒ・ミューエの、抑えた中にも気持ちの滲み出る演技は本当に素晴らしかったです。(最近亡くなられたとのこと。ご冥福をお祈りいたします。)
 期待して観にいって、期待通りに感動できる映画って、実は少ないと思います。それはこちらの期待が大きすぎるところにも問題があるのですが。しかしこの映画はその期待にしっかりと応えてくれます。損得を論じるのは少し違うようにも思いますが、人生においてこの映画を観ないのは「損」だと思います。最近レンタルが始まったようです。一人でも多くの人に観ていただきたい。日本映画なら「砂の器」「生きる」「満月」・・・、そしてドイツ映画なら「善き人のためのソナタ」(「U・ボート」もいいですけどね。)、お勧めです。

 私の評価:☆☆☆☆☆(5つが満点、つまり満点です。)

映画の話・12 「 ふ た り 」

4_325861  1991年の日本映画です。

 四季折々の美しい尾道の町並み・すべてを包み込む優しい雨・全編を通して流れる音楽、そのどれもがとりわけ姉「千津子」の切なさを際立たせます

 生きているものはどんどん変わっていきます。子どもはやがて大人になり、頼りなかった妹はやがてしっかりしていきます。しかし、死んでしまったものは・・・。死によって時は止まり、やがて周囲の人々の心の中からも少しずつ消えていきます。かつての恋人?は妹に心を移し、お芝居の中で得意だった役も、他人に取られてしまいます。それは仕方のないことかもしれませんが、やはりとても悲しいです。そのような状況を目の当たりにしていた姉(千津子)の心の中にも複雑な思いがあったと思いますが、しっかり者ゆえ表情には出しません。それがなおさら、観る者を切ない気持ちにさせます。時には感情を爆発させてもいいのにね。そんなに気持ちを抑え込んだら苦しいでしょう?

 少々頼りない、ほよほよとした感じの妹「実加」を石田ひかりさんが、またしっかり者で、死んでからも妹を気遣って幽霊?となって手助けをする姉「千津子」を中嶋朋子さんが、それぞれ好演しておられます。久石譲さんの手によるテーマ曲「草の想い」も名曲です。(ほかのいろいろな映画・ドラマなどにもよく使われてますよね。)
 大林監督が「死」を題材に描いた、本当に胸を締め付けられる作品です。(「あした」も切なかったですけどね。)大林監督らしい、ノスタルジックな、切ない佳作だと思います。

 私の評価:☆☆☆☆(5つが満点です。)

映画の話・11「 猿の惑星 」

4_496342 1968年のアメリカ映画です。いまさらですが(笑)。

 ずいぶん昔の作品ですけどね~。でもこの作品、とってもいい作品です。まさにSF映画の古典的・教科書的作品だと思います。今観ると確かに「古い」といった感じは否めませんが、それでもそのぶん安心して観ることができます。結末も「やっぱりそうきたか・・・」といった感じで、SF映画がお好きな方で、いやすべての映画を愛する人でこの作品をまだご覧になっておられない方は、ぜひとも早い機会に観られることをお勧めします。決して時間の無駄にはならないと思いますよ(笑・・・でも本気)。

 私の評価:☆☆☆☆(5つが満点です。)

 

映画の話・10 「 猟奇的な彼女 」

4_642541  2001年の韓国映画です。

 初めは、こんな彼女がいたら大変だろうな・・・などと、男の子の方を気の毒に思いながら観ていましたが、次第にその男の子と同じように、彼女の魅力に引き込まれていってしまいました。”猟奇的”な彼女が時折見せるかわいい一面に、誰しもほれこんでしまいます。ストーリーも、どうなるかと思いましたが、最後はホッとしました。さわやかな、いい映画でした。

 主演のチョン・ジヒョンさん、今では韓国を代表する大スターで、この映画の中でも存在感を発揮していました。本当に当たり役といった感じ。ただ、これ以外の映画でいま一つなのが気にかかりますが。でも、”デイジー”はなかなかよかったですけどね。

 私の評価:☆☆☆☆(5つが満点です。)

映画の話・9 「PROMISE」

20060115003fl00003viewrsz150x1  2005年の中国映画です。

 CGを多様した映像は、本当に綺麗でした。真田広之さんも日本代表(?)で頑張っておられました。でも・・・それ以外の部分では、この映画、何を伝えたいのかあまりわかりませんでした。巨匠チェン・カイコー、どうした?って感じです

 私の評価:☆(5つが満点です。)

映画の話・8 「 ザ・ロック 」

4_94021  1996年のアメリカ映画です。

 ストーリーは単純明快。でも、はらはらどきどきで飽きさせません。で、最後はすっきり。ハリウッドらしい作品だと思います。難解な映画を観て人生について考えるのもいいですが、このような娯楽作品もまた「良し」です
 ショーン・コネリー、渋い。こんな歳のとり方をしてみたい・・・。

 私の評価:☆☆☆☆(5つが満点です。)

映画の話・7 「満月 Mr MOONLIGHT 」

2212499373_7e7ab8f08f1  1991年の日本映画です。

 今夜は仲秋の名月ということで、「月」にちなんだ映画の話。タイトルもそのまま「満月」です。
 この映画、ほとんど知られていません。でも私は、「砂の器」に匹敵するぐらい、この映画が大好きです。私の中では大作なら「砂の器」、小品ならこの「満月」が一番のお勧めです。とっても切ない、いい作品ですよ。

 もうずいぶん前の作品で、公開当時大阪の割と大きな映画館で、数名のお客さんしか入っていないという状況で観たのを覚えています。
 原田知世さんと時任三郎さんの演技が切なくて切なくて・・・、今思えば最近流行の韓流映画にも通じるところがあるのではないか、と思ったりします。お互いを愛しく思いあっていても決して結ばれることのない、結ばれてはいけない二人・・・純愛です。(なぜ結ばれてはいけないかは、映画を見てください。きっぱり!)
 ”満月”をバックに流れるプリンセス・プリンセスの”Mr moonlight”も味があってとてもいいです。この映画、もっともっとみなさんに知ってもらいたいなあ。

 私の評価:☆☆☆☆☆(5つが満点、つまり満点です。)

映画の話・6 「火垂るの墓」

4_409981  1988年の日本映画です。

 戦争をテーマにした映画は世界各国で数えられないほど作られていますが、私たち市民レベルでグッとくる、戦争は絶対に嫌だと思わせる作品は、この作品をおいて他にないのではないでしょうか
 何の罪もない幼い兄妹、けなげなその二人の夢も希望もそして未来も、戦争が引き裂いてしまいます。身寄りのない二人はさまざまなところで虐げられ、そして結局救いのない最期を迎えます。(ただ、二人を虐げた人たちも元々意地悪だったというわけではないと思います。戦争という特殊な状況の中で、自分が生きていくだけで精一杯だったのでしょう。そういう面でも戦争は、人間を「人間」でなくしてしまうのでしょう。)

 派手なアクションがあるわけではありません。高尚な思想を述べているわけでもありません。ただ、どこにでもいそうな、時代がほんの少し違えばその二人は私たちだったかもしれない何の罪もない幼い二人の、夢が・希望が・未来が・そしてすべてが、戦争により踏みにじられていきます・・・。
 この作品を観ると、本当に「戦争はいやだ〜」と叫びたくなります。そういう意味では、NO・1の戦争映画かもしれません。本当に戦争は絶対に絶対にいやだ!!節子たちのような悲しい思いを、自分の子供も含め、これからのすべての子供たちには絶対にさせたくありません。

 私の評価:☆☆☆☆(5つが満点です。)

追記:本当にこの作品、泣けて泣けて仕方ありません。最近ではもう、観なくてもこの映画のことを思うだけで、またはサクマ式ドロップの缶を見るだけで(まあ、あまり見かけませんけど・・・)涙がにじんできます。パブロフの犬のように。本当にある意味反則です(泣)。

2009年10月 2日 (金)

映画の話・5 「 A I K I 」

4_470711  2002年の日本映画です。

 こういう、「不慮の事故により身体に障害を負ってしまった人が、何かをきっかけに生きる希望を見出していく」っていうパターンの映画は、なにかしら嘘くさい、説教臭い、きれいごとの部分が多くて、鼻もちならないと感じることが多いのですけど、この映画にはそういうことは感じず、観終わった後、それなりにさわやかな気持ちになることができました


 ・・・なにかあったとき、人間ってそんなに簡単に立ち直ることはできませんよね?この映画は、その「主人公がこれからの人生に希望を見出せなくて、のたうちまわっているところ」を、時間をかけて丁寧に描いています。それがこの映画に信憑性を持たせています。(事故を起こしたあと、彼女が去っていくのも、またリアルですね。)「ぼくも明日から、またがんばろ。」そんな気持ちにさせてくれる、ありそうでなかなかないタイプの映画でした。

 (合気柔術の先生役の石橋凌さん、渋いです。ARBで歌っていた頃も渋かったですが、また違った渋さです。いい俳優さんになられたなあと思います。上から目線で申し訳ないですが。それと、この映画を観て、合気道自体にも、少し興味を持ちました。いまさら始める気はありませんが。でも、やっておられた方に対しては、なかなかうらやましく思いますよ。)

 私の評価:☆☆☆(5つが満点です。)

映画の話・4 「クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ モーレツ!大人帝国の逆襲」

4_107191  2001年の日本映画です。

 多くの方が言われるように、子供向け映画と侮るなかれ、この映画はオトナにとっても(いやむしろ大人にとっては特に)名作です。ここ最近「昭和」を懐かしむ映画がたくさん作られ、それなりにヒットしていますが(「三丁目の・・・」とかね。)この映画はそのさきがけとなった作品であり、そのような作品の中でも一番の作品であると思います。すべての面において丁寧に作られていて、映像(カット割り等)・脚本・音楽・声優などどれをとっても超一流です。この映画を作られた方々の熱意・愛情といったものが伝わってきます。「アニメはちょっと苦手・・・」と言われる方も、ぜひ一度見ていただきたい作品です。ジブリ映画とはまた違った感動が得られること間違いなしです

 追記:匂いによって操られていた「ひろし(父)」が自分の靴の臭いによって自分を取り戻していくシーンには、不覚にも泣かされてしまいました。ちょうど「砂の器」のラスト”宿命”にのせて、親子が放浪してきた回想シーンが描かれた時のように。

 私の評価:☆☆☆☆☆(5つが満点、つまり満点です。)

映画の話・3 「 ジュマンジ 」

4_308921  1995年のアメリカ映画です。

 公開当時は今ほどCG全盛ではなかったように記憶していますが、この映画は当時からCGによる映像が素晴らしかったのを覚えています。ストーリーは本当によくできていて、ハラハラドキドキしながら最後まで一気に観てしまいました。あの”ドンドン・・・(うまく表現できません。すみません。)”と響く音にハラハラし、そしてラスト、すべてが解決しロビン・ウイリアムスが「ジュマンジ」とコールするシーンでは、本当に気持ちが”すっ”っとなりました。
 伏線の話もよくできていて、家族で安心して観ることができる、本当の娯楽大作です。今観ても決して古くはありませんよ

 私の評価:☆☆☆☆(5つが満点です。)

映画の話・2 「 シュリ 」

4_408521  1999年の韓国映画です。

 日本では「冬のソナタ」以来、映画・TVで韓流ブームが定着していますが、私が韓国映画で初めて見た作品がこの「シュリ」でした。それまで韓国映画を観たことがなかった私は、本作品に対する世間の評価の高さにもかかわらずそんなに期待もせずに観たのですが、観終わった後いい意味での衝撃に言葉がなかったのを覚えています。全編を貫く素晴らしい緊張感、ハリウッド映画にも負けない(というか、私は個人的にはハリウッド映画をそんなに評価はしていないのですが)緻密な構成に、韓国映画の明るい未来を予感させられました

 その後、さまざまな韓流映画が作られ、それなりに評価を受けるようになったのは周知の事実ですが、私としてはこの作品を完全に超える作品はまだ出てきていないように思っています。(並ぶくらいの作品はあるかと思いますけどね。)いろいろな意味で、本当によくできた作品です。韓流映画はちょっと・・・とおっしゃる方にもお勧めの作品です。

 私の評価:☆☆☆☆(5つが満点です。)

映画の話・1 「砂の器」

4_312511  1974年の日本映画です。

 もう何回目になるのかも忘れましたが、久しぶりに(でも、デジタルリマスター版ははじめて)観ました。脚本・映像・俳優陣、どれをとっても素晴らしいの一語に尽きます。特に、作品後半の”宿命”の演奏にのせての放浪シーンは何度見ても涙がこみ上げてきます。その中でも、洞窟のようなところでおじやのようなものを親子で作って、うれしそうにじゃれあいながら食べるシーンは(ほかに親子で笑いあうシーンがないこともあり)胸を打ちます

 感動的なセリフについても以前から多くの方が論じられておられますが、私としては丹波哲郎扮する今西刑事に加藤嘉演ずる父親が息子である和賀英良の写真を見せられ、「この人を知りませんか?」と訊かれた時の”号泣”が、一番印象的なセリフかもしれません。ただし、”号泣”がセリフかどうかは知りませんが。
 とにかく、いままでいろんな映画を観てきましたが、今でも「一番素晴らしい映画」と言えるかも知れません。もし、まだ観ていないという方がいらっしゃいましたら、ぜひともご覧になられることをお勧めします。

 私の評価:☆☆☆☆☆(5つが満点です。)

追記:数年前にTVの日曜劇場でスマップの中居くんがやってたドラマも、なかなかよかったですね。ただ、もう10年以上前になるかと思いますが、佐藤浩市主演でTVでやった2時間ドラマはもうひとつでした。(佐藤浩市さんは、好きな俳優なんですけどね。)このドラマはクレームが恐かったからか、らい病について一切触れず、父親が放浪しなければならなかった理由もほかの事に置き換えてお茶を濁していたので、中途半端な仕上がりになってました。やっぱりこの映画は父親の放浪の理由=らい病に対する差別の問題と真正面からむきあっているから、深みがでて素晴らしい作品になっているのだと思います。

はじめまして

P7280169_2  みなさんはじめまして。我が家の愛犬・柴犬の”ichigo”。その育ての親である私ことichi-papaが、映画のこと・スポーツのこと・本のこと・音楽のこと・お笑いのこと・芸能界のことなどなど、思ったことをこれからつらつらと書き連ねたいと思います。

 よろしければおつきあいくださいませ。よろしくお願いします。

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